2.王国首都圏へ ナーパム王国国有鉄道センディ本線(ウォーミア~ターキア)&ウォーミア鉄道(ウォーミア~ジュク)
馬車もない庶民が近くに行くために鉄路が引かれている。
しかも国鉄と私鉄合わせて2路線、しかも区間によっては6複線。
※現実の日本も日暮里駅の近辺が6複線(山手線・京浜東北線・宇都宮高崎線・常磐線・東北新幹線・京成線、京成線以外は所属路線は東北本線)ですね。
翌日。
「これがめんどくさいんですよねぇ…」
マリエラが手に持った書類をフリフリした。
「書類書くのがってこと?」
「あぁいえ、そういうことではなく、魔法店の確定申告ですよ。
ウォーミアにも税務署はありますけど、自営業の魔法店はターキアまで提出する書類もあるので、確定申告はターキアに行かないといけないんですよ」
昨日、家に戻ってからマリエラにこの異世界の地理の話を聞いた。
この世界はナーパム王国。
魔法が全盛のこの世界にあって、周囲を海に囲まれる島国であるため、ドラゴンやワイヴァーンなどの大型の魔物や生物が少なく、鉄道を引いても問題ない国として有名らしい。
逆L字の大きな島がナーパム本島、さらに北部にサロナ島という比較的大きな島があり、2つの島で成り立つ。
首都はウォーミアの南20km程にあるターキア特別行政区。
ターキア特別区とウォーミアは王国首都圏に所在する。
北から、王国第2の都市センディを県都とするセンディ県、最も県域の広いナガタ県、王国首都圏があって西に第四の都市・カンセイを首都にするカンセイ県と、さらに西に神殿都市・ハロスカを県都にするハロスカ県の1都4県が王国全土。
鉄道としては、ナーパム王国国有鉄道が全土に張り巡らされ、ウォーミアは北方面にセンディ、西方面にカンセイともつながっており、王国随一の「鉄道の街」と呼ばれている。
今日は、ターキア特別行政区の官庁街・ナーパム地区まで向かうことになっている。
「まぁウォーミアはターキアに近いのでいいんですけどね」
「20kmだっけ。電車だと30分かからないんだね」
今日は国鉄(ナーパム王国国有鉄道はこう略すらしい)で、マリエラと私はターキアに向かっていた。
正式にはウォーミア~ターキアはセンディ本線だが、ウォーミアから北のセンディ方面、北西のモオーシ方面、西のサナタミア方面、さらにウォーミア~ターキア間に緩行線があり、それぞれに複線があるため、この区間は四複線である。
「電車は快適なんですよねぇ…全土に広がってほしいです」
ふと見ると蒸気機関車とすれ違った。
どうやらセンディ線の特急列車らしい。
列車がカーグスの駅を超えると、川を渡った。
ここまでがウォーミア市、川を超えるとターキア特別区である。
そしてジュクの駅で電車が空き、マリエラと私はようやく座席に座れた。
「まぁ、もうすぐなんですけどねターキアは」
「そうなの?」
車窓は高層ビルが立ち並ぶナーパム公区を走る。
横からもう一つの複線が並び五複線区間になった。
「あれはヨーハム線ですね。カンセイに向かう街道筋ですよ」
マリエラはそう教えてくれた。
ターキアの駅はかなりにぎわっていた。
最も、旅客のほとんどは長距離客のようで、私達が到着した直後に到着したセンディ本線の特急「サロナ」からの乗客のようだった。
「…あ、ちょっとまってマリエラ」
「はい?」
そう言って私はふと見た売店で、目に入ったものを買うことにした。
「あぁ、時間表ですか」
「うん、そう」
鉄道趣味の中でも私にとっては、時間表(この世界では時刻表ではなく時間表らしい)を買っては旅を想像するのが最も楽しい。
「あぁ、なるほど…」
それほど気にした風もなく、マリエラはそこを離れ、改札から出ると、地下に向かった。
地下では、王国首都圏高速鉄道、通称ターキア地下鉄の3号線のようだ。
ターキア地下鉄3号線のナーパム駅近くに今回の目的地・大蔵省魔法店局がある。
そんな3号線ターキア駅は地下2階で、ナーパム方面ホームは、向かい側に1号線・西ナーパム方面のホームがある。
ナーパム駅と西ナーパム駅、さらに隣の国鉄ヨーハム線乗り換えの南ナーパム駅周辺まで官庁街が広がり、すべての駅を2号線が環状で結んでいる。
3号線に乗り込むと官僚らしい人たちが多く乗っている。
数分でナーパム駅に到着し、ほぼ駅直結の大蔵省へと向かった。
仕事を終え、またナーパム駅の3号線ホームに向かった。
「…あれ? ウォーミア神殿行き?」
「あ、そうですよ。
ターキア地下鉄3号線はウォーミアに向かえます」
ふと電車の行先を見ると、昨日乗車したウォーミア神殿と行先表示された急行列車があった。
先ほど買ったばかりの時刻表で確認すると、ナーパムからターキアとジュクを通ってウォーミアまで至る私鉄があることが分かった。
「ウォーミア鉄道ですね。
ウォーミアからヨーハムも行けますよ」
「へぇ…都市間連絡鉄道なんだ」
「そうですね。
ヨーハムはウォーミアほどじゃないですけど、ターキアのベッドタウンですし」
やはり大都市の周りにはベッドタウンがあるようだ。
ナーパムから乗った急行・ウォーミア神殿行きはしばらく地下を走る。
ターキアを過ぎ、先ほど国鉄で通ったジュクの駅に着く。
「そういえばジュクの駅で見た別の車両はウォーミア鉄道のだったのか」
独り言のように私はつぶやく。
ウォーミア鉄道ジュク駅の隣には4複線の国鉄が走っているのが見えた。
ウォーミア鉄道はジュク~シキイエ間は複々線なのでジュク駅付近は6つの複線が並ぶ壮観な眺め。
しかしウォーミア鉄道沿線は国鉄沿線に比べて少し下町を走っているような気がする。
国鉄沿線がアパートが多かったのに対し、こちらは一軒家だけじゃなく煙突が出ている建物が多い。
「この辺は工業地帯ですね。
ウォーミア鉄道はこの辺の工業製品をウォーミアで国鉄の貨物列車に乗せるためにできた路線らしいですよ」
「あぁ、なるほど…鉄道の成り立ちがわかると車窓もわかるんだ」
成り立ちというのは得てしてそんなものである。
それからすぐにウォーミアの駅に着き、無事にヒルデ魔法店にたどり着いた。
乗車録: ナーパム王国国有鉄道 センディ本線(モオーシ線) ウォーミア~ターキア
王国首都圏高速鉄道 3号線 ナーパム~ジュク
ウォーミア鉄道ウォーミア本線 ジュク~ウォーミア
まずはプロローグ編が終わったので次回は全路線の路線略図出します。