表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

届く想い

『セツナイ想い』

一条 ハルキ著


ハルキの名前…。


私は次のページを開いた。そして目に飛び込んだのは…

『これを最初に渡す愛しい君へ』



「ハ…ル…」

『お前に1番にやるから』

ハルキはそう言った。一番にくれるって、私に一番にくれるって。


愛しい君


それがハルキの気持ち…?

私は長塚を見た。

長塚は何も言わずにただうなずいた。


私はページをめくる。



あいつと俺は幼馴染み。

それ以上でも以下でもない。


あいつにとっては…




本の中の主人公は男の子だった。

幼馴染みの女の子と出会ってからの日々をつづったお話。

気付くと主人公は幼馴染みに恋をしていた。




アイツは猫みたいだ。

いつも強がって背筋をピンっとはって、でも心を許した相手には甘える。

そんなわがままな猫。




中学2年の夏休み前の放課後、俺はクラスの男友達たちと女子の話題をしていた。

「うちのクラスで一番かわいいやつって誰だと思う?」

一人が言うと口々にみんなが女子の名前を言う。

その中にあいつの名前があがった。

何故か俺はムカッとした。そして他の奴が言う。

「かわいいけど、なんか大人ぶってない?」

その言葉にはもっとムカついた。


あいつの良さなんて俺以外わかんなくていい。


俺以外があいつの名前を呼ぶのが嫌だった…



そして気付く、俺はアイツが好きなんだと…




私はそのまま本を読み続ける。




あいつと同じ高校に入って半年がすぎた。


アイツには初めて彼氏ができた。


俺は嬉しそうに報告するアイツに笑顔を見せた。

「よかったな。」

思ってもない台詞を言う。

俺はヤケになって彼女を作った。

彼女のことはそれなりに好きだった。でも、アイツが別れたときに別れた。

そうやって、何人も人をきずつけた・・・


今でもそのことを思い出すと心が苦しくなる。


でも、それが俺に課せられた罰なんだと思う



知らなかった・・・。ハルキが苦しい想いをしていたなんて・・・・。




大学に入り2年がたった。

俺は偶然アイツが黙っていた恋を知った。

それは苦しい恋だった。


アイツは平気だと言う。

でも平気なわけないから・・・・


『別れろ!』

その言葉を何度も言いそうになった。

『俺がお前を幸せにするから』

言いたかった言葉。


どちらも言えない。


幼馴染みというポジションを捨てれない俺に何も言う資格はない・・・。




でもお前は無邪気すぎて、俺に甘えてひっついてくる。


男として意識されてないのがわかる。


お前が甘えてくるのが嬉しい、そして……憎くもある




私はハルキをいっぱい傷つけていた…

なのに、ハルキはいつも笑ってくれた…


「ハル…」

謝ることもできない…


ごめん、ごめん、ごめんなさい…





俺は今の状況にどこかで満足している。

このまま続けばいいとも思ってる。

でも、それじゃあダメだから…



直接言う勇気をもてない俺をお前は笑うかな…?

かっこわるいかもしれない、でも言わせて。

俺の本当の気持ちを…




俺はお前が好きだよ、菜々穂





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