オレンジ / 渇き / 救済 / 通り雨 / 感触
お題
「夜の事務所」で登場人物が「始める」、「オレンジ」という単語を使ったお話を考えて下さい。
前にやったかな?
【オレンジ】
僕は残業で夜の事務所に残っていた。静まり返った狭い部屋の最後の一人が帰った後、僕はほっと息をついて引き出しからオレンジを取り出した。向きかけの皮をペラリと逸る。彼女がそっと顔を出す。差し入れで貰ったオレンジの住人。この一つだけが当りだった。僕は一日の出来事を嬉々として話始めた。
お題
『喉が渇いた』を最初に使ってSSを書いてください。
腹減ったの次は喉…
【渇き】
「喉が渇いた」男は虚ろな眼を豪奢な天井に向け囁くように呟いた。全てを手にした身で在りながら、癒されない渇きを抱き、男は酒を煽る。浴びるほどに。飲む程に渇く心に悲鳴をあげながら。旅先でそんな男に差し出された一杯の水が初めて男の渇きを癒した。嫌、癒したのは、女の白魚の手であったか。
お題
『素晴らしく救われないだけの、恋愛話』をお題にして140文字SSを書いてください。
長い!
【救済】
「素晴らしく救われないだけの、恋愛話…これって日本語おかしくない?」彼女は眉を顰めて僕を見た。「素晴らしく救われないってどんな恋愛よ?」「ん? きみと僕みたいなものじゃないかな。これを恋といえるならね」「救われない?」彼女は僕の首に腕を回す。「救いようがないね、姉さん」
お題
「早朝の書店」で登場人物が「見つめ合う」、「飴」という単語を使ったお話を考えて下さい。
飴がミソね
【通り雨】
行きつけの書店は早朝から開いていて、ウインドウに面した飴色の天然木カウンターで、本を読みながらモーニングを食べられるのが売りだった。小雨が降り出し、雨宿りに軒に入った女が店内を振り返る。ふと、見つめ合った。女はすいと去って行った。数分後、湯気の立つコーヒーの香りが横に座っていた。
お題
〔伸ばした腕〕です。 〔「!」の使用禁止〕かつ〔「走る」描写必須〕で書いてみましょう。
走るのか…
【感触】
毎夜、夢を見る。懸命に走る君。僕に向かって。君が伸ばした腕を、僕は掴み損ねた。指先が触れ合っていたのに。届かなかった。汗だくで目覚めたこの部屋に君はいない。何度同じ場面を繰り返してもこの手が届くことはない。君は僕の前で銃弾に倒れたのだから。掴んだ手に残るのは繰り返される悪夢のみ。