冥府の神は終わりを告げた。
「終了か、早いな」
そんな、嫌そうな顔しないで下さい。
のっぺりした顔なのに、はっきりわかるくらい顔をしかめるって、どんだけ私が嫌いなんですか。
前回は、私が暮らしていた世界の神さまが、あなたを勝手に連れて来たんであって私のせいじゃないですよ。
大体私だって、まさかこんなに終了が早いとは思っていませんでしたし。
「死因は呪詛らしいな。どれほど恨まれていたのだか」
男とも女ともわからないしゃがれた声が、私の死因を口にするけど、恨まれてたってわけじゃないです。
冥府の神であるなら、死因以外もわかるんじゃないんですか?
「いちいち把握してられるか。こっちは忙しい」
前にお会いしたときも、忙しいっていってましたが、職務怠慢では?
「…そんなにいうのであれば、さぞ見応えのある人生だったのだろうな?」
聞く者をヒヤッとさせる、冷たい声。
こちらを見る目も、声同様冷たい。
これで、大したことがなかったら、どんな目に遭わされるだろうか。
相手は神だ、人間ごときが想像出来る恐ろしいことくらい、簡単に出来そうだ。
ここに来て、自分は神どころか人に話せるようなことをしてきたのか疑問を感じる。
孤児院スタートで、自分の能力の高さに天狗になって、大神殿に行って使いっ走りにされて。
あぁ、びっくりしたよ魔王討伐するためのメンバーに無理矢理されたんだっけ。
最初は、モンスター倒すのを見てるだけで、ツラかった。みんなに馴染めないで、寂しかった。
でも、強引にみんなの輪に入れられて、打ち解けられて、殺伐としそうな旅路だったのに、良く笑ってた。
魔王戦なんて、正直死ぬかと思ったけど、なんとか生きてて。
剣士さん、姫さま、エルフくん、獣人さん、みんなが好きで、旅が終わってもずっと仲良くしてもらえると思ったのに。
呪いに蝕まれて、痛みにのたうち回りながら最期に見たのは、一人っきりの自室。
「では、見てやろう。お前の2度目の人生を」