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第19話 少しだけ近づく距離
放課後の教室。
彩花はいつもより少し大胆に、東雲悠真の隣に座っていた。
(……昨日より、ほんの少しでも近くで話したい……
でも、まだ“普通のクラスメイト”として……)
目の前の悠真は自然体で、本を片手に微笑む。
その無防備さに、彩花の胸はまた高鳴る。
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◆小さな接触
「悠真くん……あの……昨日教えてもらったこと、少し応用してみたんだけど……」
彩花は小さな声で言いながら、自分のノートを差し出す。
悠真は興味深げに覗き込み、自然に手を添えてページをめくる。
「なるほど……こういう書き方もいいね。感情が伝わりやすい」
彩花は心の中で小さく歓声をあげる。
胸の奥で尊敬と恋心が混ざり、顔が熱くなる。
(……やっぱり……近くで見ると……
この人、普通なのに、作家としての凄さが伝わってくる……)
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◆心の距離
悠真は無邪気に、彩花の書き方をほめる。
「うん、いい感じだよ。彩花さん、文章のセンスあるね」
その言葉に彩花は頬を赤くして小さく笑う。
心の中で、自分が無意識に踏み込んでしまった距離に驚きつつも、胸は高鳴る。
(……尊敬と……恋心……
どちらも止められない……)




