第22話 個人的な質問と揺れる心
放課後の教室。
彩花は東雲悠真の隣に座り、心臓の高鳴りを押さえつつノートを広げた。
(……昨日からずっと……この人のことが頭から離れない……
尊敬と……なんだか胸のざわつきも……恋心……?)
胸の奥で入り混じる感情に戸惑いながらも、彩花は勇気を出して声をかける。
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◆個人的な質問
「悠真くん……その……ちょっとだけ、個人的なことを聞いてもいいですか?」
悠真は驚いた様子を見せるが、すぐに柔らかく微笑む。
「個人的なこと? いいけど、何を?」
彩花は少し顔を赤らめながら、小さく息を吸う。
「どうして、文章を書こうと思ったんですか……
それに、キャラクターをここまで生き生きと描ける理由って……」
悠真は首をかしげ、少し考える。
「うーん……書きたいと思ったからかな。
キャラクターは、僕自身がその場にいるつもりで動かしてるんだ。
自然に行動して、自然に言葉を発するように書いてる」
その言葉に彩花は心を打たれる。
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◆胸の高鳴り
彩花はノートにメモを取りながら、胸の奥で思わずつぶやく。
(……やっぱり……無自覚なのにすごすぎる……
普通の顔なのに、心の奥は“天才”……
どうしてこんなに尊く見えるの……)
目の前の東雲は、ただ自然体で微笑み、彩花の質問に答えているだけだ。
しかしその姿が、心理的距離をぐっと縮めている。
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◆自覚の芽生え
彩花は小さく息を吸い、心の中で決意する。
(……私……この人のこと、尊敬だけじゃなく……
気になってる……胸が……高鳴ってる……
これって……恋心……?)
顔を赤らめながらも、彩花はノートを握り、次に話すときの心構えを固める。
(……次は、もっと近くで……
本当のことを聞きたい……)
胸のざわめきと期待を抱え、放課後の教室は静かに沈んでいく。




