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刻の女神はかく語る。

遅れました!

お姉さんこと、刻の女神視点。

そして、残念なノリの最終話(遠い目)。いろいろと台無しですが、先に謝っておきます。

すみません…

「レレーニアに近付くな」

「相変わらずねぇ。なんなら、あなたごと可愛がっても良いのよ?」


色気たっぷりに【愛欲と演舞の女神】がそういえば、【生命と誕生の女神】を抱きかかえている【武と勝利の男神】はイヤそうに顔を歪める。

常に明るい彼がそんな表情をするときは、たいがい彼の妻が関わっているときだ。


「気色悪い想像にオレの妻を使うなよ、【愛欲と演舞の女神】」


「アフローデと呼んでもらってもいいわよ。もしくは愛称でも。夫も妻も、恋人たちもそう呼んでるわ」

「…本当に、気色悪い女神おんなだな」


「あら、男神おとことして気色悪いのはあなたの方ではなくて?旧世界での神にしては、本当に心が狭いこと!」


驚いたように目と口を大袈裟に開く彼女だったが、まったく滑稽に見えないどころかすごいと思う。

むしろ色気に愛嬌が足されて更に魅力が上がってる。

さすが、神界のお色気担当女神だね。

司るものが『愛欲』だけど、彼女は夫も妻も大量にいる男女入り混じった恋人たちも全て愛しているのだから、恐れ入る。

普通に【恋と愛の女神】って名称にしてあげれば良かったんだろうけど、あのときボクはそれどころじゃなかったし、彼女自身の申告でそれに決まったらしいから仕方ないよ、うん。

まあ、演舞の腕も相当だから、彼女が名称に使いたいと主張するのもわかるしね!


ボクが暢気にそう思っていたら、場の雰囲気が一気に悪くなる。

あー…、そりゃそうか。【武と勝利の男神】にとっては旧世界のことは禁句だもんねぇ。

ガラス玉のように感情の欠けた無機質な瞳の【生命と誕生の女神】を更に強く抱きしめて、【武と勝利の男神】は相手を睨み付けていた。

…ここ、ボクのダンジョンなんだけど。

そんな大事なこと忘れて、みんな好き勝手にこんなに悪い雰囲気にしないでくれないかなぁ。


「ねーねー、アフローデ。ボクのこと、忘れてないー?」


ボクはあんまり神の名前を呼ばないけど、彼女だからいいと思う。

その神位がボクより圧倒的に劣っている相手ならいざ知らず、【愛欲と演舞の女神】は旧世界の最高神夫妻から生まれたわけでもないのに、かなり神としての力があるからね。


珍しくボクの方が名前を呼べば、【愛欲と演舞の女神】は驚いたようにこっちを見た。

その意識は完全にボクだけにしか向いてなくて、【武と勝利の男神】だけでなく【生命と誕生の女神】からもその興味は失っているように見える。

よし、もうひと押し!


「ボクのこと、構って?」


わーい!構ってちゃんしたらすごい勢いで抱き着いて来たよ~

いや、縋り付いて来たが正しいのかな。


「もう!もう!クロノちゃんだって、本当にひどいわぁ~夫一柱(ひとり)でいいなんて!最高神なんだから、夫だけじゃなくて妻も持っていいじゃないの!わたくし、前々から立候補してるでしょ!」

「あはは…………」


『前々』なんて、可愛らしいものじゃない。

この女神さんは昔っから…むしろ旧世界でボクがダンジョンに引き籠っていた頃から、しょっちゅうそういって来てたんだよ。

同性同士だから神力の譲渡は出来ないし、譲渡の方法があってもすでに処女じゃないから無理だしそのことは彼女も知っているはず。

だったらボクのどこに惹かれているのかわからないけど、熱心なことだ。

ただし、関心はしても受け入れることは出来ないんだよ。


「ボク、一柱ひとりだけで心も身体もいっぱいいっぱいだから、御遠慮します!」

「えぇ~そんなぁ~」


いやいや、本当にもたないんだって。主に身体が。

だから、そんな顔してこっち見んな【武と勝利の男神】。

旧世界で妻が奪われたのが尾を引いてるのは知ってるけど、だからといってボクをイケニエにするのは違うんじゃないの?

