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召喚術師、成り損なう。α  作者: 優麗
第2章 魔道具師、召喚術師に成る?
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第24話 クラス1モンスター:ゴブリン集団戦

 召喚獣は術師の魔力を糧にしてこの世界に顕現する。それはつまり、『術師と召喚獣の間には魔力のパスが繋がっている』という事であり、この性質があるからこそ召喚獣は術師から距離を取ることが出来ない。

 なればこそ、『前線に召喚獣を送り出して術師は安全圏で高みの見物』は不可能なのだ。



「この先にありそうだな、集落。」

「相変わらず、志麻先輩はモンスターの足取りを追うのが上手ですねぇ。」

「まぁ、レッサーゴブリンが相手ならね。」


 悪知恵が働くと言っても小柄(レッサー)種ではせいぜいが人間の子供程度なので『痕跡を隠す』と言った隠蔽にまで頭が回っていないのだ。

 もしかしたら中にはそこまで考えているレッサーゴブリンも居るのかもしれないけれど、それを集落単位で統制するのは不可能なので歩き回るほどにゴブリンの情報は集まっていく。ただ、それでも平原に堂々と集落がある訳では無いようで、戦場の舞台は密林エリアへと移り代わっていた。



「それにしても……ダンジョンの草木ってどうしてこう、何処も鬱蒼と茂っているんですかねぇ~?」


 鬱陶しそうに木々の枝葉を掻き分けながらも、小麦。ここは既に敵陣営の只中(ただなか)であるため声のトーンこそ普段より抑え気味ではあるが、それでも小麦の声音と表情から緊張している様子は見て取れない。

 油断している訳では無いのだろう。恐らくは、ただ単純に勝てる自信の度合いが俺よりも圧倒的に上なだけ。流石にクラス2の肩書きは伊達ではない。


「ダンジョン内では雨とか滅多に降らないのにって気持ちは分からないでもないけど、どうせ足りない養分は魔力が補っているんだろ。」

「はぁ、それってつまりダンジョン内の草木はそれだけで勝ち組ってことですよね。 実家がダンジョン外で農家をやっている身としては、そういうズルいのはちょぉっと許せないんですよねぇ~。」

「……えっ、なに? もしかして、小麦が草木まで【根絶やし】にしているのってそういう私怨も含まれてるの?」

「どっちだと思いますぅ~?」

「……」


 ニッコリ笑顔を向けながらも物騒な選択肢をこちらに回してくるのは卑怯だろう。確かめるのが怖すぎるわ。


「それはそうと、戦い方はいつも通りで良いんだよな?」

「それはいつも通りで良いですけど……あれっ? 志麻先輩、いま話を逸らしました?」

「逸らされても仕方ない話の振り方するからだろ……。」


 その後には『どんな内容であっても相手して貰いたいのが乙女心なんですよぅ!』と頬を膨らます小麦であったが、そもそも戦場(ダンジョン)においては乙女以前にクラス2召還術師である。それならば、その心はモンスター討伐に決まっている。俺の話振りはなにも間違っちゃいないはずだ。


 さて、今回は俺と小麦の2人で多数のゴブリンと相対する事になる訳だが、そうなってくると重要なのはパーティー間での役割だろう。どういう事かと言うと、仮に2人が共に召喚術師だったとして、2人してクラス1から順に召喚獣を召喚していくのでは攻撃面で心許ないのだ。


 集団戦と個人戦ではセオリーが違う。この場合の最良は片方がクラス1を召喚して時間を稼ぎ、その間にもう片方がストレートにクラス2を召喚する事だろう。或いは片方が攻撃に特化した召喚獣を、もう片方が盾役と言った具合に役割を分けるでもいい。


 今回は片方……と言うか、俺が召喚術師とは言えないので後者の案を採用し、俺自身が盾役を担うことになる。

 一応、エリア召喚を手に入れた事で召喚術師(サモナー)を名乗る権利はあるのだけれどね。ハリボテの看板では背負っても余計な重荷になるだけである。


◇◇◇


「数は……ざっと30オーバーか。 初っ端から大当たりを引いたなぁ。」

「えっへへへ~! ボク、引きには自信あるんですよねっ!」

「引きすぎだとは思わなかったのか?」


 見つけたゴブリン集落を前に、ため息1つ。土産を持たせてやりたいとは言った。言ったが、それにしたって限度はあるだろう。こんな規模、下手したら冥土の土産になりかねないのだが。


(と言うか、流石にこれはおかしいだろ。)


 なんだよ、30匹以上のゴブリンって。冒険者の往来が少ないせいで間引かれていないにしても多すぎではないだろうか。


「別にぃ、ボクはスルーでも良いんですよぉ~?」

「ハッ……冗談だろっ?」


 予想よりも僅かばかり(・・・・・)大きかった規模に、ほんの少しだけ(・・・・・・・)引き腰になっていた俺に、まるで挑発するような言葉を投げかける小麦。それに対して咄嗟に出てきてしまった買い言葉ではあったが、それでも今更撤回するつもりはない。


 1人であれば避ける道だろうと、今は背中を預けられる頼もしい味方がいるのだ。これ程までにお膳立てされた状況でチキっていては……冒険者が廃る。そうやって強がりも張り続けていれば本当にそんな気になってくる。


「それでこそ……それでこそ、志麻先輩ですよぉ! これだから志麻先輩との冒険は楽しいんですよねぇ!」

「出来れば俺は安全に冒険がしたいんだがなぁ。」

「え、そうなんですか? でも、ボクと一緒の時は大概無茶してますよぅ?」


 そう言われてしまうと、思い当たる節だけで山を作れてしまいそうである。要するに黒歴史の山なので登頂しても得られるものは何も無い。



「まぁ、小麦には安心して背を預けられるから……安全を捨てているわけじゃない。」

「ふへ、ふへへへ……っ!」


 実際にこれまで重傷を負うことも無かったわけだし。……それにしてもゴブリンの群れを前に喜色満面になっているあたり小麦は根っからの冒険者だなぁ。



 ここに来るまでに見かけたゴブリンは全て奇襲で仕留めてきたので、俺たちの存在はまだ見つかって居ない。モンスターがドロップアイテムに変化するのも、こういう時ばかりは役に立つね。


「それじゃあ冒険開始といこうか。 目標は1匹残らず殲滅だ。」

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