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第六話 船を修理しよう2

 780cから500cが飛んで、280c余った。

 最後に艦対艦小型レーザー....つまりはこの艦の主砲が残ったが、残念ながら280cで買える5J以上のレーザー砲はない。クレジットの価値は知らないけど、兵器に関しては500cが一つの基準になっているっぽい。500cを超えたら、そこそこ高いって感じだな。

 まだそうと決まったわけではないから、あまり油断は出来ないけど。


 この艦には、主砲は二つ搭載されていた。右舷に一つ、左舷に一つ。

 右舷の主砲がもぎ取られたので、左舷しか使用できないけど。まあ、仕方がない。そもそも、しばらくは民間の依頼を受けるつもりだし、主砲はそこまで重要でもないだろう。

 輸送依頼とかを受ければ、そこまで危険でもないだろう。

 民間の会社は、そこそこの大きさになると輸送を軍に依頼する。

 多少高くついても軍に依頼するのは、単純に安全だからだ。

 もしも安い民間輸送会社の輸送船に輸送してもらって、それでノウンに撃沈されればそれで終わり。輸送代も商品代も全てぱあだ。

 だが、軍の艦に輸送してもらったらどうか。

 輸送できる量は少ないし代金も多少高くつくが、ノウンに落とされる確率は比べるべくもない。


 とまあ、そういうことだ。

 もちろん、依頼によって搭載可能量を越してないかなどの審査はあるが、小さい依頼をちょこちょここなせばそこそこの収入にはなるだろう。


 それに、調べていて分かったが、この艦には高性能のレーダーが積まれている。

 それこそ、ただの新人が搭載できるようなものではない。調べてみたら、1000cもした。クソ高い。まあ、フリゲート艦に搭載できる主砲なんてたかが知れてるし、それならレーダーを積んで戦闘を回避したり、戦況を把握して有利に進めるほうがいいという判断だろう。

 たぶん、親のコネかもともと金を持っていたか。そんな感じだろうけど、今はそれが非常にうれしい。さっき買ったシールド発生装置のポテンシャルも、十分発揮できる。

 シールド発生装置の弾道予測は、レーダーで正確な情報を得れば得るほど正確性が高まるらしい。


 と言う訳で、輸送任務には向いた艦なのだ。

 搭載可能量さえ目をつぶれば。


 さて、さっさと購入するか。

 ぐだぐだと考え事をしていたが、まだ購入していない。アマ○ンで言えば、カートに入れただけの状態だ。

 一括で購入する。2220cの出費だ。確認ボタンを押して、本人確認をする。

 すると、『工廠を指定しますか?』という表示が。よく分からないのでnoを選択。

 続いて『すぐに装備の変更を行いますか?』との表示。できるだけ早く装備したほうがいいだろうし、yes。まあ、すぐにと言っても少し時間が開くだろう。


 なんて思った次の瞬間、ガコン、と船が揺れた。


「うわっ、なんだ?」


 口に出してみるが、なんということはない。

 たぶん、工廠に連れていかれるんだろう。すぐに装備しますか?なんて聞かれたけど、まさかここまですぐだとは思わなかった。


 とりあえず、メインルーム(初めにいた部屋。この船で一番大きいのでそう名付けた)に向かう。さすがに、装備の結構大規模な変更が行われるのに部屋でだらだらしているわけにもいかないだろう。

 メインルームに映る外の景色は、飛ぶように流れていった。

 一瞬「ふぁっ!?」ってなるほどの速度だったが、重力を制御する装置をこんな小さな戦闘艦にまで積むくらいなのだから、重力制御の技術は相当なものなのだろう。

 それを応用したのなら、この速度で全く慣性が働かないのも頷ける。


 俺のいた時代では、せいぜいが車輪みたいな宇宙ステーションを回して遠心力で重力を作り出す、くらいのものだったのになぁ。それすらもまだ構想段階だったのに、と妙なところで感心してしまう。


 一分もたたずに、船は停止した。

 プルルル、という音が部屋に響く。

 何事かと見ると、俺の目の前――つまりは艦長席の前に設置されているディスプレイに着信があった。通話開始ボタンをタップすると、目の前に3Dホログラムでおっさんの顔が映し出された。地味にすげぇ。