そもそもボク、最高神なんだけど。




○●○●




「もう、どこにもいかせない」


後ろにはっきり感じる筋肉とそれが発する熱!

脈動するすばらしい筋肉を感じた私の意識は、急に感じた悪寒よりもそっちに向いた。


「おおお、おっぱいー!!」

「……………はい?」


やっぱり!

完全ホールドだから後ろ向けないけど、後ろに当たっているのは鍛え抜かれたおっぱいだった。

興奮のあまり、唯一動く両手をわきわき動かしてほとんどない背中の隙間に捩じ込み、動く範囲を弄ってやる。


「うぎゃあっ!」

「あっ、ごめんよ」


ごめんごめん、なんか背後のヒトの大切なところを掠っちゃった。

笑ってごまかせ!


「てへぺろ☆」


とはいっても、背後のヒトは私をホールドしてて見えないだろうけどね!

まあいいや、触っとこ。


「ちょっ、おま!違うだろ!?」

「えー…」


まだ満足してないのに、引き剥がされて足をぷらんぷらんさせながら背後にいた相手と向かい合うことになった。

ひどいなぁ、勝手にくっ付いて来たんだから、触ってほしいんでしょ?違うの?


「お前、それは性犯罪者の理屈だ!!」

「失礼な!!」


そーいえば、上から降って来るかすれ声には聞き覚えがあるね。

前世だから、別人ならぬ別獣人だろうけど!

…そう思っていた私は、真っ白なヒトと向かい合って硬直した。


「……っ!?」


真っ白な、ヒトが私を抱き上げた状態で見下ろして来る。

銀色の瞳に、腰布を巻いた姿。

頭の上でぴこぴこ動くケモ耳と、私の足に絡みつくしましま尻尾。

前世で恋い焦がれた姿が、変わらずそこにあった。


だけど、違う部分が一つ。

こちらを覗き込む、記憶の中にあった鋭いのにどこか優しい色合いの銀色…じゃなくて、目の前にあるのはなんかぐるぐるしてる。

混沌が渦巻いてるみたいだ。

前々世で銀色って魔を祓うってイメージがあったけど、これはむしろ魔そのものだよ!…あれ、魔を祓うのって銀の弾丸んだっけか?


そこはまあいいか。

それより、なにより……


「お前がオレらの仲間だったしんかうぎゃあああああっ!?」

「もふもふだ~~~~~!!はあはあはあ」


私の息が上がるのは仕方ないね。

だって、獣人って種族は家族なり一族単位で生活するから、なかなかお目に掛かる機会がないんだよ!

つーわけで、私の前に現れたのがうんのつき…じゃなくて、運命だよね!!じゅるりっ


わしゃわしゃ

なでなで

くんかくんか

すりすり


「ひ………ぃ……やめ」


「ふはははは、良いではないか良いではないかー!!」


私の周囲がざわっとしてるけど、そんな些末は関係ないね!

私はもう、法力チートな神官じゃないし、ここから先は私の時間ということで楽しく獣人さんのそっくりさんのおっぱいともふもふを堪能させてもらうぞ!!


「なんなんだよ、本当に!本当に昔と同じ反応しやがって!!チビ神官!」


「…………私、神官違ウヨ?魔王倒シタ神官違ウネ」


「誰だお前は」


私の両脇を掴んでた手を払い除け、ひしっと抱き着いてからわっしゃわっしゃなでくり回す私は、そっと銀色の目から視線を逸らした。

いやだってさ。正直、歴史書に載っちゃってる神官と同一人物ってのはいいたくないんだよ。

かつての私って、もはや聖人さまなんだよ?それを自称したら…ねぇ。

幼かったらまだ微笑ましそうに見られるだろうけど、ヘタすれば中二病疾患だと勘違いされちゃうよ!!

と、いうわけで迫真の演技で否定したんだけど…急に真顔になって『誰だ』といかいわれちゃった。


でもその反応って、私の知る獣人さんと同じだ。

姿形だけじゃなくて、突っ込み気質なところも目の前の白いヒトはそっくりだった。

だけど、彼が強い獣人でもさすがに何百年も生きていられないでしょ?…ん?そもそも獣人の平均寿命って…あれ?どうなんだろ?


