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路上のルーカス  作者: 安芸咲良


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4

「ていうか中間終わったばっかなのに模試とかダルすぎ」

 友人の沙矢香の発言に私はもっともだと頷いた。やっぱりうちの学校は進学校だけあって、模試やら何やらが多いのだ。週末にそれを控えて愚痴を言い合いながら私たちは帰っていた。

「あ、そういえば美術部の子が全国展で金賞取ったらしいよ」

「ふーん、そうなんだ」

「中学の時から賞とかバンバン取ってた子らしくてさぁ、今度その絵を玄関先に飾るって言ってた」

 へーすごいね、と言って私たちは自転車置き場に向かった。

 何だかうらやましかった。自分のやりたいことを見つけて、それに向かってまっすぐに突き進んでいる。私もそうできたらいいのに。

「真由、最近部活行ってる?」

「文化祭終わったらあんま活動ないし。幽霊部員ですから」

 私はおどけるようにそう言って笑った。

「真由の写真、私好きなのにな。もっと頑張ってみればいいのに」

 私は曖昧に笑った。

 写真を始めたのは高校に入ってからだった。何となく面白そうだなー、と軽い気持ちで入部したけど、部室にあった写真集を見たらハマってしまった。

 空ばかり撮ってる人の写真集だった。同じ空なのにいろんな表情があって、うまく言えないけど惹かれてしまった。私もこんな風に写真を撮ってみたいと思った。

 現実にはうまくいかなかったけど。


 模試のできはまあまあのものだった。中間の結果が余り良くないものだったからほっとした。

 今日は土曜日。明後日までルーカスに会えないと思うと少し憂鬱な気持ちになった。

「真由、模試はどうだったの?」

 家に帰るやいなや聞いてきたお母さんに、私は見えない位置で顔をしかめた。

「まあまあできたよ」

「この前の中間があんまり良くなかったからね。あなたも来年は受験なんだからしっかりしなさいよ」

 そう言ってお母さんは夕飯の準備に戻っていった。

 まただ。またあのグルグルした気持ちがやってきた。

 お母さんの言っていることは良く分かる。ちゃんと勉強しておかなければ受験だって苦労するだろう。でも肝心の進路はどうやって決めればいい?


「うーん、やっぱやりたいことで選べばいいんじゃないの?」

 月曜日。私はいつものとおり、ルーカスと会っていた。

 思い切って私の中のグルグルした気持ちを相談してみたところ、返ってきた返事がこれだった。

「そりゃさぁ、ルーカスみたいにやりたいことがある人はいいよ? でも、私は何をやりたいのか分かんないんだもん……」

 そうだ。私がグルグル悩んでいる原因はこれなのだ。受験のために勉強するのは分かる。でも行きたいところが決まらない場合は?

「……好きなことを、一つずつやっていくのがいいかもね」

 そう言ってルーカスは私の頭をポンと撫でた。

 そんなことをされたのは初めてで、私はちょっと恥ずかしくなって俯いてしまった。視線を上げると、ルーカスは絵を差し出してきた。

「今日はこの絵もあげる。真由さんのやりたいことが早く見つかるといいね」

 その絵は空の絵だった。木々の合間から見える青空。そしてその空には一匹のアゲハ蝶が舞っていた。

 どこかで見たことがあるような気がした。

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