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4.神殿の門前町名物 ツバイ鉄道 本線

多分、鉄道好きの営業さんとかやってると思う、こういうこと。

 

「…時間があるとはいえ…」

 私は多少後悔しながら、ツバイ鉄道に揺られていた。

 ナータムで見つけたツバイ鉄道の改札につられフラフラとタバ行きの列車に乗ってしまった私は、ナータムから続く住宅街を見ながら、それでも気が晴れてきた。

 今日はこのシモディトで預かってきた魔法具材料をマリエラに渡せば後は夕食の支度だけ。

 ウォーミアに戻れば、近所のお肉屋さんで総菜も売っているし、まだ日の高い2時すぎなので、そこまで慌てる時間でもない。

 ナータムから乗った列車は急行で、次のナグレーマという駅に停車していた。

 断続的だった住宅は、乗るにしたがって密度が増してきており、ナグレーマはツバイ鉄道が開発して住宅街を形成しており、商店街にも活気があるらしい。

「…」

 さすがに降りるのも気が引けるので降りないが、確かに活気ある町で、ここから多くの人が乗ってきた。

 後で知ったことだが、ここからモオーシ線のトリーダに向かう支線が出ている。

 この時は気づかなかった。

 

 そうこうするうち列車はツバイ鉄道の主要駅、ツバイに到着した。

 ここからターキアに向かえるが、これも鉄道マニアの性が出てしまう。

 思わず、ちょうど来た特急列車に乗ってしまった。

 今度はターキアとは別の方向に向かっているため、家がまばらになっていく。

 ツバイ鉄道は、ターキアと、王国の中でも信仰を集める神殿の一つ・ツバイ神殿をつなぐことから始まった鉄道である。

 さらに、ツバイ神殿は山の上にあるため、今乗っている特急の終点・ツバイ神殿口からロープウェイでツバイ神殿につながっている。

 ツバイ神殿は王国首都圏の中でも東のタバ方面に信徒が多いため、ツバイ鉄道はタバとツバイをつなぐタバ線が開通し、その後モオーシ線・ナータムまで延伸。

 さらにタバ線ナグレーマ駅周辺の開発をするのと同時に、モオーシ線トリーダまでトリーダ線を開通させ、今の路線網となり、ウォーミア鉄道と並ぶ王国首都圏大手私鉄の双璧となっている。

 

 さて列車はツバイから20分ほどで、ツバイ山口に到着。

 ちょうどロープウェイも接続がよかったため、せっかくなので乗車。

 ロープウェイは30分間隔なので、ツバイ神殿で30分ほど散策し、名物の「ツバイ焼き」を購入。

 饅頭の皮の中にカスタードクリームらしいクリームが入ったお菓子で、自分で帰りに食べる分とマリエラのためのお土産、二つを購入する。

 ツバイ神殿はさすがに厳かな雰囲気で、多少の「旅情」を味わえた。

 

 30分ほどの散策時間のあと、帰りのロープウェイでツバイ山口に戻ると、特急西ナーパム行きが待っていた。

 転換クロスシートの電車に乗り込み、座席を確保すると、先ほどのツバイ焼きを取り出して食べ始める。

 ちょっと甘すぎかな、と思いつつツバイに着くまでには自分の分は食べ終えてしまった。

 ツバイで座席が満席になり、ここからは未乗区間に入る。

 タバ線から感じていた住宅の間隔はさらに小さくなり、ほとんど住宅街といった町を通り過ぎる。

 特急はツバイから起点のキセサ迄は停車しないが、途中のセングダから高架に、ニシアリーからは複々線になる。

 ここまでくるとさすがに都会といった雰囲気になり、比較的高い建物も増えてきた。

 もはやターキア圏内と言える雰囲気になる。

 そんなところで地下に潜るとキセサに到着した。

 ここからはターキア地下鉄の1号線に直通するが、特急なので次はターキアである。

 先日乗った3号線の隣にホームのあるターキア駅を通り、この次が終点西ナーパムである。

 

 私はなぜか1号線は終点が西ナーパム、3号線がナーパムなのが不思議だったが、「王都首都圏高速鉄道史」という本を買って謎が解けた。

 どうやら、国鉄の「ナーパム公区」駅が、王宮に近いため「ナーパム」駅だった時代がある。

 王宮は官庁街から少し離れた場所にあり、その西にあることから官庁街のすぐ近くに作られた1号線の終点は西ナーパム駅と名付けられたらしい、。

 なお、国鉄ヨーハム線の南ナーパム駅は王宮の南であることから、ナーパム官庁地区の北にあるにもかかわらず、ナーパム公区駅の南にあるので南ナーパム駅になった。

 そしてその後、王宮地区が「ナーパム公区」と呼ばれ始めたのに合わせ国鉄ナーパム駅がナーパム公区駅に改称。

 そしてその時工事中で、官庁街である「ナーパム地区」の中心部に近い場所の2号線、およびその後に建設された3号線の駅をナーパム駅と名付けた。

 こうして、「ナーパム駅よりも北にある南ナーパム駅」「1号線が西ナーパム駅で3号線にナーパム駅」という不思議が生まれた、というわけのようだ。

 

 こうして西ナーパムに到着し、そのまま2号線でジュクに向かい、そこからウォーミア鉄道でウォーミア鉄道の急行に乗り換え、ウォーミアに到着した。

 なお、帰ってきてから今日の行程を報告し、お土産を渡すと、マリエラは「お好きですねぇ…」と苦笑していたが、ツバイ焼きは気に入った様子だった。

 

 



  乗車録: ツバイ鉄道 タバ線 ナータム~ツバイ

             本線 キセジ~ツバイ山口、ツバイ山口~ツバイ神殿ケーブルカー

       王国首都圏高速鉄道 1号線 西ナーパム~キセジ

                 2号線 西ナーパム~ジュク

 

仕事で行って、行かなきゃいけない方向と逆方向に行きたくなることがあります。

一度やったのは、大阪出張で、尼崎に行くのに、大阪→阪急→三宮…花時計前→神戸市営海岸線→新長田→JR→尼崎ってルートを取ったことはあります。

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