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これでも龍ですから

江瑠弩荘の住民まとめです


赤羽龍斗あかばね りゅうと…江瑠弩荘専属ハウスキーパー。18歳。謎の病、龍化病を発祥し、もといたた孤児院から脱走。偶然出会った空埼彩音に拾われ、現在にいる。ツッコミ。


空埼彩音そらさき あやね…大家さん。17歳。自由人で意外と食欲旺盛。なのに少食。ご飯前にお菓子を食べてご飯を残すので、よく龍斗に怒られている。


大地春沙だいち はるさ…江瑠弩荘最年少住民。16歳。料理の腕は江瑠弩荘一番。甘えたい盛り。思春期もあいまってよく龍斗にセクハラまがいのことをしている


如月舞奈きさらぎ まいな…江瑠弩荘一のスタイル。17歳。特に運動などはしていないにもかかわらず、超人的な動きを見せることがある。江瑠弩荘一の大喰らい



「おまたせ~出来たよ晩御飯!今日はベターにカレーライ…す」


皆を呼びにリビングに当たる部屋に行くとそこには昼間倒した少女が住民たちと仲良く談笑していたのである。今日の今日でよくこれたな…つか、どうやって僕の居場所がわかったんだろ?今のところ殺気は感じられなかったので大丈夫だろうが…


「あ、りゅーとさん!この娘今日からここに住むことになったから!仲良くしてあげてね~…浮気すんじゃねぇぞ?」


「和やかなムードのセリフの最後にドスのきいた凄まじいセリフが入ったような気がするんですが?!何が浮気だよおい」


少女は自己紹介を始めた。


緋色百合ヒイロユリです。これからお世話になりますね、りゅうとサン?」


メガネを中指で押し上げながら二ヤリと挨拶をしてきた。顔は笑っているが眼が笑っていない。それどころかどす黒い思念が見て取れるほど黒い瞳は濁っていた

。邪悪なオーラが僕だけに向けて発散している。昼間のことをやはりというか根に持っているようだ。


「ちょ~っとこっち来てくださいヒイロさん?」


「あらなにかしら?もしかしてココの新しい住民はこの人に手を出されるのかしら?」


「そんなつもりだったの?りゅうとサン?」


大家さんのこめかみに青筋が見えたような気がするが…僕はそんなにタラシに見えるのかな?自分に自信がなくなってきた。この荘に人外が二人も住むのだ。話はしておかなければならないだろう。


「違いますよ!!昼間に彼女と会ったんですっ!!ちょっと話があるだけでっ!!」


「あら、あれのことかしら?龍…」


「とっととこっち来いや根暗眼鏡…」


「ぴぃ?!」


その場にいた住民全員が凍りついたような気がしたがいつもどおり無視する。ヒイロの頭を掴んで隣の部屋に連れて行く。ヒイロも若干怯えた表情をしているような気がした。




僕の部屋


「まず問おう。問一、なぜ僕の居場所がわかった?問二、なぜここにきた?」


指関節を鳴らしながらいつもより5倍ましの鋭い視線で睨みを利かせる。逃げられないように(どっち道できないだろうが)壁際に追いやり、壁に手のひらを置く。傍からみればカツアゲしているようにしか見えない光景である。


「わ、わたくしはs、植物使いです…ドサクサまぎれて貴方の服にオナモミ型の発信機のようなものをつけたんです…」


昼間とは打って変わって、本当に借りてきた猫みたいになってしまったヒイロ。


「……続けろ」


「ひゃい!!ぶ、ぶっちゃけいつでも貴方を襲えるようにと…」


「いいこと教えてやるぜ根暗眼鏡…」


壁に置いていた手に力を入れると、壁にヒビが入った。


「戦いを吹っかけるのは構わんが少なくとも他人に迷惑の及ばないところで喧嘩を吹っかけろ。あとむやみやたらに病のことを口に出すな。ここの住民に悟られるな。以上」


「ひゃい!!」


「落着いたら居間に戻って来い、晩飯はもう出来てる。冷えないうちにとっとと食えよ?」


「…………」


再び気の抜けたようにへたり込む緋色。これでしばらくこの江瑠弩荘は安泰だ。さって、配膳やってくれてるかな…居間のふすまを開けると皆ビクッっと怯えた表情になり、そそくさとその場を離れようとした。


「あ、ああ私おハシださなきゃ!!」


「て、手伝うね!!」


全速力で走り去っていく春沙さん。それについて大家さんも逃げるようにこの場を去っていった。…やりすぎたかな?


「皆怯えているのよ、貴方の意外な一面にね」


唯一その場を離れていなかったマイナさん。この人はいつでも堂々としてるなぁ…怖いもんなんかないんじゃないか?


「心配しないで。私にも怖いものくらいあるわよ?」


「まじですか?!つかなんでわかったんですか?!今のモノローグ口に出してなんかいませんでしたよ?!」


「そうね、強いて言うなら今は饅頭が怖いわ」


「落語かっ!!なんて華麗なスルーですか?!つか昼飯前に饅頭いくつも平らげないでくださいよ!!食えなくなったらどうするんですか?!」


「大丈夫よ、なんだかんだで完食してるから」


ホントに揺るがないなぁ、この人は。マイナさんはよくご飯前にお菓子を食べているが、それでもちゃんとご飯を完食している。しかも大盛りお代わりだ。つられて食べてしまった春沙さんや大家さんがご飯を残してしまうので、いつも僕が二人を叱ることになるのだが…あれだけ食っといてどうやってこのスタイルを維持しているのだろう。日本中の女性が羨むようなスタイルでありながら(本人に自覚は薄いのだが)食生活はとても自堕落である。男としてもうらやましい限りである。


「それよりここにいない人たちを連れ戻してあげないと、いつまで経っても頂きますっていえないんじゃない?」


「そんなに恐ろしかったですか?僕」


「そうね、あの子達ああ見えて幼いのよ。だから本気で怒ってる人をあまり見たことがなかったの。しっかりしてるようだけど、本気で怒ってくれる人がほとんどいなかったのが大きいわね。私は怒るとかそういうのはニガテだし」


「そんなモンですかねぇ?」


「そんなものよ。…とにかく呼びに行ってあげて、皆に不当な怒りをあらわにした罰よ」


どうやらマイナさんに頭が上がることはないようだ。なんだかんだで一番お姉さんだしなぁ…多分一番年上だし


「馬鹿なこと思ってないでとっとと呼んできてちょうだい。ちなみに言っておくけど私はまだ高校生2年よ?ちなみに最年長はあなた、お兄さんなんだからしっかりしてよ?」


ホント読唇術でも使えるのかなこの人は…そうか、年下だったのか……じゃねぇ!!余計なこと考えないで他の住民を呼びに駆けずり回ることにしよう。


普段怒らない人が怒ると、な~ンであんなに怖いんですかねぇ…?

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