第20話 確信と揺れる心
放課後の教室。
彩花は心の中で何度も深呼吸を繰り返していた。
(……やっぱり……間違いない……
この人、ただの地味男子じゃない……
“黎明先生”……東雲悠真……)
目の前で悠真は文庫本に目を落とし、自然体で微笑む。
その無防備さと、文章を紡ぐ手つきの確かさが、彩花の胸を打つ。
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◆決定的な手がかり
彩花は昨日見たノートのことを思い出す。
文字のリズム、言葉の選び方、表現の深さ――
SNSで見た“黎明先生”の作品と完全に一致していた。
(……やっぱり……
この手つき……このリズム……
間違いない……)
彩花は胸の奥で小さく震えながら、心の中で呟く。
(……東雲くん……あなた……
私の知ってる“黎明先生”その人……!)
理性ではまだ信じたくない部分もある。
しかし感覚はもう、疑う余地もないほど確かだった。
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◆近づく心理
彩花は勇気を振り絞り、ノートを見せながら話しかける。
「悠真くん……この文章……
もしかして……あなたが書いたんですか……?」
悠真は一瞬、目を丸くする。
その後、自然体の笑みで答える。
「え、ああ……まあ、そうだよ」
そのあっさりした答えに、彩花は胸の中で息を呑む。
(……やっぱり……
間違いなかった……
でも、普通の顔で……無自覚で……
どうしてこんなに尊く見えるの……)
胸の奥で尊敬と恋心が入り混じり、彩花の顔は熱くなる。
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◆距離の変化
悠真はノートを閉じ、彩花に視線を向ける。
「文章のこと、分かったかな?」
彩花は頷きながら、小さな声で返す。
「はい……本当にすごいです……尊敬します……」
その言葉に、悠真は軽く微笑むだけ。
無意識の天才ぶりが、何気ない一言でも人を惹きつける。
彩花の胸は高鳴り、心の中で決意を固める。
(……次に話すときは……
もっと……近くで……
本当のことを聞きたい……)
その想いが、彩花をさらに東雲に引き寄せる。




