ベランダ / 楽譜 / ドアの向こう / 女神 / 晩餐
お題
「早朝のベランダ」で登場人物が「泣く」、「DVD」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【ベランダ】
選んだDVDがまずかった。徹夜の鑑賞会の最後の一本。あくびをし目を擦り、寝こけている奴もいる。あいつは、煙草、吸って来る、と朝日の差すベランダに出た。俺は婆さんが死ぬ最後の場面を眺めていた。「流石に眠いな」エンドロールで戻って来たあいつの眼が赤い。そういう事にしておいてやる。
お題
〔何度でも、また〕です。
〔地の文のみ禁止〕かつ〔キーワード「楽譜」必須〕で書いてみましょう。
【楽譜】
朝日の中、床の上に散らばる楽譜を、足音を忍ばせて拾い集めた。漂う旋律をシーツにした微睡む君を起こさぬように。「どこまですれば、君は満足するのだろう?」手の中の走り書きを順番に揃え、音符を追う。呟いた僕に「ミューズに逢えるまで。何度でも、また書き直すよ」目を瞑ったまま君は微笑んだ。
お題
『きちゃだめ!』を最初に使ってSSを書いてください。
【ドアの向こう】
「きちゃだめ!」甲高い彼女の叫び声がドア越しに聞こえる。「でも、」僕は心配で何度もドアを叩いた。先程から絶え間なく続く彼女の苦しそうな呻き声。
持病の発作か、それとも怪我でもしたのか…。バスルームだからと躊躇していたけれど命には変えられない。ドアを開けた。そこには床に伏す彼女と…
(書きかけの短編ホラー系ファンタジー。止まったまま)
お題
『恋して愛して、憎んでる』をお題にして140文字SSを書いてください。
【女神】
僕は君のその美しさに恋をした。咲き誇る花よりも可憐で、雨上がりの虹のように儚げなその姿態に。僕は君のその気高い魂を愛した。誇り高く、自らに忠実に偽ることを知らないその心を。そして、今、僕は心底君を憎んでいる。僕の心を知りながら、決して振り向いてはくれなかった氷のように冷酷な君を。
お題
〔死に急ぐ君〕です。
〔三人称(彼、彼女等)の使用禁止〕かつ〔食事描写必須〕で書いてみましょう。
【晩餐】
危険な任務ばかり受けたがる君は、全ての事に感心がない様に振舞うのに食事だけは違った。クロスを敷き、綺麗に磨いたカトラリーを並べる。今だけは簡素なアルミが銀食器に。缶詰がご馳走に。美味しそうに食べる君は肩を竦めて笑う。「最後の晩餐になるかも、だろ?」それが死に急ぐ君のこだわりかい?




