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不思議アリスは人形使い  作者: ワンコ
26/65

演目二十六:封印

ブクマしてくださった方ありがとうございます!!

アリスside




槍の呪いを受けた受け、身体の至る所から朽ちていったブラド。 残骸からは五本の槍が落ちている。その槍は粒子と化して消えていく。アリスはそれを見つめ終えると------。



「ブラドの討伐完了。…もう少し楽しませてくれると思ったのだが…ナ」



一人、ポツリと呟く。その場を後にし、自身に垂れかかっているヴラドに声をかける。



「久方ぶりに使ったんだが…どうダ?楽しめたカ?」


「同じ名前を持つ者としては、大いに不満があるけど…まぁ、貴方と久しぶりに戦えたもの。良しとするわ」


「……ふっ」



アリスは照れくさそう顔を逸らす。それをヴラドは微笑ましく笑う。

と、そこへ。



「主ぃぃぃ!!!」


「アリス様ァァァ!!!」



二人の自動人形…ナーシャとカルラが、鬼気迫る表情でこちらに走ってきた。アリスの元へと辿り着くとすぐさま、ヴラドをに向けてナーシャは手刀の構えを取り、カルラはシャドーボクシングをしている。



「ヴラドっ!貴様…」


「アンタが久しぶりに動くの見たけど…またあん時みたいになったら困るからよぅ…」


「うふふふ。貴方達、あの時の…そう、そうなのね。ねぇ、アリス?あの子達と遊んでいいかしら?」


「それは困るゼ…。オレの大切な人形だからョ」



ヴラドは、あらあら、そんなに愛されて羨ましいわね、と言って空を漂う。

そして、遅れてやってきたヒナミが到着。全員集合した。

ヒナミはゼェハァと息を荒くし、膝をついている。そして、息を整え一言。



「保護対象を放置して行くやつがあるかぁぁぁぁぁあ!!??」



そのまま、メリーさんの足を掴み、カルラとナーシャの顔を殴るヒナミ。

まさかの展開、攻撃方法に二人は驚き動けず、モロに食らう。



「「ぐはっ!?」」



吹き飛ぶナーシャとカルラ。拳を上に掲げ、誇らしげな顔になっているメリーさん。鬼と化したヒナミ。



「あらあら?」


「おぉぉぉお……」



口元に手をやり驚くヴラドと、ヒナミの動きに関心するアリス。

ヴラドはヒナミの方に顔を向けて、嬉しそうに問う。



「ねぇ、そこの貴女。私の眷属にならない?」



私の眷属にならない?そう声を受けたヒナミは、一瞬、身体の動きを止める。数秒して、声の主、ヴラドの方に振り向く。眉を片方釣り上げ、口をへの字口にし、何言ってんだこいつと書かれたような顔をしていた。



「結構よ」


「ふふ、残念ね」



ヴラドは答えが分かっていたのか、口元に笑みを浮かべる。



「ヴラド、こいつは一応…オレサマの主になってるんだからョ?変な勧誘はやめろよナ」


「あら?そうだったのね、ごめんなさい」



ヒナミの手を取り、困った顔で止めに入るアリスにヴラドは、素直に謝る。

アリスは一息ついて、ヴラドに指示を出す。



「そんじゃ、ヴラド。そろそろいいだロ?戻すゼ」


「えぇ。十分楽しませて貰ったから。それに…ふふ」



ヴラドは艶めかしくアリス、そしてヒナミへと顔を向けて微笑む。

そこへ、土汚れが付いたナーシャとカルラがやってくる。



「ふん。ようやく戻るか」


「けっ」



二人とも顔を不満げにしている。



「ふふふふふ。貴女達とも…ふふ」



ヴラドが何やら呟いている。



「!?はっ、早く戻るがいいヴラド!!」


「ウウゥゥゥゥゥ!!!」



二人は何かを察してか、ナーシャは急いでヴラドに戻るように促し、カルラは髪や耳、尻尾を逆立て威嚇している。

オレは軽くため息を吐き、戻す動作をする。



「ヴラド、遊びはここまでだゼ」


「はーい」



オレは人形に戻す…『封印の印』を結ぶ。


繋がっている糸を一度切り離す。糸を失ったヴラドはガタガタっと崩れ落ちる。



「ふふ、荒いわね」


「うるせ…」



オレは次に、両手を合わせ掴んで、両手を離し最後にパチンっと柏手を打つ。

辺りに鈴の音が鳴り渡り、時が止まった様な感覚に陥る。そして、淡い光の奔流がヴラドを包み込む。


封印の印が終わると、ヴラドのいた場所には、棺を抱き抱えた黒布を纏った人形が横たわって倒れている。



「はぁ…クエスト完了。さっさと引き上げるゼ」



アリスは息を吐き、倒れた人形…ヴラドを拾い上げ、懐にしまうとヒナミ達の方へ歩き出していった。

戦闘により崩れ落ちていった廃墟の数々を背に。

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