第五話 船を修理しよう
『第三世代型フリゲート艦「 」
右舷5J規格艦対艦小型レーザー砲大破、損傷率93%
右舷装甲小破、損傷率16%
左舷装甲小破、損傷率10%
正面装甲小破、損傷率7%
後方装甲小破、損傷率19%
シールド発生装置中破、損傷率42%
シールドバッテリー大破、損傷率100%』
えーと、まずは何から始めようか。
まず、装甲がぶっ壊れてるのはだいぶ問題があるよね。装甲からか。
売っている装甲から買えばいいのかな?でも、どの装甲がつけられるのか分からないんだけど....なんていう心配は、検索機能のおかげで吹っ飛んだ。
検索機能では、コンピューターに接続されている艦の種類を自動で識別し、その艦が無理なく装備することが可能な装備だけを表示することができる。
無理なく、というのは、宇宙船について詳しい人ならば本来装備不可能な装備を無理やり改造して積み込むことができるかららしい。ヘルプがなかったらどうなっていたことか。
その上で、装甲版や主砲などの装備別に絞り込めるらしい。なんて便利な未来の検索。
というわけで....ふむふむ。検索で絞った中から現在の所持金だけで買うことができるのは――
『・第一世代型装甲板 10mm 100c
・第一世代型装甲版 20mm 200c
・第二世代型装甲版 10mm 120c
・第二世代型装甲版 25mm 270c
・第三世代型装甲版 15mm 180c
・第四世代型装甲版 15mm 190c
・第四世代型装甲版 20mm 240c
・第四世代型装甲版 25mm 290c
・第五世代型装甲版 10mm 300c
・第五世代型装甲版 20mm 400c』
これだけだな。
mmは装甲の厚さ、cはクレジットだ。
装備ができる装甲版というだけでだいぶ絞られてしまった。他にも装甲版は大量にあったんだけど、装備できるのは今表示されている分だけみたいだ。
そういえば、ここに表示されている商品には全て『軍制式』というマークがついている。確かに、名前も制式っぽい(制式っぽいってなんだ)。ってことはつまり、俺が見てた『試作展開型転移式集約レーザー』とかいうのは軍が正式に認めたわけじゃなくて民間が売っているだけってこと?
一応軍のデータベースから飛んだから、軍の審査はあるんだろうけど....。船長初心者は軍制式の無難なやつを選んだほうがいいんだろうか。というか、今はそれしか選べないけど。
あ、もしかして軍制式の奴しか選べないのはこの船が軍制式艦だからか?
そう思って自分の艦の状態が表示されているページを開くと、案の定『軍制式』のマークがあった。なるほど、名前も『第三世代型フリゲート艦』ってそれっぽいしね。
それにしても、第三世代型か。
一応、一番新しいのは第五世代型らしいけど....同じ型を積んだほうがいいんだろうか。装備可能検索で出てきたってことは、装備はできるらしいけど....。
でも、やっぱり世代が新しくなればなるほ
ど高くなっている。ただ、それでもそこまで高くはなっていないのが悩ましい。
う~ん.....。
むむむ.....。
うぐぐぐ.....。
さんざん悩んだ挙句、結局もともとこの艦に装備されていた『第三世代型装甲版 15mm』を買うことにした。右舷、左舷、正面、後方で合わせて四つ。720cのお買い上げだ。使用可能クレジットは残り大体1780c。装甲だけで結構使うんだな....。
だが、買おうとした時に『他の装備もまとめて購入しますか?』という表示が出たのでyesを選択した。そういや、ゲームとは違って付け替えるときの手間もかかるんだし、一気に買わないと大変なことになる。
えっと、あとは....残っているのはシールド発生装置と、シールドバッテリーと、5J規格の小型艦対艦レーザー砲か。
シールドバッテリーなんて、満身創痍なんてもんじゃない。完全にぶっ壊れている。
シールドが全部持っていかれたとは言っていたけど、まさか本当に全部持っていかれてるとは。まずはシールドを直すべきなんだろうな。だって、シールドがなかったらあのレーザー砲が15mmの装甲を直撃するんだろ?無理無理。いくら俺の知ってる時代よりも科学が発展して、装甲の硬度も上がってるからって、絶対に無理。
