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不思議アリスは人形使い  作者: ワンコ
16/65

演目十六:侵攻

ヒナミside




ぷにっ。



「……………」



ぷにぷにっ。



「………………………」



ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにっ。



「ウッゼェェェェェェェエッ!!!」


「きゃっ!?…もぅ、何すんのよ?」


「何すんのよじゃねェ!さっきからしつけェんだョ!!オレサマのキューティクルな頬をつついてんじゃねェ!!!」



アリスはヒナミに頬をつつくのに苛立ち、怒鳴り声を上げる。



「いいじゃない別に。気になるんだから」


「アァ!?…何が気になるってんだョ」


「だってあんた…人形って割には肌の感触や体温まであるもの」


「…はぁ。だから言ったろ?あの素体人形には姿形を取り込むんだってナ」


「だとしてもよ…なによこのぷにぷにとしてやわっこい肌はぁ!?」



どうやったらこんな肌になんのよ!スベスベ肌で子供体温…抱き枕にして眠ったらもう最高ねこれ。



「もしかして…ナーシャも?」


「それは知らねェが…触らせて貰えばいいんじゃねェか?ナーシャ」


「はっ。我が主に感謝するがいい。この私の肌に触れるというのだからな」


「はいはい、感謝感謝ー」


「きさっ!?なんと不敬な!!」



適当にあしらいつつ、差し出された手を触る。



こっ…これは!?



「ちょっと筋肉質な腕だけど、アリスに負けず劣らずな肌具合っ!!!」


「筋肉質!?……いや違うのだ刀扱ってたから。あ、今刀使ってないな。いや、違うのです主ぃぃぃ!!!」


「ヒナミおめェ…壊れたな…」



引いた眼で、アリスはヒナミの事を見ており、ナーシャは筋肉質と言われた事にショックしてアリスに言い訳をしている。アリスは聞いちゃいないが…。





「すみません、我が主。少々取り乱してしまいました」


「……少々?」


「うるさいぞヒナミ…っ」


「お、おゥ」


「あ、あぁ。ちょっと聞きたいことあるんだけど」



ナーシャは凄い剣幕でヒナミを睨みつける。ヒナミは慌てて別の話題を切り出した。



「アリスってさ…人形使いじゃない?なのに、糸を使わないでどうやってナーシャを動かしてるの?あの時空兎だって、繋がってないように見えて、実際は透明な糸で繋がれてたわけだし…」


「ほぅ。時空兎の糸を見抜いたカ。あれは魔力を纏わせて作る特別製の糸で纏うと透明になるやつでな、更にそれを極細にして肉眼では見れないように仕込んだんだからナ!」


「確かに見ることは出来なかったけど、空間に揺らぎがあったのよ…」


「なに?…ふむぅ…改善が必要かナ」



アリスは顎に手をやり、考え出す。



「……じゃなくて!どーやってナーシャ動かしてるのよ!!」


「アン?そんなモン決まってるだロ?オレサマの魔力だョ」


「魔力?」


「そ、魔力。オレサマの魔力がある限り永久に動き続ける事が可能。それがこの自動人形の特徴の一つ。例え破壊されてもオレの魔力で修復され、破壊する事は出来ねェ」


「アリスの魔力は尽きる事はないわけ?」


「オレは生まれ持っての超魔力保持者だゼ?人形に分配し続けるだけじゃ尽きねェな!メリーさんはどうなんダ?」


「なにそれ…ぶっ壊れにも程があるわよ。…あぁ、メリーさんは指示がなきゃ動けないのよ」


「フーン…」


「ふーんて…」



聞いといて興味ないのかよ!とツッコミたいが、なんとか抑えるヒナミ。

と、そこへ慌ただしく受付嬢の1人がアリス一行の元へやってくる。



「あぁ!!いました!アリスさん!ナーシャさん!ヒナミさん!!緊急事態です!!」


「!?」


「…ん?」


「隣の森林エリアから、ヤマガミの一行がこのエウレペールに侵攻して来てるとの事です!!!」


「なんですって!?」


「ヤマガミ…?」


「現在、各冒険者の皆様方にギルドマスターから討伐あるいは撃退せよとの司令がくだってます!至急現場へとお願いします!!私は、ほかの冒険者達にもこの事を伝えますのでここで失礼します!!」


「分かったわ!!あなたも気を付けてね!」


「はい!!」



そう言い、受付嬢はバタバタと走り去っていく。



「我が主、先程から強力な魔力の塊がこちらに向かって来てますが…もしやこれが、件のヤマガミという輩なのかもしれません」


「へへっ。だろうナ」


「!?…あんた達ヤマガミの気配が分かってたんなら言わんかい!!!」


「あー、だってョ…これが脅威なんて思わねェんだもん」


「そりゃあんた達からしてみればそうなのかもしれないけど、ここにいる人達はそうじゃないのよ」



アリスはプクーっと膨れっ面でいる。ヒナミはそんなアリスを見て、軽く笑い、膨れた頬をつつく。プシューという空気の抜ける音にまた笑い、アリスとの目線を合わせ、ヒナミは真剣な眼差しでアリスに言う。



「お願いアリス、私に力を貸して頂戴。ここにいる人達を守りたいの…私の大切な人達を。もう…奪われるのは嫌だから」


「……………ヒナミ。お願いなんて言わず、命令すればいいんだゼ?オレはお前の使い魔なんだからョ」


「ふふっ。命令なんてしないわよ、使い魔だからとか関係ないわ。貴方は私のライバルなんだから」


「ライバルって…ククッ、無理あんだロ」


「う、うっさいわね!とにかく力を貸して!!」


「あぃヨ!ナーシャ!!オレサマが行くまで時間稼ぎしてナ!!!」


「はっ!!」



アリスの指示を受けたナーシャは一瞬で姿を消した。



「さぁて…。今回はちと大掛かりそうなんでナ。コイツを使うとしよう」



アリスは懐から、ボサボサの長い白髪で頭部に2つの犬耳を生やし、腰からは尻尾が生えている。胸部だけを隠したタンクトップに短いデニム柄のジーンズを履いた女性の人形を取り出した。



「コイツは黒犬のナーシャの対となる人形。『白犬のカルラ』」



アリスはそう言い、不敵な笑みを浮かべる。

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