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路上のルーカス  作者: 安芸咲良


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 何となくだけど、私はルーカスに惹かれ始めていることを自覚していた。

 まっすぐに夢を見つめている彼がすごく眩しい。そしてその瞳に見つめられると心臓の音が聞こえてしまいそうで、またどきどきした。彼の絵のモデルになることもいずれ終わりが来るだろう。そうなってしまう前に私のやりたいことを見つけて、彼に見せてあげたいと、心から思った。


 その日は二学期に入って初めて冬服を着た日だった。

「真由、今から部活?」

 カメラを手にしている私に沙矢香が声をかけた。

「うん。めっちゃ久しぶりなんだけどね」

 ルーカスに言われたことを実践しようと思ったわけだけど、カメラを手にしたのは文化祭以来だった。

「真由の写真、なかなかいいんだからもっとがんばればいいのにー」

 沙矢香の言葉に私は苦笑いする。カメラは好きだけど、本格的にやるつもりはなかった。芸術方面はプロになる道は厳しい。そんなことは分かっていた。何枚も撮ってみたけど、あの写真集のようにはいかなかったし、賞も取れなかった。

 ふと、ルーカスはどうなんだろうと思った。

 ちょうど玄関に差し掛かったときだった。沙矢香が声を上げた。

「あ、あれだよ。金賞取ったっていう絵」

 玄関前の何もなかった壁には、絵が取り付けられていた。その絵の前から教師と男子生徒が去っていくところだった。私たちは近寄ってその絵を見上げる。

「竹島君、風景画が専門らしいけど珍しいね。顔は見えないけど人物画じゃん」

 その絵は、カメラを構えた女の子の絵だった。木々の間から覗き込むようなアングルになっている。

「ていうかちょっと真由に似てない?」

 私の耳には沙矢香の声は届いてなかった。

 なぜなら絵の下に貼ってあった名前に目を奪われていたからだ。


 “竹島 留加”


 美術部

 風景画

 金賞

 人物画の練習

 ルーカス


 私の中ですべてが一つに繋がった。

「沙矢香! この竹島君って何年何組の人!?」

 私の勢いに沙矢香が驚く。

「え、2年3組の人だけど……。あ、さっきそこを歩いていった人だよ」

 私は短くお礼を言うと走り出した。

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