というか、宇宙に出るのに15mmの装甲でいいのか?と思うんだけど....確かに、この船のサイズではせいぜいがそのくらいしか積めないのかもしれない。
船の内部の大きさは、ぎゅうぎゅうに詰めて十人程度が暮らせるくらいの大きさしかないし、それくらいの装甲でいいのかもしれない。
できれば、バッテリーの予備も積んでおきたいくらいだ。
....いや、いっそ積んでおくか?でも交換の仕方分からねえしなぁ....。
うん、どうせ巡洋艦のレーザーが直撃しただけで全部持っていかれるんだ。遠からずまた削れるんだから、二つ買っておこう。
この船に積めるバッテリーは....うわぁ、多い。
検索結果に出てきたのは、四桁以上。多すぎて何を選べばいいのか分からない。一応、一つ一つの商品に簡単な紹介文があるから、全くもってどうすればいいか分からないというわけではないけど。
う~む....。
できるだけ壊れにくい奴がいいよね。
でも、高すぎるのも考え物だし。
なんて考えた結果、とあるバッテリーを採用することになった。
『アレクサンドロス民間兵器社製 超耐久!50J規格バッテリー
どんなレーザー砲にも耐え、極太の50J砲を使用可能。
フリゲート艦にも搭載可能なコンパクトなバッテリー!
今だけ、30%OFF!この機会に是非、アレクサンドロス民間兵器社製のバッテリーを購入してみては!?』
広告かよ。
古代の大王かよ。
そう思うかもしれんが、ネットで検索したところ(この時代にもネットはある)、このアレクサンドロス民間兵器社は地味に実績のある中小企業らしく、知る人ぞ知る良品を出品しているようだ。
その中でも、この50J規格バッテリーは目玉商品らしい。
なんでも、小さくて出力が大きくて焼き切れにくいというのが好評の訳だそうな。バッテリーは、焼き切れさえしなければまた宇宙船には標準搭載されている核融合炉から充電されるので、耐久度というのは結構重要らしい。
そんな理由から、フリゲート艦や駆逐艦などの小型艦から、巡洋艦などの中型艦まで広く使えるとして人気なのだ。
全部ネット知識なんだけどね。
30%OFFにひかれた部分があるのも否定はしない。
だってお金ないんだもん。
というわけで、購入。
一つ500クレジットだ。これ、バッテリーにしては地味に高い。
他の奴は大体300~400くらいだ。が、600クレジットや、高いものでは1000クレジットもするバッテリーがあることを考えると、そこそこ高い、という部類に収まるだろう。
二つ買えば1000クレジットなので、普通にトップレベルの値段を支払うわけだが。
バッテリーには命を預けることになるので、仕方ない。うん、仕方ない。
一回バッテリーを一発で削り取られたんだもん。
怖くて仕方ない。
というわけで、引き続き装備を漁る。
残りは1780-1000で780c。とは言っても、あと買うのはシールド発生装置くらいだ。これもできるだけ耐久度の高いものを買いたいわけだが....。
検索で出てきたのは、バッテリーよりは少ないものの三桁後半くらい。
また探すのが面倒くさそうだな....なんて考えていると、一番上にNEW!という表示が。タップすると、俺が買ったバッテリーと同じく500クレジットのシールド発生装置が。
ほかのシールド発生装置も確認してみるが、大体200~400クレジットくらいがいいところだ。こっちも地味に高い。でも、変えない値段ではない。
紹介文を見てみると....この商品は、レーザーが発射されたら自動的にその着弾位置を割り出し、そこにシールドを集中させることができるそうだ。
今までのシールド発生装置にもそういう機能は多少ついていたが、精々そこらへんを多少分厚くする程度だ。この商品なら、ピンポイントでシールドを強化することで、バッテリーへの負担を減らすことにもなる。
....なんか、この短時間で妙に宇宙船への知識が深まった自分がきもい。
まあ、生きることには必要なことだし?かっこいいし?
仕方がない。
よし、じゃあこのバッテリー発生装置を購入することにしよう。
えーと、名前は....
『アレクサンドロス民間兵器社製 弾道予測型シールド発生装置』
またお前か。