潮騒 / 赤光 / 霧中 / 累々と / 落日
《 お題 》
『目を閉じれば』をお題にして140文字SSを書いてください。
【潮騒】
目を閉じれば波の音。
湧き上がる入道雲。
紺碧の海で戯れる君。
毎年家族で訪れていたあの海岸が蘇る。
幼かった君は、今純白のドレスを纏い、私の手から離れていく。
波の様に打ち寄せる思い出に泣き濡れる君。
花嫁が泣いてはいけないよ。私は一人で大丈夫。
淋しい時はあの遠い日の潮騒に耳を澄ませるよ。
《 お題 》
『大地』と『七色』を使って140字SSを書きましょう!
【赤光】
ステンドグラスの七色の影が大理石の床に静謐な模様を描く。
ここだけが別世界のように、荘厳で穏やかな空間だった。
私は腕を指し伸ばし、天から降りる光から赤を選びこの掌に受ける。
赤く染まる。
神の許しを得た様に、赤く染まる私の手。
握り締め、この聖堂の扉を開けた。戦場へ。血塗られた大地へと。
《 お題 》
『ずっとあなたと』を最初に使ってSSを書いてください。
【霧中】
ずっとあなたと。
白く漂う霧の中に妻の囁く声が聞こえる。
亡くなった妻の最後の言葉だ。
石畳に靴音を響かせ私は声の方へ向かう。
私の靴音に重なり軽いヒールの音が続く。
立ち止まると止まる。
石造りの壁に反響する靴音。
私の中で反響する妻の声。
冷たく濃い霧の出る日、私は妻の姿を探して彷徨い歩く。
《 お題 》
「深夜の図書館」で登場人物が「捨てる」、「本」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【累々と】
深夜の図書館に忍び込み、僕は二階の吹き抜けから一冊ずつ本を叩き落とした。
君が薦めてくれた本。
好きだと言った本。
累々たる屍を築くには全然足りない。
君が読んだと言った本。
硬い床に散らばっていく屍達。埋め尽くすには足りないけれど。
最後に頁を破って撒いた。
君の名前のついた僕の書いた本…。
《 お題 》
〔さよなら、さよなら、またいつか〕です。
〔二次元ネタ台詞の引用禁止〕かつ〔キーワード「猫」必須〕で書いてみましょう。
【落日】
さよなら、さよなら、またいつか…、
唄いながら坂道を登った。
息が切れる。自転車が重い。
坂道の上の夕陽に向かって地面を踏みしめる。
夕暮れというのは、どうしてこう郷愁を呼び起こすのだろう。
哀しい事など何もないのに。
全てを呑み込む茜色に人は蕩ける己の落日を見るのだろうか。
いつか来る日を。
(あ! 「猫」忘れていた!)




