第17話 尊敬と動揺、そして距離
放課後の教室。
彩花は心臓を押さえながら、東雲悠真の机のそばに立っていた。
(……やっぱり……間違いない……
東雲くんは……“黎明先生”……)
胸の奥で尊敬と動揺が入り混じる。
理性ではまだ信じたくないが、感覚は確実に“作家の匂い”を感じていた。
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◆距離を探る
彩花は深呼吸し、そっと声をかける。
「悠真くん……その……ノート、少し見せてもらってもいいですか?」
悠真は顔を上げ、自然体で微笑む。
「もちろん。どうぞ」
彩花は慎重にノートに目を落とす。
文字の一つ一つ、文のリズム――
それはSNSやアニメ化発表で見た“黎明先生”そのものだった。
(……やっぱり……
この人が……あの作品を書いていたの……!?)
胸が高鳴り、呼吸が少し速くなる。
理性ではまだ信じたくない気持ちもある。
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◆尊敬と恋心
彩花は小さく息を吸い、心の中でつぶやく。
(……すごい……
普通の顔をしてるのに、文章は完璧……
こんな人、尊敬せずにはいられない……)
しかし同時に、わずかな胸のざわめきも感じる。
それは恋心の始まり――
彩花自身もまだ完全には理解していない感情だった。
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◆自然体の天才
悠真はノートを手に取り、彩花の質問に答える。
彼の説明は飾らず自然体だが、内容は深く的確。
「ここはこういう気持ちを意識すると、キャラクターの感情が伝わりやすいんだ」
彩花は頷きながら心の中で思う。
(……普通なのに……天才……
無自覚なのに、こんなに人を惹きつけるなんて……)
目の前の地味男子と、心の中で想像していた天才作家が、同時に存在していることに彩花は戸惑う。




