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第四話~連合艦隊、出撃ス~

今回、多少の無茶ぶりがありますが、

そこには目を瞑っていただければ・・・

柱島

戦艦「長門」作戦室



世界のビッグ7と呼ばれた連合艦隊旗艦のその部屋に帝国海軍の参謀が急に招集を受けて集まっていた。

彼らは大きな作戦会議のための机を中心に周りに座っていたが、

その目線の先には連合艦隊司令長官の山本五十六大将、

"仙人参謀"とあだ名された先任参謀の黒島亀人、

"鉄仮面"こと参謀長の宇垣纒がいた。

山本は腕を組んで目を瞑っており、表情は険しかった。

参謀達はその表情を見ていよいよ来るべきもの、

対米英蘭開戦の通達がきたと思っている。



「長官、急な招集ですがどうかなされましたか?」



参謀の一人が質問した。



「・・・諸君、先ほど軍令部総長から電文が来た。

黒島君」



すると、はっ、と言い黒島が立ち上がった。



「宛 連合艦隊、発 軍令部総長


帝都、空襲ヲ受ク

コレハ演習ニ(あら)

小笠原諸島方面ニ敵艦隊ノ

存在スル可能性大ナリ

第一航空艦隊、及ビ連合艦隊ハ

直チニ出撃、コレヲ撃滅セヨ」



黒島が読み終えると、部屋は騒がしくなった。



「空襲だと・・・」「いったい何処が?」

「アメリカが攻めてきたのか?」

「陛下は無事なのか?」



ザワザワと騒がしくなる中、山本は手を叩いた。

参謀の間にあったざわめきは消える。



「陛下は皇居におられるがなんとか無事だそうだ」



部屋にホッと安堵した空気が流れた。



「長官、空襲を受けたと電文にありましたが、

敵はどこの国なのでありますか?」



「・・・それがな、敵は鳥の化け物らしい」



「は?」



部屋がまた騒がしくなる。



「ちょ、長官、鳥の化け物とは?」



「詳しいことは分からんが、

電文によれば、拳銃の弾を弾く鱗を持った空を飛ぶ鳥の化け物に、

中世さながらの騎士が跨ってるらしい」




「空を飛ぶ化け物に、騎士ですと・・・」



彼ら参謀が思っていた敵というのは当たり前だが航空機だと思っていた。


それなのに訳がわからない鳥の化け物が空襲してきたと言ってきたので、

誰もが"軍令部はどうしたんだ"と思った。

しかしそんな参謀達を余所に山本は続ける。



「落ちつけ。確かに君らの気持ちは分かる。

しかし帝都が空襲を受けたのは事実だ。」



山本がそう言うと参謀の一人が手を上げた。



「空襲を受けたのは分かりました。

ところで電文の中に第一航空艦隊も、とありましたが、

ではハワイ作戦と南方作戦はどうなるのですか?」



「・・・南方作戦は取り敢えず無期延期、

ハワイ作戦は中止になろう」



この発言に参謀達は一気に騒ぎ出した。

それもその筈、彼らはその作戦の為に働いてきたのだ。

それが中止や無期限延期と言われても納得はできない。



「長官!ハワイ作戦は日米戦を有利にするための重要な作戦です!」

「南方作戦をおこなわければ我が国は滅びてしまいます!」



口々に参謀達が意見をいう中、山本はその意見に身じろぎせず逆に、



「バカモンっ!国民を守らなければ、

何のための連合艦隊かっ!

どうしてもと言うやつは即刻辞表を出せ!」



と一喝した。

この一喝で騒いでいた参謀達は全員黙り込んだ。



「第一航空艦隊には私の名で小笠原諸島に向かうよう伝えといてくれ」



「長官、第一戦隊や第二戦隊などはいかがいたしますか?」



参謀の一人が聞いた。


現在柱島には第一戦隊や第二戦隊に所属する戦艦"長門"、"陸奥"、"伊勢"、"日向"、"扶桑"、"山城"、を中心に

多数の艦艇が停泊しており、

これらを出撃させるのかどうかを聞いていた。



「戦艦は低速すぎる。今回は出さん」



そう言い切ると突然ドアを叩く音がした。

ドアを開けて入ってきたのは戦艦"長門"艦長の矢野(やの) 英雄(ひでお)大佐だ



「君、無礼じゃないかね。今は会議中だぞ」



参謀が咎める口調でそう言ったが矢野はそれを無視して山本に向かって口を開いた。



「長官、帝都が空襲を受けたと通信兵から聞きましたが、事実でありますか?」




「・・・あぁ、そうだ」



「では我々第一戦隊や第二戦隊戦艦も出撃ですか?」



どうやら矢野は戦艦部隊の出撃を直訴しに来たらしい。



「いや、第一航空艦隊だけだ」



「なぜです!」



矢野は声を荒げて言った。



「戦艦は低速すぎる。

それに十分な航空支援を艦隊に出来るとも限らん。

莫大な金を掛けて建造した戦艦に被害がでたら目も当てられん」



「莫大な金とおっしゃいますが・・・」



「長門は建造以来、連合艦隊旗艦として海に囲まれた神州である日本を守ってきました。

それなのに帝都を空襲した奴らに目にもの見せることができないのでは、

まさにそれこそが、無駄使いであります。」



そこまでいうと、矢野は涙声になっていた。



「それに国運が掛かっている戦いに行けず一発の砲弾を撃てないのでは、

私も部下達も、そして戦艦も無念で、

このまま死んでも死にきれないのであります。」



そしてとうとう矢野は泣き出してしまった。



「宇垣君、どう思う」



「出撃させるべきだと思います」



宇垣は端的に行った。



「我が国のような貧乏国が乾いた雑巾を絞るかのように金を集めて建造した戦艦をこの様な時に、

出撃させないのでは矢野大佐の言うとおり、まさに銭の無駄使いだと思います」



「・・・」



「それに帝都が空襲を受けたのに連合艦隊の象徴であるこの艦隊が泊地から出撃しないのでは、連合艦隊の名折れです」



山本は聞きながら瞑想している。

そこに追い打ちをかけるかのように宇垣は続けた。



「幸いともいうべきでしょうか、

万が一、第一航空艦隊がハワイ作戦を失敗した場合ため、

援護するために燃料、弾薬を十分に積んでおります。

そこで遅い艦に合わせながらでも全速力で移動できれば一日半で着くでしょう」



宇垣が言い終わると部屋に静寂が訪れたが

その静寂を破ったのは山本だった。



「君たちには負けたよ」



矢野は顔を上げた。



「そ、それでは」



「あぁ、連合艦隊は出撃する」


どうも、横山上等兵です。

今回、前書きにもあるように、

かなり無茶なところがありますが、

これは作者が帝国海軍対異世界艦隊を

やりたかったので・・・

それではまた次回!


ご意見、ご感想、アトバイスをお待ちしています。

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