調べ物こぼれ話
久しぶり調べ物こぼれ話です。
調査していて面白かったことを補遺として載せておきます。
■鬼子
親に似ていない子供、異様な姿で生まれた子供、特に歯が生えた状態で生まれた子供のこと。
縁起の悪いものとしてかつては捨てたり殺したりしていたそうです。
鬼といえば、人気絶頂のまま終了した『鬼滅の刃』にも歯の生えた赤子の話が出てきました。
また、伝承に登場する妖魔の類は以上の生まれ方をしたという逸話があります。
特に「母親のおなかの中に異常に長い時間いた」というやつですね。
拙作では酒呑童子と平将門の伝承を出しましたが、これは京極夏彦先生の『姑獲鳥の夏』からの孫引きです。大変申し訳ございません。
鬼子が恩返しに来るという話の大枠は岡山県に伝わる民話から引用しています。
■夢の不思議
話自体は夏目漱石の短編集『夢十夜』の第一夜をダイレクトに引用しています。
夢でどうたらこうたらと言うのは、挙げていくとキリの無い代物で、夢枕に立つなど神秘系の伝承では代表的なものでしょうか。
睡眠には不思議が多く、なぜ人は睡眠が必要なのかすらいまだにはっきりわかっていないらしいです。
夢の役割も然りですが、夢の中で何かを創造したという話は結構転がっている話です。
文中の通り『イエスタデイ』はポール・マッカートニーが朝起きたら、完全な形でできあっがっていたというのは有名な話。
クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』は夢を扱った映画。
映画監督の西川美和さんは、夢の中で見たものを脚本のモチーフとして使っているらしいです。
■月と狂気
英語で"lunatic"とは「狂気」の意味ですが、語源となった"Luna"(ルナ、ルーナ)はローマ神話における月の女神の名前です。
月の満ち欠けが、人間の性格を表しており、精神の異常や狂気と結びつくと古代では考えられていたようです。
中世に成立したシャルルマーニュ伝説に登場するアストルフォは蒸発した理性を取り戻すために月に行くという逸話がありますが、「月」と「狂気」は西洋ではセットとして定着しているようですね。
そういえばピンクフロイドの傑作アルバム『狂気』の原題は"The Dark Side of the Moon"ですね。
■インド
直接的にはSCPのサイトを見てて思いついたエピソードですが、一部、芥川龍之介の小説から取った部分があります。ミスラという登場人物の名前は芥川龍之介の短編『魔術』から。ミスラはコルカタ(カルカッタ)出身の魔術師という設定でした。
ミスラという名前はおそらく神話由来。
ミスラはイラン神話に登場する英雄神として西アジアからギリシア・ローマに至る広い範囲で崇められた神で、インド神話の神ミトラと同一視される存在らしいです。
ファルークというファーストネームはフレディ・マーキュリー(ペルシャ系インド移民)の本名からとりました。
次はまたアメリカ編にもどろうと画策中。
あんまり書いてるひまがない。