「着いたぞ。さっさと降りてくれ、仕事ができん」

「うむ、分かった」


 はい、分かりましたと言ったんですが、なんでこんなに高圧的な発言をしてるんですかね....?ほんと、さっきから思ってたけどこんなのでやっていけるのか。

 恨まれたりしないだろうか。


 船から降りる。出入口は上下左右にハッチが一つづつあるが、今回の戦闘で一番被害が少なかった左舷のハッチに外側から通路が接続されていることを確認しているので、そこから降りる。

 一番被害が少なかったとはいえ、それでもワープ失敗の反動で装甲はぼこぼこだ。損傷率10%とはいうが、100%で装甲が全部はがれて空気が漏れだす寸前か、すでに漏れ出している状況を指す。つまりは、10%は装甲が剥がれていたのだ。

 ハッチが歪んだ装甲に遮られ、自動で開かなかった。

 仕方がないので、手動に切り替えてガンガンと蹴り飛ばす。しかし、それでも開かない。


 そうしていると、ピピピピピ、とさっきとは違う音が鳴った。

 発信源は....首に下げているネックレス?

 よく見れば裏側にボタンがあったので触れると、目の前にディスプレイが表示された。なんという技術。こんなところにもパソコンが。


 通話ボタンを押すと、今度はおっさんの顔は表示されずに『通話中』という文字とそれを表す画面が現れた。このネックレス型では、顔は表示できないみたいだ。


「どうしたんだ?何かあったか」

「装甲が歪んで、ハッチが開かない。外側から開けてくれないか?」

「了解だ、離れててくれ」


 すぐさま外側からガンガンと叩くような音が響いた後、ハッチが内側にバコンと倒れてきた。外には、レーザーガンっぽい物を持った若い男が立っていた。電話のおっさんではない。この人が助けてくれたようだ。


「悪いな」

「いえ、仕事なんで」


 男はレーザーガン(暫定)をホルスターにしまうと、ポケットから携帯電話?のようなものを取り出した。形状は、スマホに近い。というか、ほぼそれだ。こんな未来の世界でも、スマホはやっぱり健在なのか――と思ってみていると、それに気づいた男が


「これっすか?やっぱこういう仕事してるんで、壊れにくいこいつを使ってるんすよ。ホログラムの端末は安物だと壊れやすいんで。あんまり見ないっすよね」

「ああ、そうだな。ここに来てからは初めて見た」

「ここに来てから?ああ、中央から任務っすか。それとも、別の区域からっすか?」

「あ~....イプシロンからだ」


 何とか日記からの知識から返答を絞り出す。

 この世界、宇宙連合のトップには、五権と呼ばれる五人の最高責任者がいる。その最高責任者たちはそれぞれが等しく連合を動かせるほどの絶大な権力を持っており、かといって暴走が起こらないように互いが互いを監視しあっている。

