第4話
久々の更新です。
第3話を投稿した直後に数行書いたのですが、続きが書けずに足踏みしておりました。
試合のあと、チカとミウちゃんは、球場の外でそれぞれの彼氏と対面した。
わたしも付いて行った。
「お久しぶりです!」
坂下さんと同じユニフォームを着た選手が、わたしに近づき、朗らかにあいさつをしてきた。
選手たちとは顔見知りではないから、戸惑っていると、その選手は悲しそうな顔つきになった。
「ぼくのこと、忘れちゃいましたか?」
「前山くん、でしょう?」
自分と年齢が離れていることを意識していたので、ついつい、敬語を使わずに、『さん』じゃなくて『くん』付けで呼んでしまった。
「覚えていてくれて嬉しいです。今日は、友達の彼氏の応援に来たんですよね」
「それ、どうして知ってるのかな?」
「うちの親が、あの試合の後にぼくと立ち話をした人は、相手チームの応援に来てたんだって言ってたからですよ」
前山くんのご家族に話したことが、本人に伝わってしまっていたとは。
今になって、恥ずかしい思いになる。
「ごめんなさい。相手の応援に来たなんて言っちゃって」
「いいですよ。友達の彼氏のついでにぼくのことも応援してもらえれば。都市対抗は、補強選手に選んで頂けて、このユニフォームで出場しますから、よろしくお願いします!」
「ついで、じゃなくて、一番応援してる!」
わたしは、本当の気持ちを口にしてみたのだが、前山くんは疑い深そう。
「そんなふうに言わなくてもいいです。今日会えるなんて思ってなくて、ちょっと、いや、すごく嬉しいんですけど」
「わたしみたいな、顔も性格も特にいいわけじゃない人に会えて嬉しいなんて、変わり者だね」
「変わり者なんて言われたのは、初めてですよ。思ったことを言っただけなのに」
ちょっとむくれる前山くんって、かわいいな。
6つも年が離れているからか、『弟を見るお姉さん』のような目線になってしまう。