茶倉としての想い
バトル描写が心底ヘッタクソだと思う今日この頃。刀馬鹿さんのようには行きませんねぇ…
「龍気迫!!」
気迫の塊を自分の周りに展開する。一応、360度対応できるが、いかんせん効果は低い。強めの攻撃なら一瞬で割れてしまいそうなくらいだ。そして強く翼で羽ばたき、空気を後ろに投げつけるように、ロケットのような勢いで突進する
「そんなシャボン玉で何とかなると思っているのか!!万雷・タケミカヅチ!!」
頭上の雷雲から空を埋め尽くさんばかりの雷が落ちてくる。気迫の膜が破れないように割れそうになっては補強を繰り返す。ジグザグに走りながら土煙を巻き上げ、雷龍の視界を邪魔する
「どうかな!!」
思ったとおりだ。こいつは雷を自分の身体に纏わせることは出来ないらしい。つまり遠距離特化であり近接は苦手ということだ。それが穴となる。
「業火拳!!」
「な…?!」
龍気迫によって生体電流感知能力をごまかし、かつスピードを加えることで雷龍の不意を付いた。僕の拳が雷龍の顎にクリーンヒット。と同時に拳に封じ込めていた炎を一気に爆裂させる。やつの脳を激しく揺さぶる。同時に襲い来る業火。
「アナタは誰?」
「わちはお前だ」
あたり一面真っ白だ。というか何もない。そこにいるのは同じ身体に居座る二つの魂のみ。
「わたしはあなた?」
「お前はわちの大事な人を傷つけた。許されることではないぞ?」
「そうですね…言い訳もしようとも思いませんが…アナタの、想い人でしたっけ?」
直球の問いかけに茶倉は動揺を隠せない。それはそうだろう、同じ身体ということは記憶もお互いに筒抜けなのだ。ここで嘘をついても不毛というものだろう。
茶倉が龍化者となったとき、彼女の中にもうひとつの人格が生まれた。と言っても龍としての本能がもうひとつの人格となって具現化したものだ。なので人格とう言い方もいささか違和感があるのだが。
「うっ…そうだ。それだけではない。お前の目的は龍化者の殲滅、そしてそれに伴う何かの大きな変動。大いなる何かの…いや、わちや龍斗をこんな体にした、心底腐った連中が動き出す。お前はそれで満足するかも知れんが、そのために多くの人を殺すのは!心底わちは気に入らん!!」
「戦いに犠牲は付き物です。私も彼らが何をするのかはわかりませんが、とても恐ろしいやつらということは言えますね。残念ながら…私達はここで脱落のようです…脱落してしまいましたので奴らの事ももうどうだっていいのですが」
「何をほざいてる?目を開けて見ろ」
「?」
ほの暗い部屋の中だ。暖かい布団に包まっている感覚がある。隣で何かが寝息を立てている。先ほど殺すはずだった赤羽龍斗その人が。壁にもたれ、あぐらを掻き、腕組みをし、鼻から鼻ちょうちんを出し入れしながら、ぐっすりと眠っていた。それが表すことはただ一つ。
「生きて…いるのですか?私達は…」
「違う。生かされたんだ。慈悲をかけられた。戦うものとしては最もされたくない行為だろう。だがあいつの考えはわちらと大きく違う。あいつの中では、わちらを凌駕した時点で、既に護るべき対象と捉えたんだろう。わちらより強いあいつはわちらに生きることを強制したんだ。強者の特権というやつなのかもな」
「護るべき…対象?」
「感情論に関しては無知だな。さてと。そろそろわちは起きる。お前はおとなしくわちの尻に敷かれていればいい」
「解りました。あなたの言葉の意味を考えながら、少しの間眠らせてもらいます。それでは、お幸せに。今ならチャンスですよ?」
「なっ…//////」
徐々に光が収まり、目の前が先ほど見たほの暗い場所に切り替わる。
龍斗が起きないように、静かに。布団から上半身を起こし、素直な自分の気持ちを言葉にする。龍斗が起きているときなら絶対にいうことのない言葉。
「ありがと。龍斗」
「ン…」
少し満足げな表情で眠り続ける龍斗。その姿があまりに無防備なので、イタズラ心が疼く。
「いや、まてまて。変態じゃあるまいし。それはさすがに卑怯だ。………ちょっと位なら…」
布団からゆっくり這い出し、両手と両膝を付いた、いわゆるハイハイの状態で眠っている龍斗にゆっくり近づく。起こさないように、起こさないように。そーーっと。そーーっと。
「大好きだよ、龍斗…」
自分の胸に秘めたる思いをその一言に乗せて。龍斗の唇に己のそれが近づく。恥ずかしいので目をつぶる。あと何センチだろうか。龍斗の体温が近くなっていくのがわかる…ふと、龍斗の吐息が茶倉の肌をくすぐった………
「ぶぇっくしょい!!!!グズッ……ん?起きたのかチャクラ」
「……………」
顔面に、モロである。しかもくしゃみのショックで起きる始末。これがオチ。
「あぁかばねりゅぅとぉおおおーーーーーー!!!」
「え?いやちょっとま…ぎゃぁぁぁぁぁあああ?!?!」
その日また雷が落ちたそうだ。
どう?それっぽく見えた?…そう。泣いてなんかいないもん…ww