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出会いと転機

ドラゴンといえば、モンハンのドラゴンはカッコいいですよね~


この前下位のレウスさんにボコボコにされましたww一応上位ハンターなんですけどねぇ… 

え~と……今僕はとある荘の一室に前回突飛なセリフを吐いた少女の部屋にいる。続きを話そう。

あれから僕はこの謎の少女に連れられて彼女の住んでいる荘に連れられてきた。。江流弩荘えるどそう、と読むのだそうだ。変わった名前である。ちなみにそのままの姿ではなく、角はニット帽でごまかし、翼は知らないうちに小さくなっていたのでそのままダウンジャケットを羽織ってごまかした。


「いやー朝早くに目が覚めたからその辺歩いてたら眠くなって、テントウムシの遊具の中で二度寝して、起きたらレアもののキーホルダーを持ってる人がいるなんてまさに奇跡じゃないかしら!」


「説明臭い長台詞ご苦労様です…ってかそれだけで僕をここに招き入れたのですか!?…………まぁいいでしょう、このキーホルダーなら差し上げますよ。大事にしてください」



「マジで!?やったーー!じゃあお返しってことでなんか困ってること無い?」


「そうですね…今住むとこと仕事を探してて……って何言ってるんだ僕は?!」


少し考えるように顎に手をやる彼女。僕ときたら、その場の雰囲気に流されっぱなしである。我ながら少し情けない


「ならこの荘に住まない?ハウスキーパーとして雇ってあげるよ?私ここの大家なんだ~」


「…マジで?」


「うん、みんな喜ぶよ~あなたカッコいいし!俺の嫁にしたいくらい!」


いやその理屈はおかしい、と突っ込みたかったが根本的な問題を僕は思い出した。


「そういえば…僕の姿を見ましたよね。なぜ僕を好奇な目で見ないのですか?普通なら驚いて逃げるかぐらいはするのではないですか?」


すると少女は神妙なドヤ顔でちっちっち、と人差し指を振る。


「人間誰もがそんなんだとは限らないよ。そりゃ最初はびっくりしたけど、よく見ればあなたなんというか寂しそうだったの。そしたら母性本能が疼いちゃってさ、あなたをここまで連れてきたのよ。そんな秘密抱えて一人で生きるなんて大変でしょう?」


今までかけられたことの無いやさしい言葉に、なんだか胸が熱くなってきた。と、涙が出てきそうになったのでそっぽを向いて強がってみる。


「ぼ、僕は別に…そんな雰囲気出してるつもり無かったのに…ま、まぁお礼くらいはっ………あ、っありがとう…」


我ながら情けない (本日二回目)。自分でも隠せていないことが分かるくらいに声が上ずっている。すると少女が僕の正面に立ち、大きく包み込むように抱擁した。それからしばらく、彼女は僕の嗚咽が止まるまで優しい表情をしながら抱きしめてくれていた。





