7.最大?の好敵手 ナーパム王国国有鉄道 カンセイ本線 ハロスカ~フッキー港&フッキー市営地下鉄
旅行編その3。
さて問題となる区間に乗るようなのですが…
グレスの宿で一夜を過ごし、翌日、再びハロスカ県営鉄道2号線でハロスカへと向かう。
このカンセイ本線には、フッキー行き特急「ビヒモス」が通っており、その1号を待つことにしている。
なお昼間の特急「ビヒモス」はターキア~フッキーを結ぶが、今乗ろうとしている「ビヒモス」1号はターキア始発ではなく、カンセイ始発で時間も朝の7時過ぎである。
今日やる予定だったハロスカ神殿参りを、昨日のうちにしてしまったため今日はフッキーまで足を延ばすことにした。
さて今回向かうフッキーには、フッキー市営地下鉄のほか、カンセイ本線がフッキー港までを結んでいる。
カンセイ本線のフッキーまでは本数も抜群に多く、幹線であるのだが、残るフッキー~フッキー港の間が問題になる。
一日2本しかないフッキー港行きは朝夕に一往復ずつであり、この特急「ビヒモス」1号でも下りの1番列車に間に合わない。
かといって、マリエラがフッキー行きをOKにしたのは、途中のオノマクに行きたいためであり、夕方の列車を待っていてはオノマクに行けなくなる。
その両者を両立するにはどうするか。
時刻表と私が格闘した結果、「フッキー港行き」「フッキー市営地下鉄完乗」「オノマク観光」をすべて満たし、「宿泊地はハロスカ」を達成するためにルートを画策した。
まさに、最大の好敵手となりえる路線と言えた。
そしてついに、一つの案を作成した。
そのルートのスタートが、この特急「ビヒモス」1号であった。
特急「ビヒモス」は快調にハロスカ路を西へ進む。
ハロスカはトロピカルな木々のある南国感満載の車窓を見せてくれる。
後ほど寄る予定のオノマクを通過し、列車はスピードを上げた。
そして間もなく終点のフッキーへと到着した。
しかしフッキー駅のフッキー港方面が停車する0番線には列車がない。
というのもこの特急「ビヒモス」1号の到着する5分前にフッキー港行きの列車は発車してしまっている。
それを知っていて私達二人はこの列車を利用した。
列車から降りると改札を抜け、外へと出た。
そして、ハイヤー馬車を見つけて乗り込む。
「フッキー港駅」
御者さんに行先を告げると、気のいいおじさん御者は「あいよ!」と威勢のいい声を上げて馬車を走らせた。
10分ほど後、私達はフッキー港駅に到着した。
駅の中には10分後に発車するフッキー行き普通列車が止まっていた。
「…間に合いましたね…列車に乗るためにハイヤー馬車を使うとは思いませんでしたよ…」
「これが必殺の『ショートカット』よ」
ドヤァ。
思わず私がドヤ顔をするとそれまでは驚くような顔をしていたマリエラは苦笑した。
それでもフッキー港~フッキー間は5分ほどで走破。
これでカンセイ本線は全線完乗になったが、せっかくフッキーまで来たので、市営地下鉄には乗っておきたい。
マリエラも次の目的地・オノマクは特急が止まらないので、隣のホームにある特急「ビヒモス」・ターキア行きには乗れない。
そこでまずはフッキーで再び改札から降り、腹ごしらえをすることにした。
フッキーの名物は、スープスパゲティ。
しかし他のスープスパゲティがコンソメなどを使うのに対し、フッキー名物は豚骨を使うため濃厚なスープになる。
少しクセのあるスープになるため、好き嫌いは分かれるらしいが、せっかく名物なので抑えておこう。
「さて、どうする、マリエラ?」
駅前にある食堂の「豚骨スープスパ」で昼食を済ませると、私はマリエラに聞いた。
「地下鉄、乗ってみましょうかね。
フッキーの地下鉄も風景いいらしいので」
「…そっか、じゃぁ行こうか」
そう言うマリエラとともに、フッキー市営地下鉄のホームへ向かい、1日券を購入した。
まずは、2号線のイーズマ方面に向かい、特に何もなくイーズマで折り返し、逆のフッキー大学前行きに乗る。
イーズマ方面は全線地下で特に風景と言える風景はなかったのに対し、フッキーを越えてフッキー大学前方面は、高架橋に出る。
フッキーの街を見下ろす位置に確かに立っているようだ。
「…高いところから見下ろすのはいいですねぇ…」
マリエラがつぶやく。
フッキー市営地下鉄の特徴は、1号線、2号線の途中駅の名前だ。
2号線が、イーズマ、イチバン、フッキー、サンバン、フッキー大学前。
これから乗る1号線がカンセイ本線のフッキー港方面乗り換えのメートハムを出ると、ナノバン、フッキー、ゴバン、そしてまたカンセイ本線乗り換えのナオグラ。
乗換駅と終点駅を除くと、「バン」がついている。
しかもフッキーは海の向こうの隣国の影響を受けており、隣国の言葉で「イチ」が北、「サン」が南、「ゴ」が東、「ナノ」が西であり、さらに「バン」は方面のような意味らしいので、意味で「イチバン」は「北方面」というような駅名になる。
言うなれば、若干手抜きにも思えるが他国の言葉を使うと、駅名になるという例になる。
さて、2号線を乗車し終え、フッキーで1号線に乗り換えると、先ほど乗ったフッキー港方面のメートハム行きに乗車する。
今日三度目のメートハムである。
そしてメートハムからはフッキーを越えて終点のナオグラへと到着した。
このナオグラは急行停車駅のため、ここから急行「ウズエア」へと乗り換えることにした。
乗車録: ナーパム王国国有鉄道 カンセイ本線 ハロスカ~フッキー
フッキー~フッキー港
フッキー市営地下鉄 1号線 イーズマ~フッキー大学前
2号線 メートハム~ナオグラ
一日1、2往復しか列車がない区間は、こうやって乗り切ることもある鉄道マニアあるある。