第49話 姉弟で同時依頼!? 無自覚天才、また巻き込まれる
翌日。
授業が終わるチャイムが鳴り、クラスが一気に騒がしくなる。
東雲悠真は、静かにノートを閉じて帰り支度を始めていた。
そのとき――
「東雲くん!」
「東雲!! 話がある!!」
教室の入り口から声が重なる。
白鷺ゆり。
そして弟の桐谷海斗。
まさかの 姉弟同時来訪 だった。
教室がざわつく。
「え? 有名声優じゃない?」
「隣にライトノベル作家の桐谷!? なんで同時に!?」
けれど二人は迷いなく、東雲の席まで歩いてきた。
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◆桐谷海斗、テンション高めに依頼をぶっ込む
「東雲! 聞いてくれ!!」
桐谷が勢いよく畳みかける。
「編集部から新企画の連絡があってさ!
“青春ジャンルの短編集を数名で書く”ってやつなんだけど!」
「うん……?」
「お前も呼ばれてたろ!? だったらさ!
今回こそ本気で勝負しようぜ!!」
その顔は完全に闘志むき出し。
だが――
(……編集部から連絡? あったような……なかったような……)
悠真は昨日寝落ちしたせいで、メールをまだ見ていなかった。
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◆白鷺ゆりも負けじと依頼を投げてくる
「待って、海斗。順番!」
ゆりが弟を押しのけて前に出る。
「東雲くん、実は私も……ひとつお願いがあって……!」
「ん?」
ゆりは少し頬を染めて言った。
「今度、アニメの新キャラの“イメージボイス”企画があって……
そのキャラ設定に合う ショート台本を書いてほしい の」
桐谷が驚いた顔で振り返る。
「姉ちゃん!? 何それ俺聞いてない!?」
「言ってないからね」
「……っ!」
弟を平然と切り捨てる姉。
ゆりは真剣な表情で悠真を見る。
「どうしても先生の文章じゃないとダメなの。
キャラの心の動き……先生の書く“気配”が必要で……」
あの熱量。
あの真剣な眼差し。
教室の男子がざわつく。
「え……なにこの空気……」
「東雲と仲良すぎじゃね……?」
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◆そして同時にぶつかる依頼
・姉・白鷺ゆり → 「アニメ新キャラのために台本を書いて」
・弟・桐谷海斗 → 「短編企画で本気勝負しようぜ!」
二人が同時に迫る。
しかも教室中が注目している。
彩花も席からそっと目を向けていた。
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◆無自覚天才の“悪魔の返答”
東雲は二人の目的を聞き、少し考え――
「あ、じゃあどっちもやるよ」
と、軽く言った。
「「――は?」」
声優と作家が同時に固まる。
桐谷が慌てる。
「いやいや!! 二つ同時とか無理だろ!?
お前締め切りとか考えてるのか!!?」
「うん……考えてないけど……」
ゆりが震えながら言う。
「ひとつでも大変なはずなのに……本当にできるの?」
「うん。たぶん……」
東雲は首を傾げ、続けた。
「今ちょうど……なんとなく、ふたりの依頼が混ざった物語が頭に浮かんだから」
「「!?!?」」
ゆりと桐谷の目が同時に見開かれる。
桐谷は叫ぶ。
「今!? 今かよ!!
目の前で作るなって何度言えば……!」
ゆりは顔を赤くしながら呟く。
「……天才……ほんとに天才だ……でも……心臓に悪い……」
教室中がざわっとする。
「東雲……すげえ……」
「ゆりさん顔赤い……まさか……?」
彩花は胸を押さえながら、そっと呟いた。
(……まただ……
私だけが知らない……みたいな空気……)
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◆けれど東雲の次の一言で――空気が変わる
悠真はゆりと桐谷を交互に見て言う。
「でも……その前に。
今日の放課後、彩花さんに……話があるんだ」
「え?」
彩花がびくっと動く。
ゆりと桐谷の動きも止まる。
「昨日の……続き。
ちゃんと……話しておきたいから」
静かだけど、真剣な声。
教室の空気が凍りつく。
ゆりの目が揺れる。
桐谷は固まる。
クラスメイトが息を呑む。
そして彩花は――
心臓が跳ね上がった。
(……昨日の…続きって……
私が逃げちゃった……あの……)




