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1年以上止まっていた長編の続きを、AIと2日で書いた話

掲載日:2026/10/24



はじめまして、環 理生と言います。


普段は、長編小説とかエッセイとかを書いています。


そのうちのファンタジーは、本編だけでだいたい100万字くらいある、そこそこ長めの長編です。本編は4年ぐらいかけて完結させました。当時はAIなんてなかったので、全部自力です。


その続きというか、番外編みたいなサイドストーリーも書いてはいたんですけど、その更新が1年3か月ぐらい止まっていました。


エタったわけじゃなくて、書くつもりはありました。大まかなプロットも完成していました。ただ、正直、文字に起こすのがめんどくさくて、書いていませんでした。


それが今回、AIをうまく使えたおかげで、2日で8話、約4万字書けました。これは結構すごいなというか、可能性を感じたので、皆さんに共有しようと思って書いています。



――



前にやった失敗


具体的な流れの前に、まずは私の過去の失敗例を紹介しておきます。


前にやったのは、自分の小説を全部AIに読ませて、続きを書かせる方法です。


ただ、AIが一度に読み込めるのは100万トークンくらいなので、私の本文はAI 1つでは読み込めないサイズ感です。そこで、複数のAIに分けて読ませて要点だけまとめさせ、まとまったものを親のAIに渡しました。


その時に、それぞれのキャラクターの話し方や特徴も拾い上げさせて、「この続きを書いて」という感じで渡しました。


結果は、キャラクターがかなり崩壊しました。


たとえば、ぶっきらぼうで男気のある男キャラがいたとします。話し方は「〜だ」と言い切ったり、体言止めだったり、短い文が多い。


それをAIが書くと、ワガママな子ども、みたいな印象の話し方になってしまいました。


これは、ちょっと使えないなという出来だったので、それ以来、AIに続きを書かせるのは難しいと思っていました。



――



今回うまくいった流れ


今回は、以下のようにしたら、かなりいい感じに出力されました。できあがった文章の7〜8割は、AIが書いたものをそのまま採用できたくらいの精度です。


1. 設定を、本文と頭の中からまとめさせる


2. 続きの話を、口述する


3. それをもとに文章にさせて、読みながら直させる


4. 最後に、自分の手で整える



――



1. 設定をまとめさせる


まず、設定です。


私はもともと、設定資料集のようなものをほとんど書いていませんでした。あったのは、スプレッドシート1枚の年表くらいです。


あとは全部本文か頭の中にあり、忘れたら自分の書いた本文を読み返していました。


一人で書くなら、これで困りません。でも、AIは私の頭の中を知らないので伝える必要があります。


読ませ方は、失敗したときと同じです。本文を複数のAIに分けて、並行して読ませました。私の場合は1時間ほどで終わりました。


違うのは、拾わせるものです。前に拾わせたのは、要点とキャラクターの話し方くらいでした。


今回は、様々な情報を項目ごとにちゃんと整理させました。具体的には、以下のものです。


人物134

場所(国・街・地域)147

物(道具・植物・食べ物・お金)223

仕組み(魔法・暦・単位など)72

文化(祭り・儀式・習わし)66

組織48

魔物・動物33

合計718


1話にしか出てこない小物や、金貨の価値のような細かい決まりも全て拾われています。


章ごとの年表や伏線も、拾えるところは拾ってもらいました。


整理の仕方は、ゲームのシナリオやキャラクター管理を参考にさせまして、これがいい感じにはまりました。


ただ、本文から拾えるのは、文章に書いたことだけです。


そこで次に、本文には無くて、私の頭の中にだけあるものを話して、足してもらいました。たとえば、こんなことです。


・世界の大きな仕組みで、まだ説明していないもの(読者に説明する予定がないものも)

・実はこのキャラはこういう人、という裏の設定

・悪役っぽく見えているけど実はそうじゃなくて、こっちが本当の黒幕、とか

・今後書く予定のシナリオ(ここはこうなる、とか)