混乱しつつも手は本能に忠実に欲望の赴くままに、彼を撫で繰り回している。

やっぱり、獣人さんと同じ筋肉だよね。毛並みも。

もふもふマイスター(自称)の私の手に狂いはない。

だとしたら、うん…?


「じゅうじんさん…?」


「なんだよ」


いや、彼は獣人という種なのはわかっているけど、名前を名乗らない種だってことももう知ってるけど、この名称に即座に反応するってことは、私の抱き着いているこのヒトはあの獣人さん?


あれー?おっかしいなぁ。

私は転生してまた孤児になって、それでも今度こそ恋したいと思ったばっかりなのに、どうしてこうなった?


「えーと…私、お探しの神官ではないのですがー?」

「いや、オレの本能に狂いはもうない。お前はあの神官だ」

「どんな本能だ。そもそもその本能って何さっ!?」


ツッコミたい、突っ込み担当の獣人さんに突っ込みたいよ!

でも、ヘタにツッコんじゃいけないようなものを感じされるその目が…。


「その混沌とした目。剣士さんを思い出してる姫さまと同じでこわぁ」


「一緒にすんなよ!?」


あっ、普通の銀色の瞳に戻った。

そうそう、そういうところが獣人さんだよね。

立ち直りが早いというか、突っ込み気質というか。


「チビ神官、お前…本当に、変わってないなぁ…」


ムッ!何て表情をしてるんだ。

転生したかつての仲間との再会っていうのにその反応!

なんでしょっぱい顔してるんのさ!!




○●○●



ボクは閉じていた目を開けて、周囲を見渡す。

さっきと同じ馴染んだ我が家(ダンジョン)の一室だけど、そこにはもう三柱ともいない。

そりゃそうか、家主であるボクが昼寝しはじめたんだから、暇になって帰ったんだろうね。

むしろ、あのまま残られてケンカ続行されていた方が困るよ。


ゆっくりと息を吐いたボクは、大きくて頑丈な作りが自慢の寝椅子でくつろいで、もう一度目を閉じた。

ただ、今度は全意識を彼女に飛ばすことなく、多少はここに留めたままにしとく。


それにしても、獣人という種はすごいね。

まさか名前を呼んだだけで、ああやってここに来るとは思わなかった。

いや、獣人さんが生きているとは思ってなかったから、本当に諦める意味合いで口にしただけだけど。

でもまあ、何にしろ彼と再会出来ただけでもうれしい!!

ちょっと、姫さまと似た何かがにじみ出てたのは気に掛かるけど…こわぁ。

感染病か何かか、ヤンデレっていうのは!?


あっちいったりこっちいったりする、彼女の思考に同調したボクは笑った。

以前であればわからなかったニンゲンである彼女の感情が、今のボクには何となく理解出来る気がする。

おかげで少しは元ニンゲンである彼のことも理解出来るようになったはずだよ、たぶん。

それもこれも、自分の目を貸してくれて、なおかつ感情を同調されてくれた彼女のおかげだね。

まあ、実際に顔を合わせてお願いしたことはないけど!

だって、ボクが自分を割いて欠片を作って異世界の小国に送り出さなきゃ、今の彼女は存在しなかったんだからちょっとくらい協力してくれてもいいよね。


「…ぐぇっ!?」


欠片ちゃん(・・・・・)の思考と同調するのに夢中で、自分の身体のことがおろそかになってたみたいだ。

急に腹部に衝撃が来て、ボクは潰れたカエルみたいな声を上げてしまった。


「もう、最近こんなんばっか!…げぇ!?」

「………………」


最高神の住居を襲撃したのは誰かと目を開ければ、ボクに馬乗りになった悪鬼が!

……いや、よくよく見たら悪鬼に限りなく違い形相をしてるけど、眉間に深いしわを刻んだすんごいおっかない顔した男神おとこだった。

つまり、夫。


最近も同じような体勢になったけど、やっぱりその時と同じように不機嫌そうな感情を隠さない彼は、銀色の瞳を異様に光らせながらボクを見下ろしていた。

わーい、おっかない!!


