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形見 (残酷な友人シリーズ)

《 お題 》

〔知らないよ〕です。

〔一人称視点禁止〕かつ〔光の描写必須〕で書いてみましょう。


【形見(一人称)】

知らないよ。君は薄ら笑って嘯いた。君がこの部屋に来る度に物がなくなる。財布からお金が抜き取られる。そんな事はどうでも良かったけれど、あれは駄目だよ。お祖母様の形見なんだ。そんな高価なものじゃない。返して。君の冷ややかな笑みにその一言が言えない。きみがここに来なくなる事が只怖くて。



(書いてから色々縛りを忘れていたのに気付き、三人称で直してみました)


【形見(三人称)】

「知らないよ」朝日の中、少年は眩しげに瞼を持ち上げた。傍で彼の友人は今にも泣き出しそうな顔をして立ち竦んでいる。「大切な形見なんだよ」何度も問い掛けているのに、少年は差し込む陽射しに目を眇め面白そうにニヤつくだけだ。「それがどうかした?」恨みがましい彼の眼に少年は遂に笑いだした。






《 お題 》

『無理なものは無理』を最初に使ってSSを書いてください。



【池】

「無理なものは無理だよ」彼は僕に背を向けたまま、まるで笑っているかの様に呟いた。パシャン、と水の跳ねる音がする。「だって、この池に落としてしまったのだもの」振り向いた彼の瞳が嗤う。睡蓮が僕を慰める様に水面に揺れる。可哀想に。諦めなさい、と。僕は上着を脱ぎ捨て池に足を踏み入れた。






《 お題 》

『嘘吐き』を最初に使ってSSを書いてください。



【時計】

嘘吐き…。僕は心の中で呟いた。彼が等々と自慢するあの時計は、父親に貰った物なんかじゃない。隣町の質屋で買ったんじゃないか。僕もそれが欲しくて買いに行ったから知っているんだ。君が僕から盗んだ祖母の形見を売ってそれを買ったって事。時計が欲しかったのなら、そう僕に言えば良かったのに…。





《 お題 》

『花束を抱えて』をお題にして140文字SSを書いてください。



【花束】

花束を抱えた彼を、僕は距離を計りながらつけていた。どの家の娘にあの豪華な花束を贈るのか見届けなければ気がすまない。彼は家々を通り過ぎ、遂には村外の教会にまで来ていた。裏手にある墓地に向かい、白い墓碑の前に花を置いた。彼が去った後盗み見たその墓碑名は、あの時計に刻まれた名前だった。






《 お題 》

〔昔の話をしてほしい〕です。

〔二次元ネタ台詞の引用禁止〕かつ〔キーワード「楽譜」必須〕で書いてみましょう。


【楽譜】

僕は小高い丘の上で微睡む彼を見下ろした。風が、彼の傍らの楽譜の束を巻き上げる。僕は慌てて舞い上がるそれを追い掛け捕まえた。教会のパイプオルガンを弾いていた君。鍵盤にしか語りかけない君。僕はあの質屋で祖母の形見を買い戻した。だから、もういいんだ。それよりも、君の昔の話をしてほしい。












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