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良くも悪くも知り合い

高校生活一日目後編的な。がんばれ龍斗くん

「あら、りゅーとさんじゃない。元気してる?」



振り返るとそこには舞奈さんが無気力そうに佇んでいた。小脇に教科書やら何やらを挟んでいる。次は移動教室でもあるのだろうか



「あぁ舞奈さん。舞奈さんもこの学校の生徒だったのか……いや、考えてみりゃ道理だな。こんにちは」



「そういうこと。さっき廊下を走っていったの、皐月妹ちゃんよね? なにかしたの? まさかりゅーとさんってロr…」



「なんもしてねぇよ! 階段前で立ち往生してたから、おんぶして上に連れて行ってやったんだ」



「そう、よかったわ。あの子内向的なきらいがあるから、あまり人に頼ることに慣れてないのよ。お姉ちゃんは別としてね。あと寂しがりやだから見かけたら声かけてあげてくれる?」



年下なのに、なんだかお姉さんみたいな雰囲気だ。


基本的に無気力そうな無表情だが、夕食に自分の好物(和食が好きなようだ)が出たときは食べる前に僅かに「二ヘラ」と笑ったり、時々庭で居合いのようなことをしているときは真剣そのものの表情になる。


真剣な表情のときはかっこいいと思うし、笑ったときは年相応でかわいいと思う。




「了解、舞奈先輩」



「じゃあね」



後ろでに手を振りながら歩き去る舞奈さん。どうでもいが、後ろ手に手を振りながら歩き去る人を始めてみた。アニメでも最近見ない


やはり知り合いがいると安心感が違うな。勉強詰まったら見てもらおう、なんて考えているとチャイムが鳴った。あれ?このチャイムって……しまったぁぁぁぁぁ!!!




弁当食えてねぇぇぇぇぇ!!!!!!









放課後。黄昏に染まる水平線を見やりながら僕は屋上の縁に腰掛けていた。やってみたかったんだよ、学校の屋上で夕日を見ながらたそがれるって。


厨2とか言うのホントにやめてくれます? 心は人間なんで、グラスハートのままなんで



ちなみにこれは僕のような人外、およびフィクションだからこそやってることです、画面の前の皆は絶対にマネをしないでね。



と、後ろから人の気配。しかも殺気付。教室で感じたこの陰湿なタイプの殺気、そして数秒後聞こえてきた声。屋上に上がってきた人物は振り向くまでもなくわかった



「先客がいるとは思わなかったわ。西のほうに退いてくれる? 邪魔」



「これ以上西にいくと僕が転落するだろうが。皐月蘭」



「それでいいじゃない。というかそのまま死ねばいいのに。というか私の半径1万キロから退去してくれない?」



「よくねぇよドカス。地球から出て行けってのかよ。アホか貴様脳みそ腐ってんのか」





ひとしきり罵倒しあった後の痛い沈黙が流れる。気まずい。見詰め合うまでもなく素直にお喋りとか無理。




「………あの時はすまなかった」



えぇい、こういうときは男がリードするもんだってばっちゃが言ってた! ……身内いないけど、というか若干意味が違うような気がしないでもないけど。


力の使い方がまだ未熟だったとはいえ、腕に大やけど負わせちゃったんだし



「何を言っているの? お互いに敵として戦っていたのだから、当然私が死ぬこともありえた。なぜ私を生かしたの? 戦っていた相手を生かすということは、相手に生き恥をさらせということと同義なのよ? それともアレかしら? 私を倒して自分用の奴隷にでもしようと思っていたのかしら?」



「それだけは120%ない。……そうか。ならいい。僕を殺そうとした罰としてせいぜい生き恥をさらせ」



「鬼。鬼畜。鬼畜生」



「全部一緒じゃねぇか」



「この偽善者め」



「………否定はできないな。だがそれでも善だ」



呆れ顔をしているのが見なくてもわかる。戦うものとして甘い選択をしたということはわかっている。これから僕はどうすればいいのだろう。自分で選んだ道なのに



「貴方がこの龍殺しに入ったわけなんて知らないし知る必要もないんだけれど、どうせ強くなるなら全てをねじ伏せられるほど強くなりなさい。力なき正義は偽善であり、悪よ」



「………そうか」



すこし、吹っ切れた気がした。さて、帰ってたまった家事を済ませないとね



「ありがとう、皐月蘭」



「なぜ御礼を言われたのかしら? 理解できないわね、それに私を呼ぶなら苗字か名前かどっちか選んで呼んで頂戴、一々フルネームなんて面倒すぎるわ」



「ありがとう、蘭ちゃん」



「いきなり馴れ馴れしく下の名前で呼ばないでくれる? いまどきちゃん付けって、小学生なのあなたは?」



「あっそ………じゃあな、蘭」



「聞いてた? その耳の穴の奥の方にちゃんと鼓膜はあるのかしら?」



「受け流させてもらった。知っているか、人間というものは自分に都合の悪いことは忘れるように設定プログラムされてるんだ」



「それはちょっと違うんじゃない? フン………」



我ながら凄まじい罵倒のしあいだったな……






「お楽しみのところ悪いが、仕事だ二人とも」



「「うぉぉぉ?!」」



なぜかちょっと不機嫌そうな恋の車椅子を引いたソロモンが、悪びれる様子もなくそこにいた。もしかして今のやり取り見られてた? 別に見られて恥ずかしいもんじゃないけどさ。


恋がなぜかリスのようにほっぺを膨らませてそっぽを向いている。



「屋上でいちゃこらなんて痺れるな、だが今はそれどころではない」



「今の罵倒のしあいがどうやってそういう風に脳内変換されるんだ、一回お前の頭スコーンとかち割って脳みそ引きずり出して調べる必要がありそうだ」



「冗談はさておき、行くぞ。我々が監視していたある龍化者が不穏な動きを見せているらしい。何かあってからでは遅い、早めにコンタクトをとってどうにかしなければ」



次の瞬間僕たちはソロモンの術でワープしていた。今日遅くなるって連絡入れとかないと……






その戦いで僕は、自分がどれだけ甘くて、馬鹿で、どうしようもないくらい浅はかなことを知る。


次回はたぶん戦闘です。ワルがでます。龍斗くんのメンタルは大丈夫なのか

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