「おい……」


うわっ、ひっくい声!

地獄の底から這い出て来た悪魔のような声で、彼はボクに声を掛ける。

いやいや、聞きたいことがあるなら腹の上からどいてくれないかな…?


「何さ」


「いま、誰の名を呼んだ」


「………はい?」


なんだい、その怒りの感情。

その表情、どっかで見た覚えが……って、欠片ちゃんの前世である神官くんが獣人さんに最期に向けられたのと同じじゃんかっ!!

何、キミも月のもので機嫌が悪いの?

あれって女性しかならないと思ってたけど、欠片ちゃんの認識不足か?


「ボクが誰の名も呼ばないのを知っていて聞いているのかい?」

「先程、呼んでいただろう!」


「身に覚えはな―…あー!!」


そうだ、さっき欠片ちゃんと同調したときに獣人さんの名前を呼んじゃったよ!

いけない、獣人という種にとって名前は大切なものなのに、欠片ちゃん経由で勝手に知っちゃったから彼は怒ってるってこと?

なんだ、月の触りじゃないのか。


「うーん、確かに悪かったよ。だけど、ここにはボクと偶然聞いちゃったキミしかいないからいいじゃないか」


「そういう問題じゃないだろ!!」


もー、そんなに怒鳴ってて頭の血管切れても知らないよ?

なんで彼がこんなに獣人さんの名前を呼んだことにキレてるかは知らないけど、なんかメンドクサイなー。


仕方ない、ここは話題を逸らしとくか。

彼はもともとワーカーホリックだから、どうせ職場である地底ダンジョンから長々と離れてられないだろうし、うやむやにしてやろう。


「ねーねー。ところでキミ、ボクに名乗ったことはあるっけ?」


「………!?」


怒り狂ってた彼は、その瞬間『ガーン!』って感じで硬直した。

彷徨う目と、徐々に蒼褪めてくる顔色が雄弁に彼の心中を語ってるね。

ボクは出逢って早々に名乗ったっていうのに、言葉を遮った挙句に名乗り返さなかった礼儀知らずな元ニンゲンは、怒りを収めてものすごーく居たたまれない雰囲気をまといながら小さな声でボソボソいう。


「…なのって、ない」


だよねぇ。

なのに彼、欠片ちゃんの前で『名前を呼んでもらえなかった』って嘆いてたんだよ?ぷくく…

ニヤニヤ笑ってやれば、彼も同じ場面を思い出したらしく、しゅんと項垂れてしまった。

おいおい、最高神の片割れさんよー。勝手にキレて、勝手に暴走した結果がこれっていうのは本当にどうなんだい?


欠片ちゃんの目から異世界の生活を満喫していたボクは、ある日よく知った神力を感じた。

どうやらボクを探していたらしい夫が、異世界で見付けた欠片を本神ほんにんと勘違いして世界に呼び戻したんだ。

もちろん、異世界でただのニンゲンだった欠片ちゃんは転移に耐え切れずに死んでしまって、魂の状態でこちらに渡って来る羽目になった。

んで、お説教をし出した彼にキレた欠片ちゃんの一言がきっかけで逆ギレ。

欠片ちゃんを呪って、輪廻の輪にポイしたってわけだ。


何が彼の逆鱗に触れたかはわからないけど、欠片ちゃんにとってはいい迷惑だっただろうね。

だって、あのままでいればごく普通に大学まで行って就職して、恋を何回かして、いずれ結婚して子どもが生まれるっていう、当たり前の幸せが訪れていたはずだから。

異世界の幼女神めがみが視聴者であるボクのために準備した、ごく普通のニンゲンの運命だから、たぶんそんな感じに穏やかな人生だっただろうね。

欠片ちゃん、呪っちゃっていいよ?


ダンジョンに監禁されて暇で仕方ないからって、勝手に意識を異世界に飛ばして本体を仮死状態にしてたボクもまあ、まったくもって悪くないってわけじゃないけどさぁ。

死んだと思って嘆いた彼が、まったくボク本体に関係ない欠片ちゃんのあっけらかんとした反応にキレてもまあ、仕方なっちゃあ仕方ない…のかなぁ?

