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不甲斐なさ

「やめろーーーーーーーー」という叫び声と共に世界が静止する。


そんな訳のわからない状況下でシンジは、あがき、 もがく。血の混じった唾を吐き出し叫び続ける。


「彼女に触るな!」


僕にとって唯一無二の存在である彼女だけは失いたくなかった。そう、彼女だけは・・・



今日の朝は、彼女に話し掛けることから始まった。昨晩練りに練ったプランを実行するためである。夜遅く


まで「ああでもないこおでもない」と試行錯誤を重ねた一級プランである。


拳を天高く突き上げ「その名も、ごく自然に彼女の名前を聞いちゃおう大作戦Ω」と朝っぱらから人の家の


庭で叫んでいる僕は、通報されても仕方ないぐらいに不審者オーラ全開である。あちらの世界では、恥ずかし


がり屋だったのだがこちらに来てから何かが吹っ切れた。


そんな僕に対しても、「おはよう、今日は早いね」と微笑む彼女は、人を疑うことを知らないのだろう。そん


な彼女を見つめながら気合いを入れ「おはよう」と返す。そして、プランに行動を移すのであった。


「そういえば、この家一人で住むには広すぎない?部屋も、いくつか余ってるみたいだけど、」とプランに乗


っ取り聞く。


「実は、一人暮らしじゃないんだ。もう一人住んでるんだけど今は、地方に出てて、」


「ああやっぱり・・、ってそうなの?」


勝手に一人暮らしだと思っていた森司の目論みは、一瞬で外れた。これのどこが一級プランなのかは、皆目見


当もつかないが、これが詰めの甘い主人公森司なのである。しかし、すぐさま立て直す。


「その人は、何をやっている人となの?」


「お医者さんなんだ」となぜか声のトーンを落とし、彼女の顔から愛らしい笑顔が消える。この話題にあまり


深く入ってはいけないことぐらい森司にだって分かった。心中にそんな思いを残しながらも質問を続ける。


「いつ、帰って来るの?」消えそうな声で尋ねた。


「えっと、もうすぐ帰って来ると思うんだけど、」彼女が言葉を言い終わるのとほぼ同時に玄関のドアを叩く


音がした。


「あっ、帰ってきた」と顔をほころばせ小走りで玄関に向かう彼女。その光景に違和感を覚えつつも彼女の後


を追う。「それにしても、アニメみたいなタイミングで帰ってきたなー」とひそかに微笑する。


(医者)と言っていたから、容易に優しそうな顔が想像できた。怖い人ではないと思う・・・、多分。そし


て、彼女がドアを開け始める。「んっ、?これはフラグなんじゃ、?」と言い終わる前に、姿を見せる。


どうやら男のようだ、身長176㎝の森司が見上げる程の長身。190㎝は、軽く越えている。予想とは相反して


やや細身の体、足から徐々に上に見ていくと驚いた。


「え、エルフ」


すっとんきょうな声をあげ、その男の顔をまじまじと見つめる。銀色の髪の毛、整った顔立ち、目は、綺麗な


エメラルドの色をしていた。その男は、僕の視線には目もくれず彼女に向かって


「ただいまスズ、帰りが遅くなってごめん」と、いわゆるイケボで言葉を発した。こちらも負けじと2、3回


咳払いをする。


「お帰りガーベル」


「ところでこの男の子は、誰かな?スズ」優しそうな声だ。


「紹介するわ、この人はサトウ シンジさん。ゼラニウム荒野で倒れていたので連れてきましの」


男の子扱いされた17歳は、事実を淡々とのべる彼女の綺麗な横顔を見つめる。そして、エルフに向き直る。


「そう言うことか、なら歓迎しよう。でも今は、少し厳しいかな」なにやら意味ありげなセリフだ。


「どゆこと?」困惑に困惑を重ねる僕。


「実はここに帰って来る途中、悪質な魔法使いに目をつけられてね。追い払わないといけないんだ。これが終


わったら歓迎会でも開こうか」と自信満々の顔でこちらを見る。


「そんな一大事に「ただいま」「お帰り」って悠長に挨拶交わしてたの!」と声をあらげる。


「中にいれば安心だ。少し前にもこんなことがあったけどなんともなかったしね」


僕は、まだ不安を拭えないまま彼女と避難する。地下に逃げようと廊下の角を曲がったとき絶句した。そこに


は、全身を黒いマントで覆った3人の男がナイフを掲げて立っている。


「安心って言ったじゃん」と涙目になりながらツッコミをいれる。男達が動き出すのを、目で追おうとしたそ


の瞬間、腹を思い切り蹴られる。「痛っ、ぐえ」血を吐きながら帰宅部エースだったシンジは、何も成さない


まま一発KO、地面に倒れこみ喘ぐ。そんな中彼女も同じ事をされたのであろう、体をぐったりとさせ男に担


がれ、連れていかれる。


「ま、待て」懸命に腕を伸ばすが彼女は、もう森司の手の届くところには居なかった。


自分にもっと力があれば「くそ、くそ、くそ、」こんなに後悔したのは久しぶりだ。その刹那、肺から込み上


げてくる何かを感じた。


森司の中で何かが壊れ、切れた。そしてまた何かが生まれた。


大粒の涙を流しここに誓う、「絶対、君を助ける」



最初と最後を合わせようとしたんですが次回への持ち越しとなってしまったこと。


謝罪します。


次回もよろ

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