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不思議アリスは人形使い  作者: ワンコ
21/65

演目二十一:制作

フォロー・感想くださった方ありがとうございます(*´罒`*

ヒナミside



薄い灯りがぼんやりと照らし出す部屋の中に、二つの悲鳴がこだまする。



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!???」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」



ヒナミと部屋の中にいた『何か』は同時に叫び、後からやって来たアリスに呆れられた眼差しで見られる。



「何やってんだョ…」


「あ、ああ、アリス!?あんた部屋の中に変なものがいるわよ!?」



『何か』は変なもの扱いされて、ピクっと反応する。



「むっ。変なものとは心外です。これでもマスターの人形大罪シリーズ最強の一人であるこの私、憤怒ちゃんを変なもの扱いとは何事です!!」



『憤怒ちゃん』、自身をそう呼んだ者はバッ、と黒い布を脱ぎ捨てる。

赤髪で髪型はツインテール。瞳も赤く小柄で華奢な身体付き。服装は白いワイシャツに赤いリボン、下は赤と黒のチェックのスカートで黒のハイニーソを履いている。

憤怒ちゃんは、ツインテールを逆立て怒りを顕にする。



「フーっ!」



猫のように威嚇する憤怒ちゃんに、ヒナミは------。



「かわいい…おいでぇ?怖くないよぉ、ちちちちち」



顔をふにゃらせ手を出し、くいくいっと手招きをしていた。



「ふがーっ!なんなのですかお前は!?憤怒ちゃんは猫じゃないのです!!」


「うふふふふふふふふふふふ」


「ぴゃっ!?こここ、怖いのですマスタァ!!」



下卑た笑を浮かべたヒナミに、恐怖を憶えた憤怒ちゃんはマスターであるアリスの元へと駆け寄る。



「おぉ、怖かったナー、よしよし」


「ぶっは!幼女同士キタコレ」



鼻血を吹き出し、喜ぶヒナミ。

に、飛びかかる影がひとつ。



「いい加減落ち着け!馬鹿者!!」



ナーシャだ。

彼女の飛び蹴りは綺麗にヒナミの横腹に直撃し、吹き飛ばす。



「ぐふぅ……はっ!?私は何を…!!」


「落ち着いたか…全く」


「……これが…人形部屋。恐ろしいわね…」



冷や汗をたらしながら、戦場をくぐり抜けた様な顔付きになっている。



「ヒナミ、紹介すんゼ。自動戦闘型人形…大罪シリーズの『憤怒』ダ。この人形部屋に何故か入り浸ってんだよナ…」



アリスは憤怒ちゃんの頭に手をやり、撫でながら説明する。



「ふん!よろしくしてやらないのです!」


「ツンケンな所もまた…いい!!」



また堕ちそうなヒナミを無視し、憤怒はアリスに問う。



「それより、今日はどうなされたのです?」


「んァ?あー、制作部屋が欲しいってヒナミに断れてナ。仕方ないからこれを出したんだョ」


「あんた断る前にもう付けてたわよね?よね?」


「さ、さぁナ?」



ずいっと、ハイライトの消えた眼で迫り来るヒナミに目を逸らすアリス。



「そ、そうダ!オレが作る所を特別に見せてやろウ!」



アリスは話題を逸らすことにした。

ちょっと興味があったのだろうヒナミは、嬉しそうに手を合わせる。



「そ、そう?なら許してあげるわ」



アリスの逸らしに釣られるヒナミ。



「んじゃ、とりあえずココで待ってナ。憤怒も一緒に待っとケ。準備してくるゼ」



そう言ってアリスは、私と憤怒ちゃんを置いて部屋の奥へとどんどん進んでいった。



「いってらっしゃーい。……憤怒ちゃん、お姉さんと一緒に遊ばない?」


「いやなのです!!」



私のお誘いを即断する憤怒ちゃん。ツインテールをブンブン振り回し、ずさぁぁぁっと勢い良く後ずさりしていく。



「つれないなぁ…まぁ、そこも」