今、呆然自失してる姿も可哀想だし。


旧世界むかしだったら、基本的にニンゲンってボクらの玩具っていう認識で、壊れちゃっても、ちょっと部分的に目減りしてもどうってことなかったけど、彼はまあ特別だからね。

たぶん、最高神の位に就いていなくても、夫じゃなくても、例え神じゃなくてニンゲンでもそれは変わりないよ。たぶんね!


「まったく、見た目に寄らずそそっかしいね。ライオネシス・シルバーグレーは見た目、自制心が強そうなのに!」


「…………は?」


ポカーンとした彼が、組み敷いたままのボクをまじまじと眺める。

腹話術じゃないから、きょろきょろ辺りを見回して誰かの存在を探さなくても良いから!

ちゃんと、ボクの意思の元しゃべってるって!


「ライオネシス・シルバーグレー、本当に噛みそうな名前だね。だからキミ、シス神って名乗ってるのかい?死を司るからシス(死す)だと思ってキミのセンスを疑ったけど」

「いや、そう呼びはじめたのは【武と勝利の男神】だが…ちょっと待て。なんでその名を」

「あー、そっか。【武と勝利の男神】って脳みそ筋肉族で考えることっていえば【生命と誕生の女神】のことだけだから、他神の名前は憶えられないんだよ、きっと。でもさ、キミも大概だよね。だって、自分の名前忘れてんだから」

「た、確かに、もうずいぶんと呼ぶ者がいなかったから忘れてはいたが…。待て、あんたのあれ、まさかオレの」

「それにしても、シルバーグレーって家名だよね?髪の色と目の色から取ったってことが丸わかりで笑っちゃうよ!」

「………それは当時の王から賜った家名だ」


らしいね。

ニンゲンだった彼は、剣士さんと同じような立場だったらしい。

孤児だってとこも、今の世界では魔王って呼ばれる存在をたった一人で討伐したのも、王家においてたった一人の王女を娶ることを許されたのも全く同じ。

…ニヤニヤした【武と勝利の男神】から、もんどりうちたいのを我慢して聞き出したんだから、この情報は正確だと信じてるよ!

ニヤニヤ笑いがうっとうしいわ!今更、夫のことを知ろうとして何が悪いっていんだよ!プンプン!


脳裏で当時の【武と勝利の男神】の反応を思い出して憤慨するボクだったが、家名について今更複雑な表情をしている彼を黙って見上げた。

経歴はまさに剣士さんと一緒の所謂、勇者である。

それなのに、姿形は剣士さんっていうよりも…獣人さんにそっくりだ。


「ねーねー」

「なんだよ、さっきから」


挙動不審な彼の中から、怒りとついでに獣人さんの名前についてのことはキレイさっぱり消え失せてる。

しめしめ…ボクの作戦勝ちってことだよね。

少しずつ話題を逸らして、完全に離脱するぞ!


「息子に自分の名前を付ける父親がいるみたいだけど、キミもそんなクチかい?」


ほら、『○○jr』とかさ。

だったら、あの獣人さんと同じ見た目と同じ名前でもなんともなぎゃあぁぁぁぁぁぁ!?


「あんた、本当にバカか?オレは前々からいっているだろ、あんたにしか興味はないって。他の女になんて意識は向かないのに、なんでそんことをいうんだか。あれか?まだ身体にいい聞かせたりな」

「けけけけけ結構です!わかってる、わかってるからもうはなしひいぃぃぃぃぃ!?」

「信用出来ない。勝手に死んで、勝手に帰って来る、あんたが悪い。もう、他の神が入れないように結界を強化するか」


ちょっと!それだと完全に監禁じゃないの?

手に持った鎖って、どこから取り出したの?

まるで神官の足についていた鎖みたい…って、ボクに付けるの!?

ていうか、さっきの獣人さんと同じぐるぐるした混沌とした目をしてるけど、まさかまさかキミもぎゃあぁぁぁぁぁぁ…

これにて、おしまい!

ありがとうございました。

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