表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/52

雷光の支配者

ドラゴノイドの更新が滞ってしまったのには訳がありまして…他に書いてる小説のほうばっか進めてたらこうなってしまいましたww


すみません…

気が付いたら僕はあの空き地にいた。比較的都会に近い町なので、こういった空き地はそれほどないのだ。なのでよくこの空き地が使われる。そうだ、掃除してたらビリって来てなんか意識失ったんだっけ…



「ッ……ヒリヒリする…何が起こったってんだよ…」



「お目覚めか?赤羽龍斗」



聞き覚えのある声。というか今朝ブン投げた茶倉の声である。だがその声には抑揚がなく、感情のない人形を連想させた。



「いたずらにしちゃオイタが過ぎるな、茶倉。お前が僕をここまで運んでこれたなんて、正直驚いているよ」



「何を言っている。お前も良くわかっているはずだ。この病について」



そんな…まさか…



「そうだ、わたしは龍化者、雷龍だ。この戦いを終わらせるため、貴様ら龍化者を殺しに来た。まずは貴様からだ。感電死するがいい」



さっきまで晴れていた空がどんどん暗くなり、上空に雷雲が発生する。この町全体を覆うほどの雲だ。もしや…あのときのスコールはこいつが?!



「察しがいいな。雷を意図的に発生する雷雲を発生させ、この世に存在する電化エネルギーを意のままに操る。それが!私の龍化能力ドラゴンスキルだ」



凄まじい速さで迫り、僕に拳を振るう茶倉。早い。だが、避けられないことはない!飛ばしてきた拳を後ろへ受け流せるように構えを取る。



「貴様の動きも私に筒抜けだ」



直前で拳を開き、僕の腕を掴み、そのまま後ろへ投げ、地面に叩きつける。



「かはっ…?!」



肺から空気が抜ける。ミシミシと背骨が悲鳴を上げる。叩きつけられた地面に大きなヒビが入る。



「爆雷!!」



茶倉はバックステップで回避、と同時に頭上の雷雲から雷が落ちてきた。やるしかない。



「うぉおおおおおおおおおお!!!!」



拳に気を込める。目の前の雷を打ち滅ぼすために。



「龍の怒り(アンガー・オブ・ドラゴン)!!」



凄まじい爆発が起きた。



「う、ごほっ…茶倉…」



正直キッツイ…さっきの攻撃を打ち消すのに大分気力を使った。後何発撃てるか…後何発で茶倉を戦闘不能に出来る?そしてなにより…気力が減るたびに、あの凶暴な龍の魂が鎌首をもたげる。茶倉を倒すまでに正気でいられるのか…?



「ほう…伊達に龍化者をやっているわけではないようだな」




「くそが…なんで…マジもうクソッタレが!!やってやろうじゃねぇか!!」



立ち上がり、拳を付き合わせ、精神を集中する。家事をしていたので上着をしていなかったのが幸いだった。破るともったいないし。Tシャツを突き破って翼を大きく展開する



「こっからは本気だ…後悔するんじゃねぇぞ…?」



「おもしろい…」



雷雲から降り出した周りの雨が、僕に触れる前にどんどん蒸発していく。堺人と戦ったときのように、身体が戦闘用に研ぎ澄まされる。覚悟は出来た。相手を倒す覚悟と、相手に倒される覚悟を。



「いざ!!」



踏ん張る足に力を込め、一瞬のうちに茶倉の背面にもぐりこむ。



「無駄だ。地雷じらい



地面からの放電。しかも、確実に僕の足の裏を捉えていた。全身を貫くような衝撃が僕を襲う。雷龍とか言ってた時点で気づくべきだった。



「そう、私はあらゆる雷を操り、観測できる。貴様の人体を動かしているものも、生体電流と呼ばれる電気というわけだ」



これもう詰んだんじゃないか?そう思わないでもない僕だった。幸いダメージは低く、すぐに立ち上がれたが…反撃の機会を与えてくれない。






「そらそらどうした?万雷ばんらい



空からそれこそ雨霰のように雷が降り注ぐ。着弾した雷が地面にどんどん焦げ後を作っていく。走馬灯だろうか。そういえば…こいつと出会った日は。今日とは違って晴天だったのに。








哀しかった。辛かった。なぜ自分が存在しているのかが分からなかった。誰ともなじめないわけでもなかったが、誰かと一緒にいても自分の心に浮かぶのは虚無感だけだった。



孤独が辛かった。一人が辛かった。いつも自分の部屋に閉じこもって部屋の隅で泣いていた。いよいよ辛くなったとき、僕は自殺を試みた。最初のほうに言ったと思うが、僕の部屋は三階だ。鉄格子の縦棒一本が脆く、当時10歳以下の僕の力でも取ることはできた。そして…



僕は飛び降りた。





僕は生きていた。下の階のベランダの鉄格子に引っかかったのだ。何のイタズラか、そこが茶倉の部屋だった。



彼女は驚いた。突如上から人が降ってきたのだから。しかし彼女はどうするわけでもなく、僕を部屋に引き入れ、泣きじゃくる僕を優しく抱きしめてくれていた。ああ、だからか。大家さんに抱きしめられたとき、どうしようもなく涙が流れたのは。







「不快なことを思い出しているようだな…」



読心術?いや、生体電流が云々とか言ってた。脳内は微弱な電気の伝達で命令を飛ばしたりしているとか聞いたことがある。記憶まで読めるのか?



「そうだ。そろそろオイタが過ぎたようだ。とっとと死ぬがいい、赤羽龍斗」




「いや、死ぬのは貴様だ。雷龍。茶倉を返してもらおうか」



「ほざけ!!」



再び雷を落としてくる雷龍。覚悟は決まった。たとえ僕が死のうとも茶倉を取り戻してから死ぬと。拳に力を込めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