第4話:告白前夜の揺れ
夕暮れ時、図書館の片隅。
悠真東雲は一人、ノートに向かいペンを走らせる。
クラスでは目立たず、普通の高校生として過ごす日常。
しかしここでは、彼の無自覚天才ぶりが静かに発揮されていた。
「次のキャラクターはこう動かして…この場面での葛藤は…」
思考は自然に物語の中へ。修正も加えずに、頭の中に浮かぶまま筆が走る。
まるで作品が勝手に生まれてくるようだった。
一方、彩花は自宅でスマホを握り、昨晩投稿された新作を何度も読み返す。
胸の奥で高鳴る感情――尊敬と憧れ、そして微かな恋心。
「この人…本当にすごい…でも、こんな人と同じクラスだなんて…」
彩花はその矛盾に戸惑いながらも、心の準備をしていた。
翌日、学校。
クラスでは普段通り、悠真は淡々と机に座り、教科書に目を落とす。
彩花は少し離れた席から、静かに彼を見つめる。
「今日こそ…勇気を出さなくちゃ」
心の中で何度もシミュレーションするが、言葉にする勇気はまだ揺れる。
放課後、廊下で二人きりになる瞬間を待つ彩花。
心臓が高鳴り、手は軽く震える。
同じクラスでありながら、作品の熱狂的ファンとしての心理と、日常の距離感が入り混じる。
一方の悠真は、クラスでは何も変わらず自然体。
恋愛に関しては鈍感で、空気を読むことも苦手。
告白のタイミングすら考えておらず、ただ目の前の生活に溶け込むだけだった。
静かな校舎に夕陽が差し込み、二人の影が長く伸びる。
告白の瞬間は近づいている――
しかし、結果はまだ誰にもわからない。




