鬼火 / 輪 / 溶解 / 裏切り / 呪い
《 お題 》
「夜の海辺」で登場人物が「泣きじゃくる」、「アイス」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【鬼火】
星のない漆黒の闇を、
漁火にしては暗く仄青白い炎がゆらゆらと漂い上下に跳ねていた。
溶け切った棒つきアイスでべとべとになった手を沖に向かって伸ばし、
子は泣きじゃくりながら引いて行く波を追う。
「一緒に…」
だがその声も虚しく、
高く盛り上がり覆い被さった高波が、一息に子を岸辺へと押し戻す。
《 お題 》
〔何度でも、繰り返す〕です。
〔カタカナ語禁止〕かつ〔「逃げる」描写必須〕で書いてみましょう。
【輪】
また一つ、
自らの命を消す直前の断末魔を、
こと切れる瞬間の絶望を、
彼は雲の上から眉根を寄せて聞き眺めていた。
苦しみや痛みを抱えていては生き難かろうと、
真っさらにして送り出すのに、
何故、彼らは同じ過ちを何度でも、繰り返すのだろうか…。
この捲りめく輪廻の輪からは逃れられぬというのに。
《 お題 》
『手だけつないで』をお題にして140文字SSを書いてください。
【溶解】
手だけつないで、と差し出された悴んだ指先を、
そっと包み込むように握り締めた。
ほんわりと緩み解れる君の手が僕の掌の中で溶けていく。
僕は何度も力を込めてぎゅっと握る。
朧で儚い指先を。
傍らで微笑んでくれている、希薄で、曖昧で、消えてしまいそうな君を確かめる為に。
僕の傍に繋ぎ留める為に。
《 お題 》
『やっぱり君が』を最初に使ってSSを書いてください。
【裏切り】
「やっぱり君が、」
彼は全てを言葉に乗せず顔を背けた。
その続きを知る僕は、そっと彼の手を取った。
「ありがとう」
消え入りそうに囁いた声は、彼に届いただろうか?
いいんだ。僕は知っている。
もう彼の瞳に映る僕は今までの僕じゃない。
その瞳が優しく微笑むことも…。
僕はもう君の友じゃないものね。
《 お題 》
『足元』と『朝』を使って140字SSを書きましょう!
【呪い】
仄かに空が白む時、
僕は踏み締める大地に呪いの言葉を吐き掛ける。
一歩、一歩、吐き捨てた言葉を踏みしだく。
朝日の中に霧散する僕は、その足跡の中に僕を残して。
透明な足元に刻まれた言葉は、怨嗟を挙げて蠢き散らばり粒子になる。
拡散する。
彼方へ。
笑い興じる君を探して。




