幼児は混乱する。
「とーちゃ、かぁちゃ?」
お父さんとお母さんは、どこいるんですか?
「君のお両親は、先の戦争で…」
「しぇんしょ…?にゃいにゃいよ?」
戦争?私が生まれるずっとずっと前から、日本ではしてないよ。
「そうだね。ここには、ないないだねぇ。でも、山を越えた向こうでは今も…いや、なんでもないよ」
「やみやの、むこ?やみゃ、じょこぉ?こきゅにゃい?」
あぁ、他所の国って…いや、『山を越えた向こう』?山ってどこの?国内ってこと!?
「あぁ、この国と他所の国とがケンカをしているんだ」
「うぇぇぇ〜んっ!!」
うぇぇぇぇー!?どういうこと?『ケンカ』って、今までの流れだと戦争だよね?
嘘でしょ、どことしてるの!?
そもそも、私の両親は?妹は?
「ちょっ、どうしたのっ。さっきまで普通だったのに」
「ふぇぇぇ〜んっ!!」
おじさんこそ、さっきまで普通に会話してたのに、なんでわかってくれないの?
「コラーッ!その子をどこに連れ…ヒッ!」
「いえ、この子はうちの子で…」
「うっ、嘘吐けっ!いかにも何人も殺ってきたってツラしやがって!法衣着てたって、わかるんだよこの人拐いっ!!」
「いえ、だから私はそこの神殿と孤児院の神官…」
「みんなー!人拐いだーっ!!」
「ぴひゃあぁぁっ!!」
いやあぁぁっ!わけがわからないよおぉぉぉっ!
みんなも、騒いでないで答えてよっ!!




