プロローグ
なぜ僕は、今ここにいるのだろうか・・・
一人荒野にたたずむ彼は今、今世紀最大の困惑を浮かべていた。
時は、遡ること数時間前・・・
高校2年生だった僕「佐藤 森司」はいつもと変わらない平凡な学校生活を終え家に帰る途中だった。そんな男の前に人生で初めて平凡でない出来事が降り注いだ。僕の家から学校までへの道のりには、一軒のタバコ屋があるのだが、ことはその店の店主である70代後半のおばあちゃんとの会話から始まった。
いつものように店の前を通り過ぎようとすると、「しんちゃんお帰り~」と優しい声が聞こえる。声の主の方を向きながら僕も「ただいま、ばあちゃん」と返す。言っておくが僕と、このばあちゃんは、祖母と孫の関係ではない。 ご近所さん というよくあるような関係だ。話が逸れたが僕とばあちゃんは、他愛もない話を毎日するのが日課となっていた。10分ぐらい経っただろうか、くぎりのいいところで話を切り上げばあちゃんから目を離す、、、するとその瞬間眩い光と共に視界が遮られる。
1分ぐらいだろうか、たったそのくらいの短い時間で景色が一変した。今現在僕の立っているところを一言で言い表すのだとしたらそれはまさしく『異世界』。こう形容するのが一番しっくりきた。
見たことのない地形、地質、空の色。そう今僕は、地平線まで広がる広い荒野に置き去りにされている。
「なんだこれ~~~~~」と声を大にして言いたかったのだが、あいにく僕は恥ずかしがり屋、心の中で留めておくことにした。それから僕はその場に座り込んでしまった。どのくらい時間が経っただろうかボヤけていた意識が急に覚醒した。辺りが薄暗くなっているなか一つの影がこちらに向かってくる様子が見てとれた。
人を見つけた、という安堵からなのか その影に恐怖を覚えたからなのか 今となっては思い出せないがきっと前者であろう。僕は、その場に倒れ込んだ。
「大変、!!人が倒れてる!」その言葉を最後に僕の意識は、暗い闇に落ちていった。