第21話 質問と距離の縮まり
放課後の教室。
彩花は昨日の確信を胸に、東雲悠真の隣に座っていた。
(……やっぱり……間違いない……
この人が“黎明先生”……
でも、学校ではただの地味男子……)
胸の奥で尊敬と恋心が入り混じり、彩花の手は少し震えている。
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◆具体的な質問
彩花は勇気を振り絞り、声をかける。
「悠真くん……その……ちょっと質問してもいいですか?」
悠真は顔を上げ、自然体で微笑む。
「もちろん。何を聞きたいの?」
彩花はノートを開き、具体的な文章の構成やキャラクター描写について尋ねる。
「例えば……キャラクターの心の動きって、どうやって決めてるんですか?
文章に自然に反映させるコツとか……」
悠真は少し考えて、答える。
「うーん……キャラクターの気持ちを、自分がその場にいるように想像することかな。
感情の動きをリアルに追うと、自然に文章に出てくる」
その説明は簡潔でありながら、的確で深い。
彩花は目を輝かせる。
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◆心理的距離の縮まり
彩花は小さく頷きながらメモを取る。
(……やっぱり……普通の顔なのに、すごすぎる……
文章だけでこんなに人を引き込めるなんて……)
無自覚天才の東雲に圧倒されつつ、彩花は心の中でつぶやく。
(……もっと知りたい……
この人のこと……全部……)
悠真は自然体のまま、彩花の質問に答え続ける。
その無邪気さが、心理的な距離をさらに縮めていく。




