第18話 近づく想いと揺れる胸
放課後の教室。
彩花は自分でも意識せず、いつの間にか東雲悠真の隣の席に腰を下ろしていた。
(……やっぱり……気になる……
この人、普通なのに……天才……
どうしてこんなに胸がざわつくんだろう……)
目の前の悠真は、いつも通り文庫本を片手に、自然体で微笑んでいる。
その笑顔に彩花の胸は高鳴り、手は少し震えていた。
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◆小さな距離
「悠真くん……その……ちょっと聞きたいことがあって」
彩花はノートを持ち、ゆっくりと言葉を選ぶ。
悠真は顔を上げ、軽く首をかしげる。
「聞きたいこと? いいよ、何?」
その自然体の無防備さに、彩花は心臓が跳ねる。
(……普通なのに……
普通なのに、なんでこんなに尊く見えるんだろう……)
彩花は深呼吸して、少しだけ勇気を出す。
「えっと……文章のリズムとか、キャラクターの心の動かし方とか……
ちょっとだけ教えてもらいたくて……」
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◆心の揺れ
悠真は無邪気に笑い、ノートを開きながら説明する。
「うん、いいよ。こういう時は……」
彼の言葉は自然で平易なのに、内容は的確で深い。
彩花はメモを取りながら、胸の中で思わずつぶやく。
(……やっぱり……天才……
普通なのに……無自覚で、こんなに人を惹きつけるなんて……)
そして、心の奥で恋心が芽生えはじめる。
(……でも……私は振ったんだから……
好きになっちゃダメ……でも……どうしても目が離せない……)
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◆揺れる想いと次への伏線
彩花はノートに書かれた文章を見つめながら、心の中で決める。
(……次に話すときは……
もう少し近くで……
本当のことを知りたい……)
その決意が、胸のざわめきをさらに大きくする。
学校では創作していない東雲との距離感は維持しつつ、彩花の心理的距離は着実に縮まっていく。




