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青い空、白い砂浜、そして天使達  後編


 おっす俺黄泉川! 前回は龍斗のターンだったが、今回はオレのターンだ!! それじゃ女の子の水着姿を解説しましょうかねグフュフュフュフ……



ガッシ ボッカ メゴス メタァ



「あら、手が小汚い血で汚れちゃったわね。海で洗ってくるわ」


「同じくだ」



 すげぇぜ皐月姉さんに蒼空さん……初対面の俺に容赦なくブチ込んできやがった、シビれるぜぇ……(体感的な意味で) 憧れはしないけど



「ちょっとオトコノコ二人、アタシはどうかしら?」



振り返るとそこにはスリングショットを着たガチムチ梅剣がいた。空気が変わった




「黄泉川ッッ!」


「ああ、いいぜ!」



「「さぁ、お前の罪科ツミトガを数えろ!!」」



 二人が人差し指で梅剣を指差す。コレがスタートの合図だ。龍斗と黄泉川のオシオキコンビネーションアタック! 二人は同時に姿勢を低くし、上空へと飛び上がる



「業火! 最大出力!」


「黒蝕! 最大出力!」



「「ドラゴノイズキィィィィーーーーーック!!!」」


「ぐわぁぁぁぁぁぁ?!」




 空から降り注ぐ、龍斗と黄泉川の炎と影のWキック! 悪は去った。と!!




「残念だったわね、残像よ」



 梅剣が避けているのを見越していたのか、二人はすぐさま構えを取る。先に出たのは龍斗だ



「業火鉄拳!! トレンドゥーラダンシング!!」



 龍斗の四肢が火に包まれる。次の瞬間、火を纏った足で下段回し蹴り、蹴り上げ、浮いた梅剣に連続ヒートアッパー、炎の踵落とし、掴み、上投げ、瞬間移動で上空へ移動し炎のメテオキックで地面に叩きつけ、地面に拘束しとどめに炎の拳を隕石のごとく叩きつける



「黄泉川!!」


「おうよ!」



 龍斗の後ろにすぐ待機していた黄泉川が追撃の連続技を叩き込むべく前に出る



「サディスティック・ディザイア ~ありったけの憤怒を添えて~   

フルコースで腹いっぱい食らいやがれ!!」



 梅剣の足元の影が爆発したようになり梅剣を上空へ吹き飛ばす。上空へ吹き飛ばされた梅剣を陰の翼を拳状にしたもので掴み取り、連続で地面に叩きつけ、最後の一発で空中に打ち上げ殴り飛ばし、飛ばされた先に瞬間移動、梅剣の背中に、陰を貼り付け極限まで威力を上げたキックを背中にブチ込む。



 フルコンボヒットでボーナス確定、ノーダメージで記録を塗り替えた龍斗と黄泉川であった



*注意! これは2次元ではなく3次元で起こった惨事件です



今度こそ悪は去った。





「男ってホントバカね」



 凍て付きかねないほど冷めた眼でこちらを見る蘭。黒を基調とした白水玉模様のビキニタイプ。フリルなどは一切着いておらず、シンプルなタイプだ。だがそれが彼女のスタイルのよさを引き立てている。


 ここが普通の砂浜なら何も知らない男がぞろぞろ寄ってくるだろう。プライベートビーチで本当によかった(惨劇回避的な意味で)



ところで、もう一方の狂戦士、蒼空は



「なんだよ?」


「「いや……」」



 サラシとフンドシだった。




「あの、蒼空さん?」


「なんだよだから」


「なんでそんなもの着てるんです?」


「最低限隠せりゃいいだろ」


「さいで……」




 ちょっと意気消沈していると水着の裾がクイクイ引っ張られる。視線をやると、恋が俯きがちにそこにいた。車椅子が砂浜専用タイヤに換装されており、足の不自由な恋の行動を可能にしていた



「なに恋ちゃん?」


「その……にあう?」



 背伸びしたのか、純白のチューブトップだ。白い生地が純真無垢な彼女を表しているようでとても合っている



「あぁ、似合ってると思うよ」



 ついでに頭をポンポンとしてみる。恋は心地よさそうに目を細めた。と、にわかに騒がしくなる



「さて、ビーチバレーしようよ!」



 大きなビニールボールを3つ、もとい1つ持った大家さんが叫ぶ。周りのノリのいい女性陣は「いえーい!」などといって大家さんのほうへ行く。黄泉川がニヤニヤしながら龍斗に問う



