決闘 / お誘い / 予知夢 / 悪戯 / 残照
お題
『恋敵』と『光』を使って140字SSを書きましょう!
また恋敵だよ…
【決闘】
早朝の朝靄に包まれた朧な光が辺りを照らす。静閑な木立をぬい微かに草を踏み分ける音が近付いてくる。役者が揃った。立会人が簡潔にルールを告げ、僕は恋敵と背中合わせに歩き出す。一世一代の舞台の上で僕は不実な君を思いながら立ち止まり振り返る。銃口を空に向け、君の幸せを願い引き金を引いた。
お題
「早朝の会議室」で登場人物が「うつむく」、「花火」という単語を使ったお話を考えて下さい。
早朝で、花火…しかも室内
【お誘い】
まだ誰もいない早朝の会議室で僕は携帯をいじっていた。「おはようございます」彼女の元気な声が響く。「おはよう」僕は俯いたまま。彼女は黙々と資料を整え、長机にキビキビと並べていく。「ねぇ、花火を見に行かない?今予約チケット買ったんだけど」彼女は一瞬沈黙し呟いた。「浴衣買わなくっちゃ」
お題
『夢に出てきたんだ』を最初に使ってSSを書いてください。
これもよく使うセリフ…
【予知夢】
「夢に出てきたんだ」彼はそう呟くと足早に歩みを進め、角を曲がった処で立ち止まり怯えた瞳で僕を見つめた。赤茶けた煉瓦塀に隠れる様にそっと来た道を振り返る。すれ違った男はまだそこにいて背中を丸め煙草に火を点けている。銃声が響いた。彼は呻き声を上げ顔を覆った。何も出来ぬ自分を恥じて。
お題
『どうしても行かなきゃ駄目?』を最初に使ってSSを書いてください。
イメージ楽ヽ(*´∀`)ノ
【悪戯】
「どうしても行かなきゃ駄目?」僕の前に押し黙ったまま座る母を上目遣いに見上げた。ほんの悪戯心だったんだ。落とし穴を掘ったのは。引掛かった馬鹿な奴が足の骨を折るなんて、想像できるはずがないじゃないか。言わなきゃ僕だって判らないよ。そんな僕を見つめる母から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
お題
『紅茶』と『楽器』を使って140字SSを書きましょう!
ヘンリー…
【残照】
彼が僕の為に特別にブレンドしてくれた紅茶は、古色然とした楽器の、深みのある飴色の音のようなまろやかな味わい。舌を刺激する僅かな苦味が過去の記憶を呼び起こし、ティーカップの金色の鏡の中に君の面影が映し出される。又、泣いているの? 金の水面が揺れる。僕は目を瞑り君を一息に飲み下した。