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転生したら孤児の少年になってたんだけどっ!  作者: くろくろ
転生1回目・旅立ち→魔王討伐の旅終了
23/45

神官、起き抜けに弓遣いに引き剥がされる。

そういえばこの話、BとLな物語でした。と、いうわけで、いきなりシモっぽい宿屋の夜の話。

王都からだいぶ離れて、魔王出没地帯に近付くにつれてうれしいことがあった。


「ぐーとぱーで」

「「わかれましょ!」」


前に剣士さんに教えた通りの掛け声に続いた元気な声は、私とエルフくんだけだった。

エルフくん、清楚に見えたけど結構ノリが良くて元気っ子だよね…。

人間嫌いを公言しつつ、何だかんだと世話を焼いてくれる彼の印象が変わったのも、もちろんうれしいことの一つだ。

あともう一つは、この部屋割りタイムだ。

何故かって?


「もー!獣人さんも声出してよ~」


「いいだろ、別に!だいたい、お姫さまだっていってないだろ」

「姫さまはいいんだよ。ほら、微笑ましそうに見ているだけで絵になるから」


「……理不尽」


最初は敵愾心の塊みたいに警戒していたエルフくんだったけど、肩を落とす獣人さんの背中をポンポンしてあげている。

どこにしょげる要素があったのかわからないけど、仲良くなってくれてよかったよ。

…いや、そこもうれしいことの一つだけど、そうじゃなくて。


「じゃあ、部屋は俺と姫さん、相棒とチビ二人ってことで」


「「チビじゃない!!」」


思わずエルフくんとユニゾンしちゃって、笑顔の剣士さんに二人揃って頭をなでなでされた後、すでに鍵を受け取っていた獣人さんに続いて本日の宿の部屋へとやって来た。

そう、『獣人さん、入店拒否』事件からずいぶん経つけど、ここ最近は獣人さんも一緒の部屋に泊まれるようになったんだ!


もちろん、田舎に行けば行くほどよそ者を嫌う雰囲気がある場所も存在するけど、森に護られた精霊国付近などは他種族に寛容な国が多かった。

そもそも、国によって信じる神さまが違うせいなのか、それとも国柄かは知らないけど、創世神話の大部分は全世界共通でも『獣人』を『悪しき者』という解釈にする国は私たちの生国以外ほとんどない。

生国に近い国や、同盟国で立場の弱いところとかは顔色を窺っているのか別だけど、あんな風に嫌悪感丸出しにしてるとこは少ないからこうして平和に獣人さん込みの五人分の部屋が確保出来るのだ。

この間なんて、貴族のお家に泊めてもらったりしたんだよ!…姫さまメインで、世話焼きとして彼女についてったエルフくん以外の私たち残りの三人はランクの下がった部屋での接待だったけど。


「そういえば、リアルで『愚民』っていわれたのはじめてだった……」

「は?」


「ううん、頭の弱いお嬢さまのことを思い出してただけ」


貴族のお家の血統書付きお嬢さまに鼻で笑われたことを思い出した私が呟くと、獣人さんは振り返って不思議そうな顔をした。

首を振って『なんでもない』といったら、彼は腑に落ちない表情ながらも荷ほどきを手伝ってくれるのだけど、私は獣人さんがお嬢さまに『カーペットの代わりには良さそうね』といわれていたことを忘れてはいない。

ちなみに、剣士さんは『これが勇者候補?ハンッ』と鼻で笑われていた。

私?私は『女の子みたいね。可愛い顔してるからお相手してあげてもいいけど、下に付いてなければ仕方ないわねー』と高笑いされただけだから、何ともないけど。

獣人さんについてはいずれ何かしらの呪いで仕返ししたい所存です。

剣士さんについては、獣人さんと私の二人で『こいつが勇者?…ぷふぅー!』って笑ったのを同じくニヤ付きながら軽く叩いて来たため気にしてないだろうからいいだろう。


さて、血統書付きお嬢さまへの呪いの厳選は後回しにして、今は荷ほどきが大切だよね。

このあと、グーとパーに分かれた際に買い出し班も決めたから準備しないと!



○●○●




どしーん!!


「うぴぁっ!?」

「どうした!?」


ぬくいところから引き剥がされ、しこたま腰を打ち付けた私は獣人さんの鋭い声に答える事が出来なかった。

い、痛すぎる……。


「大丈夫か?」

「う、うぁぁぁ……、うん」


「どっちだよ」


獣人さんの呆れた顔がうっすら見えることから、もうすぐ夜が明けることがわかる。

今いるのは大きな街で、気分転換に旅の必需品以外も見て回ろうという話になっていたから、まだ起きるには早いだろう。

ベッドの上から差し出され手を借りて床から起き上がり、打ち付けた腰を擦る私は寝ぼけながらもそんなことを考える。

そのことは獣人さんも考えていたようで、彼もベッドの上に戻って掛け布団を持ち上げて私を誘ってくれた。


「う゛ー」

「寝ぼけてんのか?まだ早い。もう少しねて……」


「ちょっと待った!!」


「「へっ?」」


もにょもにょしてる私は魅惑のもふもふに惑わされて彼の懐に戻ろうとしたけど、それを止める声があった。

その声は……エルフくん?


「どうしたのー?あっ、もしかしてもふもふな獣人さんの胸で眠りたいのー?だったら、一緒に」

「そそそそそ、そんなふしだらなマネが出来るかっ!?」

「んー?」


眠くて目がしょぼしょぼしてきた私には、早朝なのに元気なエルフくんが真っ赤な顔で何を憤っているのかわからない。

早口で『寝ているのに』とか『種族が違う』とか『体格差』とか『とにかく同性!!』とブツブツ呟いているのけど、何の話か見当がつかないよ。

収拾が付きそうには見えないから、本能の赴くままに獣人さんの布団に戻ろうとした私だったけど、慌てたエルフくんに引き留められて…もとい、獣人さんから引き剥がされて今度は彼が使ってた布団の中へと入れられる。

人間嫌いを公言している彼に悪いからと、二台しかないベッドの一つを譲ったのにどういう風の吹き回し?


「ん゛ー」

「きょきょきょ、今日はこっちで休め!」

「んー…うん」


もふもふがなくて不満に思っていたけど、中に入れば暖かくてすぐに気持ち良い睡魔がやって来た。

エルフくんが隣に滑り込んで来てより一層暖かくなったから、彼は子ども体温なんだろうね。

まあ、気持ち良く眠れれば私はどっちでもいいよ……ぐぅ。


「私は獣人に偏見はないつもりだったが……この、ケダモノめ」

「……………ぇ」


すぐにぐぅぐぅ寝息を立てはじめたから、獣人さんの視線から私を守るように盾になったエルフくんがすごい形相を浮かべていたことも。

獣人さんが真っ青な顔をして、風のイタズラに『いや~ん』ってなってる女の子みたいな恰好で腰布じゃなくて布団を上から押さえていたことも。

全然、気が付かなかった。

弓遣いは外向きには男なので、最初の方では紅一点の姫さまは一人部屋でした。しかし、姫さま本人にいい包められて部屋分けは全員参加になりました。そして、小細工なしでかならず姫さまは剣士さんと同じ部屋になります(怖)そこにときどき、神官か弓遣いが入ったりはする。

ちなみに、獣人は眠ってて無意識に何かしら弓遣いを赤面させるようなことを神官にしてしまった模様。

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