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不思議アリスは人形使い  作者: ワンコ
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演目十三:禁忌と禁断

ヒナミside



崩壊した闘技場に、全身ボロボロの男が胡座をかいて座っている。

全身ボロボロの男…ギルドマスターは目を閉じ、腕を組み唸っている。



「うぅぅぅぅん…うぅぅぅぅん…うぅぅぅぅん……!!」



ギルドマスターは唸り声を止め、目を全開に見開く。



「わっはっはっはっ!この私が負けるとは!!いやぁ、さすがSSSランクは違うなぁ!!私の本気がこうも容易く破られるとは、な。わーはっはっは」


「んァ?…アレで本気なのかョ…これならまだヒナミの方が強かったゼ」


「はっはっ…はぁ…」



今ので、随分と意気消沈したようだ。歳が…とか呟いてるが気にしない。少し、アリスに褒められたのが嬉しかったのか頬が赤い。



「あー、そう言えばアリスちょっと…」


「ん?」



私はちょっとこいっと手で小さく子招きする。それに応え、アリスがちょこちょこと来る。


「耳貸しなさい。…あの竜の人形って…アンタを召喚した時に地面に落としてたものかしら?」


「へへっ、そうだゼ」


「それと、もうひとつ。さっきの殺したってどういうこと?あれは人形でしょう?」


「んー、言ってなかったなァ。…ヨシっ!丁度いい!オレサマのご主人様になったんだ、オレの事とコレクション…人形の事は知っておくべきだョナ!」


「ほぅ?君の人形かね。興味があるな」



意気消沈から脱したギルドマスターが話に参戦してきた。

てか、全然気づかなかったわ…。



「……いいの?」


「別に困るもんじゃねェし」


「おぉ!それはありがたいな」


「それに分かったとしてもどうこう出来るわけじゃ…ねェだろ?」



私とギルドマスターは黙る。圧倒的な戦力差。私は召喚した時に、ギルドマスターは先程の戦闘で、理解している。



「んじゃ、ナーシャ!頼むぜ」



呼び声と同時に、ナーシャが手に何かを持ってやってきた。



「はっ!ご覧下さい。これが…我が主の人形秘話です」



どこかの幼い子供が描いたような可愛らしい絵を何枚もの絵を束ね、スライドで見せる…紙芝居で見せる気だ。



「なんで紙芝居!?」


「まァ、黙って見てナ」


「タイトル『ありすにまなぶ、にんぎょうのつくりかた』」



ナーシャがタイトル面の紙を口に出し、紙をずらす。次にあるのは、可愛らしくアリスが描かれた紙だ。



「まず、我が主アリス様についてです。我が主はここの世界とは異なる世界から来た…召喚されたのです…そこのヒナミによって」


「元の世界で我が主は、最狂の人形使いと呼ばれて恐れられてました。それは何故か。元来、人形使いの人形は手製で作られるものです。ですが我が主は、それでは何かが足りないと思い、我らの世界では禁忌とされる方法で作り上げるのです。それは……殺したモノで人形を作るという、 『屍人形』」


「!?」



ヒナミとギルドマスターに目を見開き、冷や汗が溢れ出る。



「我が主は最初は死体を使い人形を作ってましたがまだ足りないと言います。そこで巷で有名な大魔女に相談します」



ナーシャはそう言って紙をめくる。

次の紙には、アリスと黒いローブを羽織り、頭にとんがりボウシを被った女性が描かれた絵だった。



「我が主は死体で人形を作るが、どれも脆くすぐに崩れこれではダメだ、と話します。大魔女はそんなアリス様を微笑まいやらしく見つめ」


「微笑まいやらしくってなによ」


「こう答えるのです。あら、それなら簡単よ。この人形に殺したモノを取り込めばいいのよ、と」



ヒナミのツッコミを無視し、紙をめくる。

次の紙には、何も装飾されてない人形…素体人形が描かれた絵だ。



「これは、素体人形。殺したモノにこの人形を当てれば、死体を取り込み能力や姿形を人形に写すことが出来る禁断の魔道具。さらにこの人形は呪いが強く時間が経てば増える仕込みが入っている」



紙をめくる。

次の絵は、大魔女の顔がどアップで描かれた絵。



「大魔女は続けて言います。ただしこれは、人が使える物ではない、と。禁断を使うには代償が付き物です」


「この人形を使いたくば、人間を辞めること。我が主はこれを快諾」


「え」



紙をめくる。

次の紙には、素体人形を持ったアリスの絵。



「大魔女はその返事を聞き、さらにいやらしく我が主を見つめ出します。人形を手に入れた我が主は早速その場で使う…がまず禁断の代償を払わなければなりません。……我が主は自身の命を代償に捧げます」



紙をめくる。

次の紙には、アリスと素体人形。



「命を代償にした我が主は、自身の死体を人形に取り込ませ、自身を人形にする事に成功。我が主は思いました。これが、これこそがオレの求めていた人形!と」



「我が主は大魔女に感謝の言葉を伝え、旅に出ます」



紙をめくる。

次の紙には、色んな可愛らしい魔物が描かれた絵だった。



「我が主は素体人形を使い、色々な強者と戦っては殺し、人形を生成するという日々を毎日繰り返していたのでしたとさ…おしまいです」



聞き終えたギルドマスターと私は、しばらく動けなかった。

色々と衝撃的で、頭が付いてこない。

でも…殺したモノを人形に、ねぇ…。ということは…。



「もしかして…ナーシャも?」


「…ん?あぁ、ナーシャも前は敵対してた奴ダゼ」


「ふっ。今は改心し、我が主に忠誠を誓っているがな。あの頃は少し…尖っていたのだ」


「くふっ。尖ってるってレベルかョ!」


「ま、まってくれっ!ならばあの竜もか!?倒した…殺したって言うのか!!あれほどの強さを持つものを!!」



青ざめた顔でギルドマスターが叫ぶように言う。




「へっ。オレサマに出来ねェ事はねぇからョ。ここに召喚される前に殺り合ってたんダゼ。かなり危なかったがナ…」



その言葉を聞き、さらにギルドマスターの顔が青ざめる。


はぁ…。あまり考えたくなかったけど…、どうやら本当にとんでもないモノを呼んだみたいだわ…。

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