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外伝? リリーヌ・フォルテ・アドレイス嬢の事情

 リリーヌ・フォルテ・アドレイスはアドレイス男爵家の末の長女として生まれた。上には年の離れた二人の兄がいた。リリーヌは末の娘として、初めての女児として可愛がられ甘やかされて過ごした。しかし、リリーヌは甘やかされている時、常に疎外感を感じていた。もっと具体的に言うなら、甘やかされるたびに、どうせこの子は小さいから何もできない、女の子だから家のことなど話しても仕方ない、と言われているように感じていた。だから、リリーヌは両親や兄が止めるほど本を読み、魔法を練習し、淑女にふさわしい作法を身に着け、華麗な踊りを踊れるように何もかもを頑張り、七歳のころには周りから完璧な淑女と褒められるようになっていた。性格も良く誰にでも分け隔てなく接する、リリーヌはそんな令嬢だった。

 そんな彼女が前世の記憶を蘇らせたのはサジタリウス魔法学院への入学を十日後に迎えた日のことだった。その日、リリーヌはサジタリウス魔法学院の学生寮に来ていた。自分が住むことになる部屋を見ておこうと思ったのだ。そのような子たちは他にもいて寮は賑やかだった。ただ、その賑やかの中に一つ、気になる騒ぎがあった。もともと今年の入学は平民から一人魔力持ちが出たとのことで噂になっていたのだが、どうもその騒ぎはその平民に関することのようだ。どうもその平民のルームメイトが誰になるかということで揉めているようだった。どんなに生徒みな平等を謳う学院でも一人一人の意識は変わらない。彼女たちは平民と一緒に過ごすことを嫌がる。だからと言って平民である少女に一人部屋を与えるのも嫌だという彼女たちは揉めに揉めていた。

「貴女が・・・」「いえ、貴女が・・・」「あなたが・・・」

その押し付け合いは収まりそうになく、見ていて気持ちのいいものではなかった。だから、リリーヌは言葉を発した。

「私がその方と同室になりましょう」

その言葉でその場は収まった。そして、リリーヌは同室となる平民の名前と出身を聞いて静かに前世を思い出した。特に知恵熱を出すことはなく、ただ静かに自分の前世を思い出し、この世界が同室の子を主人公に展開する乙女ゲームの中だと思い出した。だからと言ってどうにかしようとは思わなかった。リリーヌはそもそもで乙女ゲームに名前も出てこないモブなのだ。同室になったところでどうもしないだろうと高をくくっていた。

 だから、リリーヌはその日驚いたのだ。三の月の最終日、その同室の子が自分と同じ時間にいや、それより早くその子が寮の前にいたことに驚いたのだ。それも、一人でいた。ゲームの中のオープニングでは確かに攻略対象の一人であるアルフレッド王子に案内されて楽しそうに笑いながらそこにいたというのに彼女は一人でそこにいた。リリーヌは驚いて思わず声をかけた。

「カナリアさん」

その声はとても小さかったはずなのに彼女には聞こえたのか振り返ってきた。と、同時に彼女が息を飲むのが聞こえた。

「あ、すみません。私、カナリアと申します。庶民ゆえ、氏はありません。よろしくお願いします」

カナリアは言うや速いが同時に腰を九十度に曲げてお辞儀をした。

「そう、やはり貴方がカナリアさんでしたか。十何年ぶりの平民から出た魔力持ちだそうですね。私はリリーヌ・フォルテ・アドレイスと申します。わたくしのほうこそ、今後とも仲良くして頂きたく存じます」

リリーヌは言ってドレスの裾を上げ左足を下げ右足を軽く曲げる。

「はぅああ。あ、あの、私のような平民なんかと仲良くしていただけるのですか。リリーヌ様」

カナリアは目を潤ませ幸せそうに言う。その様子にリリーヌは少し違和感というか危機感を覚えた。

 --なんでしょうか。この子のこの眼は。このキラキラした目はまるで恋する乙女の・・・。いえ、女同士でそんな、いえ、それはただの差別ですわね。彼女がたとえ同性愛者でも大丈夫ですわ。でも、ゲームのカナリアさんにそのような設定はなかったはずですし、いわゆる敬愛でしょうか。それともまさか、彼女も前世の記憶を。

そのようなことを考えながらリリーヌはカナリアに接しった。その結果、約一日でカナリアがおそらくは同性愛者であると確信した。確信した理由はお風呂場でリリーヌの裸を見て鼻血を流して、「はぁうあ。天使すぎる。あぁうあぁ、あぁ、駄目よ。こんなのリリーヌ様に嫌わたら生きていけない」とすごく小さな声で呟いていたのだ。それはリリーヌが地獄耳の魔法を使用していなければ気付かないことだったろう。取りあえずリリーヌは何事もなかったかのようにカナリアに接することにした。

 --人の感情は操れませんからね。まぁ、害はなさそうですし良しとしますか

 別に続き考えるのが面倒だったわけじゃないんだからね。リリーヌも実は記憶持ちです。カナリアが記憶持ちだとは気づいてない。あと別にカナリアの性癖に関しては気付いたけど何も思わない。

どんな人とでも仲良くなれたらいいな。←リリーヌの信念?

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