論理 / 願い / 雪見障子 / 嵐 / 昼食
お題
『身勝手な論理』をお題にして140文字SSを書いてください。
【論理】
「お願い、愛しているの」膨れてそっぽを向いている僕を、上目遣いに見上げるきみ。またかい? いい加減にしてくれ! その言葉だけで、きみは何でも願いが叶う、何をやっても許される、そう思っているのだろう? それは、きみにしか通じない身勝手な論理。だけど、僕にだけは通じる理不尽な論理。
お題
〔来るなと願った日〕です。
〔「かぎかっこ」の使用禁止〕かつ〔「明かり」の描写必須〕で書いてみましょう。
【願い】
来るな、来るなと願ったその日が、ひたひたともう眼前にまで迫っているのを感じていた。僕は闇に沈む部屋の中、祭壇の燭台に火を灯す。闇に浮かぶ一点の輝きに頭を垂れ、跪く。ああ、どうか神様、僕から彼女を奪わないで下さい。僕という闇を照らす、ただ一つの明かりをどうか奪わないで下さい。
お題
『布団』と『犬』を使って140字SSを書きましょう!
【雪見障子】
腕を伸ばして雪見障子を引き上げると、ぼた雪に薄らと茶の透ける白い庭。朱い屋根の犬小屋でお前は身を伏せて眠っていたのに、すぐに気が付き駆け寄って、縁側の縁に前足を掛け、しきりに尾っぽを降っている。すまないね。私はもう、この布団から出られないんだ。お前の散歩はようく頼んでおくからね。
お題
〔君を忘れて〕です。
〔オノマトペ禁止〕かつ〔風景描写必須〕で書いてみましょう。
【嵐】
君を忘れてしまえれば、どれほど楽になるだろう…。彼は彼女と共に植え、水を遣り、心を掛けて育ててきた咲き誇る薔薇の中で、激しく己を叩く空を見上げた。降り注ぐ雨は、枯れる事のない自らの涙。空を裂く稲光は手放すことの出来ない怒り。恋を忘れて見まえる晴れ間など、彼が望むべくもなく…。
(出演:「夏の嵐」ディック)
お題
『それ以上は許さない』をお題にして140文字SSを書いてください。
【昼食】
「それ以上は許さないよ」僕は弟を睨みつけた。弟は素知らぬ顔で僕を無視する。赤い液体が飛び散る。鼻を突く匂い。僕は怒り心頭。二人で頼んだものなのに! 僕が嫌いなことを知っていて! 少しでも自分の取り分を多くしようとタバスコを掛けまくる弟の姑息なやり方に、どう報復してやろうか!