桃 できること できないこと (2篇)
桃
星のようにきらめいていた町の灯りが
朝の光に吸い込まれて
消えていく
夏の朝はこうして開ける
桃色がゆっくりと
色の無かった空を染めていく
町が光の中に浮かび上がり
町は目覚める
桃がひとつ
夏を手の中に包む
もそもそとした毛をした皮
つまんでするりとむく
滑らかなクリーム色に
柔らかな桃色がにじみ
甘い香りが漲る
夏が来た
*** *** ***
できること できないこと
できることよりできないことが多いいと知った
嬉しいことなのか、悲しいことなのか
安心していいのか、不安になったらいいのか
できないことが多いということは
人生、生きることが簡単だということだろうか
それとも、難しいということだろうか
できないことが多ければ
できることがもっと明確になる
そうしたら、それだけを一生懸命すればいいのだろう