演目十一:山切り
アリスside
「errorってアンタ…」
error…測定不能ってことか。まぁ、オレサマの力がこの測定器程度で測れるわけねェからな!
「そんな見た目で数値は化け物ね…。まさか表示すらされないなんて」
「うっせ。誰がお人形さんみたいだョ!嬉しいじゃねぇか」
「そんな事は一言も言ってないし、嬉しいのかよ!」
「流石でございます!我が主!!」
ヒナミは敵意と驚嘆した顔で、ナーシャは純粋に、嬉しそうに眼をキラキラさせながら手を叩く。
と、そこへ慌ただしくオレたちの所に駆け寄る、キャミーともう1人、背中に二本の大剣を備えた初老の男性がいた。
初老の男性は、オレたちの前に立ち、一息ついて喋る。
「君が…冒険者登録でランクSSSを出したものかね?」
「アン?そうだョ、てかおめェ誰だ?」
「…いやはや、私のギルドでよもやSSSが出る日が来ようとは…まぁ、1人候補はいたのだが、それを超えてのコレだ」
「勝手に来て喋って納得してんじゃねェぞ!だから誰なんだョ!」
「見た目では信じられんな」
「ハン!どいつもコイツも、見た目が問題じゃねェんだョ…」
「それで…どうかね?私と一手試合うてもらえるかな?」
「どうかねもクソもねぇだろ…何言ってんだこいつ」
初老の男性は、ニヤリと笑みを浮かべアリスを嘲笑う。
「まさかSSSランクともあろう者が、逃げるのかね?」
「……へっ。なめるのは好きなんだが、なめられんのは嫌いなんだョ。場所はあるんだろうナ?」
「ふふ、もちろんだとも。ついてきたまえ」
初老の男性が着いてこいと目線だけでアリスに伝えると、歩き出す。
それに着いていこうとアリスが歩き出そうとした所でストップが入る。
「ちょちょちょアリス!!」
「んだ、そのヘンテコな名前は!」
「違うわ!じゃなくて、あの人、ここのギルドのマスターなのよ!?」
「ギルドマスター?…あぁ、そーいや私のギルドでっとか言ってたな」
「まったく…いい?あの人はグラウンで最強、私よりも強いの!それに、背中にある二本の大剣あるでしょ?あれを軽々しく扱って、どんな巨体でも切り裂くから、『山切り』って二つ名まであるのよ…」
アレで私のメリーさんも…思い出しただけでムカつくわねっ!と憤慨してるヒナミ。
「山切り…ね。大層な二つ名ダナ」
「大層って…」
「たかが巨体が切れるだけでョ…。あぁ、そうだ。奴に魅せてやろう。切れない人形をな…」