・誰と誰がどういう関係なのか


ほかにも、こまごましたことをいろいろ足しています。



――



2. 続きを伝える


次に、続きの話をAIに伝えます。


大まかなプロットはもうできていたので、そのプロットを見ながら、もっと細かいところを順繰りに話していきます。


ここはこういう言い回しを使いたい、ここはこうなる、といった細かいところを、一個一個実況するように話す感じです。


自分で本文を書くときも、プロットを見ながら頭の中で物語を動かして、それを文字に起こしていくと思います。そこを文字に起こさずに、そのまま、AIに渡しました。


で、全ての展開を全部自分が考えるかというとそうでもなくて、こだわらない場面はAIにまかせることもしました。


たとえば、二人がデートを楽しんでいる場面。キャラクターの魅力を出すために必要な場面ですが、正直、中身は何でもいいところです。


様々なキャラの情報をAIは知っているので、「過去のエピソードを少し織り交ぜつつ、いい感じにしておいて」と言うだけで、かなり満足のいく仕上がりになりました。


他には、話していると、迷うところも出てきます。


たとえば今回の話では、キャラクターが惚れ薬を作りました。


古い本に、惚れ薬や怪しい薬の作り方が載っている。じゃあ、どんな薬があって、材料は何がいいのか。


小物の設定は、どうでもいいと言えばどうでもいいです。でも、雰囲気を出すには多少こだわりたい。


そういうところは、話しながらそのままAIに投げて、挙がった候補から良さそうなものを選びます。


また、ちゃんと情報を整理しておくと、AIは設定も、私が過去に書いた文章も、伏線も、まだ本文で明かしていない裏設定も、全部分かります。


なので、


「この展開とこの展開、どっちがいいんだろう」

「この展開、矛盾しないかな」

「あの時どうだったっけ」

と話すと、そのまま答えが返ってきます。


1人で考えるよりも、かなり考えがまとまりやすいと感じました。



――



3. 読みながら直させる


話した内容をもとに、AIに文章を書かせます。


ここで驚いたのが、以前と違ってキャラの話し方とかもかなりよかったことです。


情報のまとめ方がよかったのか、あるいは単に以前よりAIの精度が上がったからなのか分かりませんが、私にとっては充分な精度でした。


とはいえ完璧ではありません。頭から順番に読んでいくと、ちょこっと直したいところも出てきますが、それは次で話します。


ここでは、それとは別のおかしなところの話です。大きく分けて2つあります。


1つ目は、自分だったらミスしないところです。たとえば、このキャラはこの情報を知らないはず、とか、設定と矛盾している、とか。


こういうところを指摘すると、その内容が設定資料にも書き足されるので、どんどん精度が上がっていきます。


2つ目は、AIに関係なく、人間でもやることです。いらない場面を削ったり、順番を入れ替えたり。


自分で書くときも、ざっくり下書きしてから、清書で文章を組み替えると思います。その組み替えを、そのまま言葉でAIに指示するイメージです。



――



4. 最後に手で整える


最後に、ここまで直したものを、自分の手で頭から直していきます。口で指示するより、自分でやった方が早いな、となった段階です。


AIは、文章が足りないことより、書きすぎることの方が多いです。なので、直しはだいたい、いらないところを消したり、ちょこっと修正したりです。


私の場合は、全体のおよそ2割が無駄な文章だったので削りました。


削るのが中心ですが、ちょこちょこ足すところもあります。足すところには特徴があって、だいたいAIが苦手なところです。


たとえば、戦闘の場面です。


実際に書き直した例を紹介します。


(場面)


そこそこ熟練した冒険者ペアが、花の魔物に襲われる。


(AI生成)


雛の死骸をガッシリと抱え込んでいた根っこが、ほどけるみたいにゆるんでいく。深緑の蔓が、ずるり、ずるりと地面を這って、こっちに伸びてくる。

まるで、獲物を探す蛇みたいに。

まっすぐ、私の足もとへ。


「ひっ……」


悲鳴をあげて目をつぶるほど、私だって未熟じゃない。これでも金級冒険者なのだ。

でも、足が動かなかった。

棘だらけの蔓の先っぽが、靴のつま先に触れる――

その寸前、銀色の線が走った。

ラウラだ。


(直し)


雛の死骸をガッシリと抱え込んでいた根っこが、ほどけるみたいにゆるんでいく。

深緑の蔓が、蛇が首をもたげるみたいに持ち上がるのが見えた。


「えっ……」


私の呆けた声は、銀色の風切り音にかき消された。

棘の生えた蔓が足元に転がる。

いつの間にか、ラウラが私の前に出ているのを見て、ようやく自分が助けられたのだと理解した。

ラウラに斬り飛ばされた蔓は、地面の上でうねうねと身をよじっている。

私は慌ててラウラの後ろに身を隠しながら、周囲へと目を向けた。


(意図)


AIの描写だとスピード感がありませんでした。それに、熟練した冒険者ならもっと冷静に動けるはずです。


「もうちょっとスピード感を上げて、一人称の視点で見えることをちゃんと書いて」と指示すれば、多少は良くなるかもしれません。


こういう、細かい言い回しは自分で書いた方が早いので、自分で直しました。



――



音声入力を活用する


AIを使うにあたって、音声入力を活用すると捗ると思います。


自分で書くときに音声入力を使うと、誤変換が多くて逆に手間ですが、AIは前後から正しい言葉を拾ってくれます。


作品の人名などの誤変換は、辞書に自動で集めさせると、話せば話すほど、精度が上がっていきます。


今回、この話のために口で話したのは、4万3,000字ほどでした。パソコンで打つと大変ですが、話せば数時間程度です。


また、スマホの音声入力なら、パソコンの前に座る必要がありません。


設定資料を読ませるAIはパソコンにいる必要がありますが、ちゃんと設定をすればどこからでもスマホでアクセスできます。


私も、スマホを持って散歩しながら、ぼそぼそ話したりしています。


頭の中にストーリーはできているのに、面倒だったり、忙しかったりで止まっている人もいると思います。


AIをうまく使えば、頭の中を文章にするハードルは、ぐっと低くなります。そういう人にこそ、一度試してみてほしいです。


ちなみにこのエッセイも同じやり方でつくってあります。



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