「どーするりゅーとさん?」


「あー……どうしよっかなー…」


「近くで見るか少し離れて広い範囲で堪能するか……」


「動きながらじゃ見辛いぞ?」


「だからこそ視線が動きの中に紛れる。一番安牌ではあるが……いかんせん集中して見れない」


「お前はそれで行ったほうがいいな。僕は見てるだけでもいけるかもしれないが」


「クッ、これが積み上げてきた信頼か…」


「ところで、二人はこの中じゃ本命は誰なのかな?」


「なにサラッと混じってんスか守人先生…」



 龍斗の隣によっこいせと腰掛ける守人先生。海の家でなにやらごそごそしていたが、なんだろうか。なにやら色々と海の家に仕込んではいたようだが



「まぁまぁ、幸いここには男しかいないわけだし」


「まぁ、そうスけど……」


「特に赤羽君? 君は絵瑠弩荘に住んでいるそうじゃないか」


「まぁ……成り行きで、ですけどね」


LSラッキースケベもあっただろう? あれだけ女性がいるとね、フフ……」


「アンタ意外と俗っぽいのな」



 黄泉川と一緒にニヤニヤしながら問いかけてくる教師(笑)。なにこの鬱陶しさ2倍マシマシアブラカラメ。最初のほうにも言ったと思うが、龍斗は最早LSくらいでは揺らがない精神を獲得していた



「で、誰が本命なのかな?」


「……黄泉川はどうなんだ?!」



 大きすぎる声で話題を逸らそうとする龍斗。だがこの手の連中にこれは逆効果、むしろ火にニトログリセリンを放り込むようなもの



「強引すぎだろjk」


「フフ、青いなぁ…」


「「で? だれが本命?」」




 うわぁこいつらマジブチ転がしたい気持ち1000%だよオイ



「……本命なんて居ないさ。少なくとも、今はそういうことは考えられない」


「ツマンネ」


「もうちょっとノってくれよー」


「マジで殴るぞ?!」



 ふと若干真剣味を帯びた表情になる守人先生。いきなりなので身構えてしまう



「それじゃあさ、龍化病がなかったら誰を選ぶの?」




たった一言だが、僕にとってその質問はとても重く、なぜか衝撃的なものに思えた



「あー……割と本気でわからない……コレになってから龍化病は僕の一部だったしな……コレがなかったら、どうなってたんだろ…」



 ビーチバレーではしゃいでいる江瑠弩荘住民を見て考えては見たが、こんがらがってきたので考えるのをやめた。どれにしろ過去はもう戻せないし、IFなんて考えていても意味はない。


ならば今を生きてやればいいという考えに至った龍斗は立ち上がる



「りゅーとさん?」


「赤羽君?」


「ちょっと磯を探検してくる。ちょっとしたら戻るさ。カメノテとかあったらいいな……確か旨かったはずだが。バケツとってくる」



 美しい砂を踏みしめながら去っていく龍斗。その背中は若干寂しげで、二人は少々いたたまれない気持ちになった



「アニキ、これやっちゃった感じですかね?」


「……ボクたちも複雑な気分になっちゃったね……あれ? そういえば蘭君は?」





 ビーチから少し離れた場所にある磯に、バケツを持った龍斗はいた。小さいころ図鑑で見た、生き物の宝庫である磯に憧れていたのだ。龍斗の暮らしていた施設は内陸の部分だったため、海というものに縁がなかったのだ。


 そして実は龍斗は海と聞いてテンションが上がっていたのだ。こうやって気の合う友達と出かけることに憧れていたのだ




「うわ、こんなんなんだな、磯って……すげ…」



 岩場の窪みに溜まった潮溜まりには沢山の生き物たちがいる。自然と心が躍った。岩場の隙間のカメノテを指で穿り出してみる。これを最初に食べた人は尊敬できると思った。 多めにとって、半分は塩茹で、半分は焼いてみることにした。と




「あら、男一人がこんな岩場で何してるの?」



 岩場の上のほうから見下ろす形で皐月蘭がいた。眼は相変わらず龍斗を射殺すような視線だ。ちょっと身構えつつ返事を返す



「蘭か。なんだよ」


「安心しなさい、ここでの戦闘行為はご法度よ。だから今あなたと戦うことはしないわ」


「今は、ね……まぁいいや」



 とりあえずは安心ということでカメノテを採取する。本来ならば金属の棒などで穿り出すのだが、龍化者である龍斗にそんな物は必要ない。指で直接穿ってバケツに放り込んでいく


 蘭は立っていた岩に座り、水平線を眺めている



「…………」


「…………」


「…………だー!」


「なにようるさいわね」


「お前僕のこと嫌いなんだろ?! なんで場所移すなりしないんだよ?!」


「あら、ひどいわね」


「お前、お前が僕にしたこと思い出してからその台詞言ってみろ!!」


「声を下げて、折角のいい景色が台無しよ」


「だぁぁぁ、もぉぉぉ!!」





「ありがとう」




龍斗の耳に届いたのは、敵の口から放たれた感謝の言葉だった




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