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熱 / 混沌 / 瞼裏 / 紫煙 / 楽園

お題

#リプできた単語を入れてSSを書く  「扇風機」


【熱】

扇風機の単調な風の前に、顎を仰け反らせて全身を晒した。火照った熱が帰化してゆく。一瞬の冷気が生暖かく変わっても、絡みつくゆらゆらとした熱を吹き飛ばして、と澱んだ瞳を天井に向けた。体に当たる風はすぐに私の中で渦を巻き、螺旋となって立ち上る。透過できない。ザルの目が詰まり過ぎていて。




お題

#リプできた単語を入れてSSを書く  「混沌」


【混沌】

赤。青。気。紫の空に四角い箱が行進する。僕を取り囲む黄は濁として、僕を嘲り笑い、追いかけ、押しつぶす。混ざり合うスペクタクルは透明。静寂に僕は溶け出し黄に混じる。捩れ、千切れ、バラバラに飛び散る。放り出された紫の空は、群青に侵略され既にない。闇の中、混沌は凝固し僕になる。




お題

#リプできた単語を入れてSSを書く  「綺麗」


【瞼裏】

「綺麗ね」ぽつりと彼女は呟いた。何のことなのか僕には解らなかった。普段と同じ街の風景。通り過ぎる自動車の音。埃だらけの日常。何十年も経った今、死を前にしてやっと思い当たった。あの時彼女が見ていたもの。この街を捨てる彼女が最後に目を留めたもの。それは僕が彼女の為に流した涙だった。



お題

『天国にいきたい』を最初に使ってSSを書いてください。


【紫煙】

「天国にいきたい」きみは、小さな天窓から覗く切り取られた四角い空を見上げて呟いた。体育倉庫の埃だらけのマットの上に片膝を立てて、銜え煙草をくゆらせるきみ。真っ直ぐに立ち上る紫炎は、揺らぎ、惑い、窓まで届くことなく消えてゆく。決して届かない透明な青が、僕には見えないきみの天国。




お題

『楽園』と『永劫』を使って140字SSを書きましょう!


【楽園】

立ち上る陽炎に世界が揺れる。灼熱の太陽に、膨張する生々しい草いきれ。「とうとう見つけた!」僕は大声で叫んで緑の中に走り込んだ。眼前に広がる未来永劫続く快楽を与えてくれる草原。叫び、跳ね回る僕の遥か向こうで、キラリと何かが光る。響き渡る銃声が、楽園には番犬がいることを教えてくれた。


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