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文字が読めない

 カナリアが鏡を見つけてから、三年が経った。ドッテーヘン村は相変わらず貧乏だが以前よりは豊かになった。それというのも、あれ以来ゴミ捨て場に高価なゴミが多く捨てられるようになったからだ。衰弱しする人数も一日一人から三日に一人と減った。なにより、この三年で村には井戸が作られていた。それにより水の確保がより確実に行えるようになった。ちなみに以前は雨水を貯めていた。なぜなら、川は東の森の中腹にしかなく、水を汲みに行くのは自殺行為であったからだ。

「変わったなぁ」

カナリアは村の中央広場の大樹に祀られた鏡を見ながら呟く。大樹の横には井戸があり、カナリアはそこで水を組む。

「しかし、あの人は一体?」

カナリアは首を傾げて最近、といっても一年と半年前だが、村に来た人のことを考える。

 --リズム・ファーフレン。隣国タートンバレル共和国出身の自称、賢者。井戸を作れたのもリズムの知恵あってこそだ。だけど、彼?彼女?は一体?ゲームにあんな中性的なキャラクターなんていただろうか。いや、いなかったはずだ。そもそもで、あのゲームに隣国のことなど出てこなかった。

・・・まてよ、確かあのゲームは続編があったはず。毬沙が満面の笑みで「今度のね、『君がために僕はある』の続編が出るらしいの。〇〇も一緒にやるよね」って言ってきたのを覚えてる。苦行でしかない予感がしたけど私はそれを了承して、発売前に息絶えたということか。ふむ・・・ということはリズムは続編の登場人物?だが、だとしたら登場のタイミングがおかしいような。いや、続編ではもしかしたらカナリアの過去が多く語られて?いるのかもしれない。そこにリズムが出てきたのでは。

 それか、あるいはリズムは私と同じ転生者・・・

カナリアはそこまで考えて、それはないというように首を振る。

「いや、それはないか」

「何がないのでしょう」

「!?」

考え事をしていたためか、目の前にいる人に気付かなかった。蜂蜜色の髪に深い藍色の瞳。中性的な顔立ちで身長は恐らく165㎝ぐらいだろうか。着ているのは上質そうな白のシャツに黒いズボン、茶色の革靴。自称、賢者で気のいい村の人たちからも賢者と呼ばれる人。

「り、リズムさん。いつからそこに」

「いえ、貴方が水桶を抱えたまま動かないのでどうしたのかと」

「あぁ、その考え事をしていて」

「なるほど、確かに貴方はもうすぐこの村を離れますしね」

リズムは穏やかに笑いながら言う。

「もうすぐ?」

「えぇ。だって、カナリアちゃんは魔力持ちで、今年で十才だろう?四の月の初めには魔法学院に通うことになるさ」

「どうして、私が魔力持ちって知って?」

 --隠していたのに。

「うん。あぁ、そうか。僕も魔力持ちだからね。魔力持ちには魔力持ちが分かるのさ」

「でも、私はわからない」

「それは君が魔力について無知だからさ。それに僕は魔力持ちと気づかれないようにしているからね」

リズムはそう言ってカラカラと笑う。カナリアはその言葉に自身を振り替える。確かにカナリアは魔法のことも魔力のことも何も知らない。と、ここでカナリアはあることを思い出す。

「私、文字書けない」

カナリアが頭が悪いのではない。そもそもでこのドッテーヘン村で文字を読めたり書けたりできるものなどいない。

 --そういえば、確かゲームでは入学するもカナリアは字が読めず、自分のクラスが分からず、右往左往していたっけ。そこで確か男に話しかけられて・・・身の毛がよだつわ。

「リズムさん。文字を教えて」

カナリアは咄嗟に目の前のリズムに助けを求めたのだった。

「僕でよければ」

カナリアは日本語なら読み書きできます。この世界の文字には触れたこともない。

前世の記憶、ゲームの知識もこの世界の文字は日本語とは違うと教えている。

ちなみに新キャラ、リズムは女性(ネタバレ?)転生者かは不明。


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