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第八話~帝国海軍、会議ヲス~

豊後水道

戦艦「長門」作戦室



「・・・以上が各航空隊からの戦果報告をまとめた物です」



通信兵からの航空隊の戦果等の現状報告に、

会議室にいた山本五十六連合艦隊司令長官は

ただ、



「そうか、ご苦労」



とだけ言った。

冷静な山本に反して今の報告を聞いた参謀達は、

冷や汗を出していたり、硬直していた。

出撃が決まってから数時間程で出撃できた迎撃艦隊の陣容は、第一戦隊の戦艦"長門"を筆頭に"陸奥"、

第二戦隊の"伊勢"、"日向"、"扶桑"、 "山城"、を初めとする戦艦艦隊、

第三航空戦隊"鳳翔"、"瑞鳳"と第九戦隊の"北上"、"大井"、

第二一戦隊の"多摩"、"木曾"

そして護衛の第二一駆逐艦隊や第二七駆逐艦隊等の駆逐艦八隻、

合計二十隻であった。


これだけの戦力を動かすのには莫大な燃料がいるにも関わらず、

動かしたのは帝都を襲撃してきたほどの敵なので敵は大艦隊かもしれないということ、

つまり燃料より軍艦の喪失の方が痛い、ということで連れてきた。



「ちょ、長官、今の報告をどう思いますか?」



今の通信兵からの報告に参謀の一人が言った。

通信兵からの報告は文字通り飛んでもない報告だった。

その内容というのが、


「ワレ敵艦隊ヲ発見、

空母六、以下四十隻、艦種特定出来ズ

伊豆諸島ノ青ヶ島近海ニテ停泊中」



なんと帝都に襲来したのは今まさに出撃した

迎撃艦隊の倍の数だったのだ。


いくらこの後、南雲艦隊や内地の航空隊の援護が得られるとはいえ、

この数の差では誰もが怖気つく。

さらに参謀達を混乱させているのは、そのあとの電文の内容であった。



「ナオ敵艦隊ノ中央ニ巨大ナ門ガ存在ス」



伊豆諸島に巨大な門ーーーー

参謀達は意味が分からなかった。

と、参謀達が考えていると山本が口を開いた。



「黒島君、南雲艦隊は今どこにいる?」



長官からいきなり聞かれた黒島専任参謀は慌てて答えた。



「はっ、今現在は日付変更線を越えており、

全速力で帰投しておりますが、

攻撃隊が発艦可能になる距離まで後、

二日程かかります。」



会議室が一気に重たい雰囲気に包まれた。

帝都に敵が襲来しているのに二日も待ってはいられない。

だからといって、この敵艦隊に突っ込むのは勝ち目は薄い。



「味方の基地航空隊は?」



「現在は木更津の陸攻を中心に攻撃隊を

編成しておりますが、いかんせん数が少なく、

三十機程しか集まらなかったそうで、

護衛の戦闘機も

零戦は先の迎撃に大半を向かわせたため、

すぐに出せるのは三、四機だけしかないようです」



「・・・彼らには苦労をかけるなぁ」



「閣下・・・」



「しかし今は彼らにかけるほかない。

陸攻隊に出来る限り戦果を挙げてもらい、

それから敵を叩く」



「了解しました」



そこまで山本が言うと参謀の一人が手を挙げた。



「長官、南雲艦隊の到着を待って、

攻撃した方がいいのでは?」



「・・・今の報告には"巨大な門"が

洋上にあるとあったが、君はどう思う?」



なんと答えていいか分からず

その手を挙げた参謀は首を捻った。



「長官、"巨大な門"というのは、

その偵察機の見間違いでは?」



手を挙げた参謀はそう答えた。



「そうかもしれんが、敵艦隊は

その門の周りに停泊していたそうじゃないか」



「それが?」



「門は人や物が通るだろ。

その艦隊は停泊してるんじゃなくて

門を守っていると解釈はできないかね」



「つまり長官は、この敵艦隊は援軍を待っているとお考えで?」



「そうだ」



他の参謀達もようやく長官が急いで攻撃している理由が分かった。

確かにただでさえ不利なのにこれ以上増えたらたまらない。



「敵空母はいかがなさいます?」



「戦果報告だと敵の第二次攻撃隊は

半分以上を撃墜したそうじゃないか。

敵はその打撃からまだ立ち直れない内に、

戦艦の砲撃で撃滅すべきだと思う」



山本は他にも敵の化け物と

零戦や九六式艦戦との性能差を戦果報告から聞いていたので、

直掩がいれば大丈夫だろうと思っている。

もっとも内地の航空戦力が少ないため、

敵の援軍が来る前に敵艦隊を撃滅し門を確保するための方法が思いつかなかったのだが。



「それでは会議は以上だ。皆、しっかりやってくれ」



山本の激励に参謀達はただ一言だけで応じた。


「了解」

どうも横山上等兵です。

今回いかがでしたか??

次回は敵艦隊を撃滅すべく

出撃した陸攻隊の話です。

それではまた次回!!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしております。

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