 互いに監視し、またされる立場にある性質上、あまり仲はよろしくないが、そこは連合のトップ。脅威に対しては手を取って立ち向かい、利益があるなら協力する。

 仕事上の適切な距離感を保っているといえる。


 だが、表面上は均等な五権にも、序列のようなものはある。そのことは、人類のほとんどが知っているが口には出さない、暗黙の了解というやつである。

 五権たちには、各々が管理する領域がある。これが地上なら領地と言ってもいい。

 それは連合がまだ連合になる前、五つの国であった時代の名残らしい。が、もちろんそこには大きさや質の違いがある。


 連合ができる前は、そこがなんと呼ばれていたか。それは記録には残っていないが、現在ではこう呼ばれている。


 広大な領域と豊かな鉱物資源を持つ、アルファ。

 アルファには及ばないものの、広い領域と、アルファをも凌駕する膨大な人的資源を持つ、ベータ。

 他の領域に囲まれ、貿易、輸送の要としてその力を増してきた、ガンマ。

 領域こそ広くないものの、優れた技術を持ち、兵器から3Dアダルト動画まで幅広く生産する、デルタ。

 ノウンの本拠地と思われる場所から最も近い場所であり、質の高い軍を保有する、イプシロン。


 基本的な国力としてはアルファが最も大きく、イプシロンが最も小さい。それは連合発足当初から変わらず、そのままのようだ。

 そして、その力の順に名がつけられた。それがアルファからイプシロンの五領域だ。

 しかし、下の三つ――ガンマ、デルタ、イプシロンの間に力の差はほとんどない。アルファとベータが突出している形となっている。


 もちろん、五権の発言力はその力の順である。だからと言ってそこまで差があるわけでもないが、そこにはやはり、小さな差はある。アルファ、ベータとその他で意見が食い違った場合はアルファ側の意見が通ることはないが、アルファ、ベータとその他で食い違い、イプシロンが静観の意を示せばアルファ側が優先される。

 その程度の差だ。地味に大きいけど。


 そして俺の....セシル・オルブライトの父はイプシロンの主である。

 というわけで、俺はどうやらイプシロンから来たらしいのだ。


「なるほど、イプシロン。あそこは軍が強いですからね。そういえば、さっき1125方面──フラム星系あたりに多数の反応がチラっと出たんですけど、それ関係っすか?」


 日記はセシルが軍学校に所属していた時から続いていた。なので、少々の知識はある。

 1125というのは、方角を示している。連合の中央にある基準から見て、北、東、南、西、上、下に1~6までの番号が振られていて、それで方角を示すのだ。単純に北だとか南だとかで示すこともあるけど。

 1125と言えばつまり....北北東上方面。俺がさっきまで戦っていた場所。フラム星系はそちら方面にある。


「まあ、そうだな」


 そう答えると、男は驚いたように目を見開いた。


「言っちゃうんっすね。絶対に答えないと思ってたんすけど」


 しまった、言ってはいけなかったか。

 いや、言わなくても大体分かっていただろう。そんな反応があった直後に、ボロボロの船がそちら方面からやってきて入渠。明らかに怪しい。

 ....いや、この船がどの方面から来たかは知らないか。データをスキャンする許可は与えていない。なら、完全にしくじったな。


「....忘れてくれ。疲れているんだ」

「そうおっしゃるなら。....ところで、このドアも修理します?しないと、装甲がちょっとでも傷ついた途端に空気抜けていっちゃいますけど」

「そうだな、どれくらいになる?」

「まあ、5クレジットもあれば十分だと思います。装甲でもないですしね。ここ以外は内壁は傷ついてないみたいですし」


 こういう軍用の艦は、内壁から少し隙間を開けて外部装甲を装着しているそうだ。それによって、内壁が破れて空気が外に漏れるのを防いでいるらしい。それを考えれば、ハッチの部分の装甲がへこんでハッチが開かないというのは相当やばい状況だったように思う。

 装甲損傷率10%以下で大破した艦もあるっていうし、気を付けなければ。


 男はさっき取り出してからそのままだったスマホらしきものを少しいじった。


「じゃあ....2225cっすね。修繕には三十分ほどかかりますので、こちらで少々お待ちください」


 ピローン、という通知音がネックレスからなる。

 確認すると、2225cが引き落とされました、という通知だった。すげえ、こんなことまで通知してくれるのか。これなら詐欺とかも防げるな。いや、自分から進んで金を入れる系の....霊感商法的なのには無意味だけど。

 というか、三十分で終わるのか。一か月か、未来であることも考えて数週間はかかると思ってたけど....流石未来流石。


 ボタンを押して、ホログラムを閉じる。


「すごいっすね、それ、結構高いでしょ?」

「....ああ」


 そうなのか。高いのかこれ。


「お客さん可愛いですし、もしかして貢いでもらったんですか?」

「いや、違う。自分で買った」


 分からないけど。

 それにしても、男よ。女性に対して可愛いと褒めるのはいいが、貢いでもらったか?はないと思うぞ。流石の俺でも。

 おや、俺は女じゃないからいいんだけど。


「そうなんですか....。さて、つきましたよ」


 そう言って、休憩室に通される。

あまりに長くなりそうだったので、分割。

説明長いですね、すみません。作者の文章力では、ここで無理やりぶち込むしかありませんでした。申し訳ない。


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