いいんだけど、と言う前に私の頭に大きいサイズの巻かれた布が当たる。



「いたっ…なによ?早かったじゃない」


「材料は少ないからナ。そんなに手間取らねぇョ」



布を当てた張本人であるアリス。

アリスは投げた布と同じサイズの物を両手に持って立っている。



「遊んでないで、こっちに来ナ」



アリスは顎でクイッと、横にある小さなテーブルと小さな椅子を指した。



「偉そうね…ハイハイ」


「マスター!私は遊んでないのです!危機だったのですー!!」



アリスは憤怒ちゃんの声を適当にあしらうと、小さな椅子にちょこんと座る。

これもまた…かわいいわねっ!



「いいかヒナミ、オレたち人形の衣装はすべてオーダーメイド」


「さっき聞いたから知ってるわよ」


「うぐ……こ、これから作り方を見せてやル!」



アリスはヒナミのツッコミにダメージを喰らいながらも説明をする。



「んじゃ、先ずは…この二つの布でいいナ」



アリスは黒い布と赤い布を取り、テーブルの上に広げていく。



「あとは…ウーン。…そうだナ!この黒いボタンと黄色いリボンと…」



次々と服に使われるだろう部品を、広げた二つの布の上に乗せていく。



「よし、んじゃ…見とけョ!」


「見てるわよ。てか、邪魔じゃないの?布の上に置い…て…え?」



私は目を疑った。

一瞬、そう一瞬…目を逸らしただけなのに------。



いつの間にか、テーブルの上に服とスカートが出来ていた。



「は?」



アリスはいつの間にか出来ていた服を手に取り、服の品定めをしている。

黒のボタンが縦に並ぶ赤い服。袖は黒く黄色のラインが一本入っている。

スカートは黄色のラインが数本入った黒のスカート。



「とりあえず、こんなモンかナ」


「ちょっとまてぇ!!!」


「なんだョ…」


「アリスあんた今どうやったの!?」



問い詰めるヒナミ。なんだこいつとばかりに見るアリス。

アリスは軽く息を吐き、教えてくれる。余った材料を集め、また布の上に乗せる。そして、布を触る。

こ、今度こそ目をそらさないで…!!



「んーと、こう」



可愛らしいアクセサリーが出来ていた。



「なんでよぉおぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「!?」



どっ、どうしてなの!?ちゃんと目を離さずに見ていたのに!!!



「あ…アリスちゃん?もうちょっっっとだけ!いや!!かなりゆっくりしてくれても構わないわ!!それで見せてくれないかしら!?」


「オ、オゥ」



鬼気迫るヒナミの表情に気圧されたアリスは、頬をひくつかせながら答える。



「んー、ちゃんと見とけョ?ゆっくりするからナ!」


「え、えぇ!いいわよ!ばっちこい!!」



アリスはまた、余った材料を集め、布の上に置く。


……こっからよ!!こっからが本番なのよ!!!



「……ゴクリ…!」



アリスは布で材料を包む。


包んだ!!次は!?


布で包んだ材料を両手に持ち、くしゃっと握る。

そして、それを開くと------。



布ではなく、レースの入ったカーテンが出来ていた。



「ガッテェェェェェム!!!!」



両膝を着き、頭を抱え騒ぐヒナミ。

それを引いた眼で見るアリス。



「うわぁ……」


「マスター…この人少し…いや、かなり頭が残念なのです」


「まぁ、そこが面白ェんだけどナ…」



崩れ落ちた私を他所にアリスと憤怒ちゃんが話している。

なんでなのよぉぉぉ…!!作る過程色々と飛ばしすぎでしょおぉ!!



嘆くヒナミに、引いた眼で見るアリスと憤怒。数日間、ヒナミはこのモヤモヤとした気持ちを隠せないでいたのであった。

感想批判や誤字脱字などの報告ありましたらぜひお願いします♪

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