「あらためてよろしくね、え~っと…」


そういえば自己紹介がまだだった。


「赤羽龍斗です。これからお世話になります」


「わたしは空崎彩音そらさきあやね。よろしくネ、りゅーとサン!」


こうして僕は新しい新天地で頑張ることになったのである。


「そういえば他の住民の子にも挨拶しとかないとね……今朝は週一の会議、エルドミーティングだからちょうどいいね、そのときりゅーとサンを紹介しましょう」


これから暮らしていく上で住民の方には何かとお世話になりそうだ。挨拶はしっかりと、失礼の無いように接さなければ……



しばらくして管理人室の扉が開いた。


「おふぁようごはいまふ~」


欠伸交混じりの挨拶をしながら数人の少女が入ってきた。ふと疑問に思う。男の影が見えない。


「おはようみんな。というわけで新しい住人が増えるよ!紹介しましょう、赤羽龍斗サンです!」


一瞬にして少女たちの目の色が変わった。これから狩りに出かける猛獣を思わせる獰猛な目。僕の不安は現実となった。


「あの…空崎さん……?つかぬ事をお聞きしますがこちらの男性の方は…?」


まるで飢えた猛獣の檻にエサとして放り込まれた気分である。…今ジュルリって聞こえたような気がした。


「大家でいいよ?ここは女子寮だよ。あそっか、あなた男か。まいっか!」


「よくねぇ!」


初歩的な問題だった。


「大家さん?このカッコいい人は……?」


「言ったでしょ、新しい住民の龍斗サン。ハウスキーパーとしてうちに雇ったのよ。仲良くしてあげてね~」




一瞬にして少女に囲まれ、次々に挨拶をされる。正直、男に飢えていたと認識せざるを得なかった。挨拶にまぎれてヘンなとこ触ろうとしてくる人もいた。というかおそらく全員。というわけで早速僕の仕事は始まった。洗濯物についての注意、 (異性の洗濯物を洗うのだ、下着類は自分たちで洗ってもらう)朝と夜のまかないに使う食材について (夕方のタイムセールスを狙って住民一人と近くのスーパーに行く)などなど………気づけばとっくに昼ご飯の時間になっていた。冷蔵庫にある食材を使って何かまかないを作る。今回は住民の方が作ってくれるようだ。腕前を見るためと手伝うためにキッチンへ同行する。


「今回は私が料理するから。私はマイナ。如月舞奈きさらぎまいなよ。よろしくね、龍斗さん」


カッコいい。大人びた雰囲気でしっかり者のお姉さんを思わせる、そんな感じだ。続いて隣の背が小さめの女の子が自己紹介をする。


「私は大地春沙だいちはるさ。最初色々大変だろうけどがんばってね!」


名前の通りおおらかで元気いっぱいの明るい少女だ。話しているとこちらも元気になるような気がした。


「さて、今回は何を作ろうかなぁ……今日は休日で皆いるし…」


「お昼だしおにぎりでいいんじゃない?見たとこ冷蔵庫の食材、かなり頼りないよ?」


春沙が冷蔵庫を覗き込みながら言う。なるほど、冷蔵庫には人数分の納豆、卵一パック、ウィンナーなどまさしく余り物ぐらいしかない。奥のほうに黒く変色した謎の物体が入ったパックと盛大に芽の出たたまねぎがちらりと見えたような気がした。後で片付けとこう。この人たちの料理の腕前を見れないのは残念だが、おにぎりの形を見れば大体解るような気がする。そこを観察して見るか。もち、手伝いつつ。


「お、味噌があるな。味噌汁でも作るかな…このたまねぎ使えるかなぁ……後卵でも割り入れて…」


「ふ~ん、味噌汁に卵かぁ…その発想は無かったなぁ」


「お吸い物にも入れるでしょう?まぁあっちはとき卵ですけどね。じゃあ味噌汁と配膳は任せてください、貴女方はおにぎりを頼みます」


「「は~い」」


数十分後、居間の食卓の上には僕が作った味噌汁と舞奈さんがにぎったおにぎり、春沙さんが作ったウィンナー入りオムレツが並んでいた。


「では…いただきま~す!」


皆いっせいに味噌汁を口につけた。料理番組とかでよく芸能人が試食者の感想をどきどきしながら待っているような気分だ。


「これ……」


き、来た?!思わず動揺してしまった


「すっごくおいしい!」


ホッと胸をなでおろす。喜んでくれて幸いだ。


「中の卵も半熟で味噌汁と混ざるとまろやかになって…つか、たまねぎなんてあったの?」


「盛大に芽が出た奴がありましたが全く使えないわけじゃありませんし・・・喜んでくれて幸いです」


「グスン・・・」


えっ?!大家さん泣いてる?!僕なんか地雷踏んだ?!


「懐かしい……お母さんが作ってくれたみたい…」


すると隣の舞奈さんが小声でこういった。


「大家さん、小さいころにお母さんを亡くしてるのよ。私たちも味噌汁作ったりしてたんだけど、ここまで褒められたの龍斗さんだけよ。ほんとにすごいね…」


そういえばさっきから住民たちの視線が猛獣の目から尊敬の目に変わっていたのはそのためか。しかし…明るく振舞っていた大家さんがそんな暗い過去を背負っていたなんて…大家さんが何の躊躇も無く僕をここに招き入れた気持ちが少しわかった。僕から孤独のにおいを嗅ぎ取ったのだろうか。同じ境遇を持つもの同士惹かれ合う……なんだこの俗に言うギャルゲーとか少女マンガみたいな展開。ないない。それからしばらく僕たちは暖かい家庭の味を味わっていた。


寒い日の味噌汁ってなんであんなに美味しいんでしょうね~

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